占いに来られた嫁姑 |  ZEPHYR

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 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

「引っ越されない方が良いですね。引っ越しをされると、息子さんご夫婦に良くないことが起きてきます」

先日、そのような占いをしたことがある。お母さんと、その方のご長男の奥さん、つまり嫁姑になるお二人が揃ってご相談に来られた。
なんでもご実家のおばあさんが住んでいた家が近所にあり、長男ご夫婦はそこへ11月には引っ越そうとされているとか。
方位や時期を見ていたのだが、どうもどちらもあまり良い時期ではなさそう。

そこで最終的な解答をタロットカードによって出そうとした。
が、結果は良くなかった。
その家への引っ越しそのものを否定していた。

ご本人たちにはあまりはっきり申し上げなかったが、たぶん夫婦関係にひびが入る。
起きてくる問題は、たぶん人間関係だと思われた。
姑さんのそばに引っ越すので、なにかと接触が増えることもあり、その辺から問題が起きてくるのかもしれないし、ご夫婦のどちらかにおかしな人間関係ができるのかもしれない。
いずれにせよ諍い、喧嘩が増える。

しかし、もう引っ越そうと決めているところへストップをかけられても、困るというのはあると思う。
しかし、占星術や九星術で見てもよくないもので、しかもカードまで待ったをかけたものを、私も「どうぞ」とは言えない。

お母さんの方はどうにも執着があるようで、納得しきらず、「もう一度させてほしい」と粘った。同じ事を何度も繰り返し占うのは、カードへの信頼を疑う行為なので、できるだけ慎むべきだ。
しかし、どうしてもとおっしゃるので、カードを引いてもらった。
結果はほぼ同じだった。
カードの怖さだ。
配置は若干異なるが、ほとんど似た結論になった。
未来の位置に「悪魔」が来るのも同じ。

占術家として困るのは、こういう相談者の意に沿わない結論が出てしまったときのことだ。
それを勇気を持って受け止められるかどうかが分かれ目なのだが、やはり信じたくないものを人間、信じたくない。
どうされるかはご本人たち次第。

お母さんは後で私に電話をかけて来られた。
確認したいといって、いくつか「こうは考えられないか」「こういうことならいいんじゃないか」と粘られる。
息子さん夫婦がご近所に来ることを楽しみにしておられたのだろう。
しかし、それだけに、やはり懸念が当たっているのかもしれないな、と思えた。
「悪魔」の下には、「月」、母性のカードがあったのだ。