突破 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 急に便意を催すことは誰でも経験があるだろう。

 先日、小生も商店街を歩いていると催してきた。

 迫りくるビッグウェーブに耐えることは不可能である。

 

 三条会商店街に西友があることを思い出した。

 迷っている暇はない。

 事態は切迫している。

 

 店舗の2階にトイレがある。

 肛門突破にあと数センチの状態である。

 トイレの前に一人の男が荷物を置いていた。

 その男より、糞をすることが優先である。

 

 ドアを開けると、洋式と和式の便器がある。

 和式を選択すると、肛門から噴射される糞が飛び散る可能性が高い。

 洋式を選択し、着地と同時に糞が出る。

 この時の幸福感は言語にできない。

 「あー、くそっ」と独り言が聞こえてきた。

 

 ドアの前にいた男であろう。

 同時に便意を催し、同じ場所に駆け込んだと思われる。

 男は和式を選択せざるを得なかった。

 

 脱糞後、手を洗いに行く。

 その男だろうか、ドアの前で小生を見ている。

 知り合いではないが、満面の笑みを浮かべてみると、男は全力でドアを閉めた。

 

 あの男はなぜ、怒っているのだろう。

 便所は早い者勝ちである。

 小生の満面の笑みが怒りを買ったのだろうか。

 怒りと便意が同時に生ずると、ヒトは脱糞しながら憤怒するらしい。