この間いろいろな知見に触れて思うのは、結局のところ慢性前立腺炎や間質性膀胱炎とは身体表現性障害の一種なのだろうと思っています。

身体表現性障害

上記リンクでも泌尿器や生殖器の不調や痛み、腹痛といった症状が紹介されていますが、まさに慢性前立腺炎や間質性膀胱炎のそれですよね。
人によっては胃炎のような症状、動悸や息切れといった迷走神経反射、パニック障害のような症状、過敏性腸症候群のような不調が出るわけですが、総じて自律神経失調症と称されるこれらの症状も身体表現性障害といってよいと思います。

学校に行きたくない子どもが腹痛を訴えたりしますが、まさにそれです。
ようは何らかのストレスが体に表れるストレス病、ということで、そうなると、おそよあらゆる体の不調・病というものは身体表現性障害といってよいように感じます。

 

泌尿器科なら慢性前立腺炎や間質性膀胱炎、消化器科なら過敏性腸症候群、心療内科ならうつ状態・適応障害とか、いろんな診断がつく可能性がありますが、病名にこだわったり怯える必要はないのでしょう。

6人の盲人が象を触ってその正体を突きとめようとする、という寓話がありますが、ある人は鼻を触って「細長い筒だった」、ある人は耳を触って「大きなうちわのようだった」、別の人は足に触り「柱のようだった」とバラバラの表現をするように、泌尿器科、消化器科、循環器科で別の病名をもらっても、身体の状態を把握する上ではあまり意味はないと思います。

 

この辺は東洋医学でいう陰陽五行の考え方のほうが親和的だと思っていて、例えば肺の機能は大腸と関係する、とか内臓同士の連携とか、季節による体の変化といった観点からみてみるほうがよいように思っています。
なお、中には最初は何らかの(器質的)不調だったのが次第に身体表現性障害化するケースもあるかもしれませんが(手術で神経が傷つきそれが後遺症となるようなケース)、大本には「何らかのストレス」があるのは間違いないでしょう。

 

本人がそのストレスを自覚できていない、あるいは自覚していても無視している、というのが最大の問題なのでしょうが(自分のことです)。

◆脳がオーバーヒート状態
西洋医学的な治療の方法としては抗うつ剤、精神安定剤、向精神薬の服用といったところなのでしょうが、これはストレスがかかった脳の問題(セロトニン不足、痛みの閾値の低下)への対処という意味がひとつあります。
交感神経と副交感神経のアンバランスを整えるという感じでしょうか。

痛みが感じにくくなるので、痛み現象にも効果があるはずです。
 

おそらく多くの場合は慢性的な交感神経優位(緊張・不安、興奮状態)になっているように想像しており、実際、自身もレキソタンやセルシンといった精神系の薬には、腹痛や頻尿に明らかな効果を感じました。
「このままだったらどうなるだろう…」という不安とか「痛みで死ぬんじゃないか」というような精神状態にもしっかり効果があります。

精神系の薬は依存が気になりますが、この辺は医療者の方針もあると思いますが、自身の処方は極めて低用量(うつ病への処方への数十分の一程度のこともある)なので極端なめまいなど、体への負担もありませんし、やめようと思えばいつでもやめられました。
もっとも、精神系の薬は蓄積性といってある程度の期間は服用をしたほうがよいこともありますし、翌朝以降に催眠効果が残る可能性があるので、飲む時間を早めにするとか工夫は必要でしょう。

やはり、ある種の思考が頭から離れないとか、感情のわだかまりが解消されない、というのが背景にあると思います。

しかし、脳の調子だけ調整すれば治るかというとそうとも限らないように感じます。

 

泌尿器科で処方されるセルニルトン、ハルナール、ベオーバなどは正直言うと自身の体調にはさほど効果はなかったので、泌尿器科や心療内科でセルシンやレキソタン、トリプタノールといった抗うつ薬を処方してもらうことも治療の候補にしてみたらよいかと思います。

