制限 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 美術館や博物館を愛してやまない。

 新型コロナウィルスが出現する前は月に2~3回の頻度で訪れていた。

 朝は神戸、昼は大阪、夕方は京都のはしご美術館を何度も繰り返していた。

 美しい絵画や出土した古いものをいくら眺めていても飽きない。

 それらが発する何かを受信しに行くようなものである。

 

 しかし、2020年2月頃から新型コロナウィルスが蔓延し始めた。

 美術館や博物館の特別展の大半が中止され、建物は閉鎖された。

 今年1月に京都の高島屋で開催された「伊藤若冲展」と兵庫県立美術館での「ゴッホ展」の二つは観た。

 それ以後、一度も美術館・博物館へ訪れていない。

 

 夏頃から美術館、博物館が新型コロナウィルス対策を徹底して開館した。

 混雑を避けるため、チケットは時間指定のものしか買えない。

 例えば11月4日の14時入場というチケットを買わねば観ることはできない。

 諸般の事情から美術館へ行く都合がつくのはその数日前である。

 「この日のこの時間」を指定することが難しい。

 

 現在、大阪の国立国際美術館で開催されている「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」も時間指定のチケットでしか入れない。

 昨年からこれを楽しみにしていたのだが、チケットが買えそうなのは繁忙期に入ってからである。

 「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」も諦めざるを得ない。

 なんとか時間を確保できても、コロナウィルスの動向次第で、期間中の閉鎖の可能性もある。

 楽しみを奪われた苦痛は筆舌に尽くしがたい。

 

 仕方がないので、数分前にネットで図録を購入した。

 本物が発するエネルギーを図録では傍受できない。

 図録は写真でしかない。

 美術館・博物館を堪能できる日が到来することを祈るばかりである。