力 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 昨日は両親の仲人に会った。

 その人物が小生の誕生を大きく左右した。

 別の家に縁談を持ち込んでいたら、小生は存在しない。

 目に見えない大いなる力が働いているのだろう。

 

 父方の祖父は、戦後に養子としてやってきた。

 その祖父は小生の幼少期に死去したので、詳しいことは覚えていない。

 祖父は父方の祖母からすると、二人目の夫である。

 一人目の夫は戦死した。

 祖父も戦争へ行っていたようだが、生きて帰ってきた。

 戦死していたら、小生は誕生するはずがない。

 

 戦後、家に養子を迎えようという決断をしたらしい。

 誰かがその話を祖父の家に持ち込んだため、小生は誕生した。

 その話を他の家に持ち込んでいたら、小生は存在しない。

 祖父の家が養子の話を断っていたなら、小生は存在しない。

 

 ここに「大いなる力」を意識せずにはいられない。

 祖母の一人目の夫が無事帰還していたら、小生は存在しない。

 二人目の夫となる祖父が戦死していたら、小生は存在しない。

 昨日、会った両親の仲人が他の家に縁談を持ち込んでいたら、小生は存在しない。

 その縁談が母方の家が断っていたら、小生は存在しない。

 

 小生は偶然の産物であるに違いない。