◆身体条件――腰の問題
もう一つ重要なのは、ストレスがかかった体というのは筋肉がガチガチに緊張するということです。
うつ状態や適応障害などが亢進すると極度の肩こり、腰痛、背中の張り感などが起こると言われていますが、骨盤周辺のインナーマッスルも緊張するので、これらの筋肉の緊張を緩めるため、筋弛緩作用のある精神系の薬が奏功するというのもよくわかるところです。
症状を抱えている方には、おそらく肩こり、腰痛、首の痛みを抱えている人が多いのではないかと思われます。

で、おそらくこの間の色々な体験からまとめると、一義的には腰椎5番(腰骨の一番下)、腰椎4番(下から2番目)あたりに腰痛を抱えるケースが多いのではないかと思われます。
自身は仙骨も後ろに飛び出ているようなのですが、仙骨神経叢も膀胱につながっているので、腰の下のほうがこわばったり変位していることが多いと思っています。

骨自体が動くということはないので、変位を来すのは筋肉の緊張・弛緩のアンバランス、姿勢の崩れが挙げられるでしょう。

◆胸郭、肺、呼吸の問題
では、なぜ腰が変位してくるかというと、足首から来たり、腕や手の使い方など、要因は様々ですが、自身の思うところでは胸郭が下がってしまっている、あるいは肋間が硬くなって上部胸郭が広がらない、つまり「呼吸が浅い」「ネコ背状態」というのが腰痛の原因にあると思っています。

ネコ背を想像すればわかる通り、姿勢が崩れると代償姿勢として他の部位で崩れた姿勢を支えようとするので、胸椎が崩れてくると腰に負担が押し寄せてきて、それで腰椎5番、4番に負担がかかり、膀胱や前立腺の不調になってしまうのだと思います。

なぜ胸郭に注目するかというと自身がネコ背だからというのもあるのですが、心理的ストレスというのは胸を硬くさせると言われており、「胸がつかえる」という表現もある通り、肋間が硬くなると肺が膨らまず、呼吸が浅くなるわけです。
筋骨格の歪みというのは寝ている間に呼吸のリズムで緩んでいく、調整されていくとされていて、ちょっとした疲れが寝れば治るように、呼吸の波が十分であれば疲れというのは自ずと回復する(もちろん、血液中の酸素などにも呼吸は大事)。
ですが、ストレスがかかって胸が硬い、肋間が硬い、胸郭が膨らまない状態になると寝ているときも呼吸が浅くなり、疲れがとれなくなる。
脳の疲れも当然とれないのでボーっとしたり、ノイローゼのような状態にもなりますし、血液もめぐりが悪くなるのでいろんな内臓が疲れてくる。

膀胱や前立腺というのは内臓の中では心臓からの距離が遠いと思うのですが、呼吸が浅くなり血流が悪くなるとこうした内臓が不調になるのではないかと思っています。
ロードバイクによる前立腺炎も血流阻害という意味では同じなのかもしれません。

症状の抱える方の多くが冷え性だと思いますが、体幹部の姿勢が崩れると腹部の内臓につながる血管も圧迫され冷えるしょうし、股関節周辺の血管も圧迫されれば足先への冷えにもなりそうです。

◆胸と呼吸
呼吸については、深い呼吸、深呼吸が重要でこれは気が向いたらしょっちゅうやることをおすすめします。
呼吸が深くとれるような肋間を広げるような体操(伸びる体操)も効果があるかもしれませんが、前提として長年にわたり胸郭が縮むような姿勢が続くと、深呼吸をしたところでたいして空気が吸えないということもあるので、体操だと時間がかかるかもしれません。
肋骨は体幹の周囲をグルっと回っているのでお腹側・背中側とまんべんなく広げたいところです。

自身は大胸筋、小胸筋といった胸の筋肉にこわばりや圧痛を感じますが、緊張や心理的負担がかかると胸が硬くなるらしく、これが慢性化すると胸郭が固まってしまうようです。
ツボであれば肘のあたりにある「曲池」といったポイントが効果的かもしれませんが、ここを指でそっと触れていると胸が緩んでくるかもしれません(お灸だと刺激が強すぎて逆に緊張するかも?)。
筋肉の特性として、刺激が強いと緊張して固まってしまうので、そっと触れるだけとか、サっとなでるだけ、といったきわめて微細な刺激のほうが緩むということがあります。
手を当てるだけで症状が改善するというのは、あたかもスピリチュアルに感じるかもしれませんが、リンパを流すにしても微細な刺激のほうが効果的なことは実証されており、グイグイやりすぎないほうがよいように感じます。

胸郭を広げるには腕の外旋が重要らしく、腕を外旋させると下部肋骨が締まり、テコの原理で上部胸郭が開いてきます。
腕の外旋というのは腕を伸ばして小指側を天井に向けるような状態です。
空手のサンチンの構えなどもこういう姿勢ですが、脇を締めると上部胸郭が開いて呼吸が深くなるそうです。
ちょうど巻き肩の状態の逆ですね。
胸が緩んでいるというのが古武道の姿勢で、胸を張った軍人姿勢というのは不良姿勢らしいのですが、そういうゆるみが重要なのでしょう。

◆腰から呼吸器、呼吸器から腰
さて、腰椎5番というのは膀胱や排尿機能と関係するとされていますが、同時に呼吸器にも関係があるとされているようです。
尾骨も呼吸器と関係があるらしいのですが、肋骨(胸椎)の硬さや崩れというのは最終的には腰椎5番や仙骨、尾骨にまで押し寄せてしまう。
ですので姿勢の問題でいえば、胸郭を上げる、広げるというのが王道とは思いますが、ひとまず負担がかかっている腰椎をリラックスさせることも重要と思います。
ではどうすればよいか、ですが、一つおすすめの体操は下記のようなものです。

”日常ディストピア”な日々が続きます〜
https://note.com/migamama/n/n6db69729ff53

上記リンクの「腰椎5番のゆるめポーズ」というのがとてもリラックスできますし、これは腰だけでなく呼吸器の広がりにも効果があるそうです。

また、下記のリンクにある各種の体操もよさそうに思っています。
https://note.com/migamama/n/n20a5b7b64e3e

腰椎4番であれば仰臥で両ひざを左右に開いたり閉じたりの運動を、きわめて微妙にやる体操があって、1センチ動くかどうかくらい微妙にユラユラ動かすことで、腰のこわばりをリラックスさせるというのがあります。
腰椎3番であれば、両ひざを閉じたまま左右に揺らす体操もあります。
試しにこうした腰の体操をした後、首を上に向けてみるとすごく楽に首が曲がると思います。
そのくらい、上体と下体にはつながりがあるということですね。
(ちなみに首が狂うと頭への血流・神経がおかしくなってくるので、めまい、吐き気、頭痛、鼻づまり、物忘れなどこれまた実に多彩な影響がでるようです)

5番がこわばっている人は、電車でリュックを胸に抱えて寝るような姿勢が楽かもしれず、これは胸の緊張を表しているのだそうです。


◆寝る、歩く
上記のような体操やリラックスポーズもよいですが、根本的にはよく寝られるようになるのが重要なのでしょう。
夜遅くまで仕事をしたりモニターを見たりするのはよくないのでしょうが、問題は間質性膀胱になると就寝中でも膀胱が痛くなったり尿意がするので眠れなくなることです。
これについては必要があればトリプタノールといった催眠効果のある薬の力を借りるのもありだと思います。
寝ている間にあらゆる心身の機能が回復するので、寝室の温度・湿度、寝具の工夫も重要でしょう。

また、歩くことの効用も大きいです。
精神的な効果もさることながら、運動構造上の観点からは歩くことで筋骨格が整っていくので、散歩というのは腰や背中の歪みを調整するのにとても効果があると思います。
慢性前立腺炎や間質性膀胱の痛み現象も、歩くと多少楽になるという経験をしていますが、これは腰椎5番をはじめ歩くことで脊柱や骨盤がある程度整っていくことの効用ではないかと思います。
痛みが激しいときは歩くのも大変かもしれませんが、歩くときにはリュックやバッグは持たず、手ぶらで歩くのがおすすめです。

◆尿路感染症との関係

個人的に関心を惹くのは尿路感染症との関係で、症状自体が尿路感染症と酷似しているのが難しいところなのですが間質性膀胱炎については尿路感染症の既往がある人に多いという論文があります。

この点については解釈が難しいですが、検査では検出しにくい、かつ弱毒性の尿路感染症という可能性もあるかもしれませんし、あるいは尿路感染症にかかりやすい体質(冷えで免疫が低下している)になると膀胱の痛み症状などを神経回路を通じて脳が記憶するというケースもあるかもしれません。

もっとも、こういうケースでも脳だけの問題ではなくて、おそらく膀胱などの内臓への血流改善(呼吸を深くして眠る)が必要になっていることが多いのかなと想像します。

◆環境調整こそが難題
以下は自身の課題でもありますが、体の問題も結局は心の問題。
そして、そこでの心といっても、それは思考ではなく感情の問題だと思っているのですが、これに対処しないことには根本治療にはならないと思います。
もちろん、体が楽になれば心も晴れ晴れしてくるので体の調整は必要ですが、ある種の感情のわだかまりが取れないと間に合わない可能性もあろうかと。

自身を診てくださった主治医は「膀胱は心の鏡」とおっしゃっていましたが、身体表現性障害という意味ではまさにその通りで、ある種の感情が解消されないと根本治療にならないケースもありそうです。

で、その感情のもつれがどこから来ているかなのですが、慢性と名がつくくらいですから、個々人の歴史をひもとけば根が深いケースも多いと思います。
ストレスを浴び続けて不調になるくらいですから、総じて我慢強い、責任感が強い、逆に言うと負けを認められない、ストレスを感じている自分をあたかも他人事のように感じてしまう傾向(離人感)があるのかもしれません。
「先週あの人に嫌なことを言われた」みたいなレベルではなく、長年のある種の軌道のズレがあることが多いのではないでしょうか

こうした我慢強い傾向は社会的には立派に見えますが、心身が壊れる方向に振れているわけで、賢い対応ではないのでしょう。

なので、まずはストレスフルな環境から離れるというのも治療だと思うのですが、これが家庭とかにあると大変だと思います。
「転地、転職、転婚」という言葉もあるようで、病気治療においては環境を変えることの意味は大きいと思いますが、子どもといった親の影響から逃れにくい立場にあると、これは大変だろうと想像します(子どもに慢性前立腺炎は少ないと思いますが…)。

仕事であれば一時休職するとか、転職もありだと思いますが、仕事内容というより人間関係の問題が大きい場合には配置転換とかも考慮に値するでしょう。
自身の個人的な課題はこの辺だと思っているのですが、大きな組織ではないのでこれを調整するのがまあ大変な困難を伴いそうです。
まあ、そんなこと気にしないというのが賢い選択なのはわかっているので、具体的な対応に出てみようとも思い始めています(←さっさとやれよという感じですが…)。

◆しかし環境だけでよいのか
環境の調整を果たしたとしても、やはり自分の感受性とか生き方に向き合う必要もあろうかと思っています。
環境を変えて治った、めでたし! というのでも十分ですが、自身の感受性を把握できていないと新しい環境でも同じことを繰り返すかもしれません。

この辺は、親しい人に話してみる、専門家によるカウンセリングをしてみる、というのがよいかなと思っています。
具体的な答えを探すというより、まずは話すということで感情を整理したり、発露してみる

あるいは気分転換の旅行とか、サンドバッグを殴るとか、何かストレス発散を試みる。

そうする中で、自分はこういう人間だったんだなとか、自分の要求とか、もっとこうありたい、というビジョンが見えてくるのかもしれません(自身はまだここには至っていません)。

 


治る・治らない、という2つの点の間には毎日の暮らしが確実にあるわけですが、その間にある暮らしを丁寧に過ごすというか、ちょっとでよいのでリラックスして過ごすということを心掛けたいと思っています。

間違っても、苦行や修行をすればより早く治る、というものではないということです(偉そうで恐縮ですが)。

そうじて現代社会は交感神経優位になりがちですが、できることなら、ボーっとして過ごす、というのが一番の改善なのだと思います。