クワガタその後(最終回)
表題をみて推測されるだろうけど、うちのクワガタは全滅してしまった。今回はその顛末を書く。
さて、三匹めのクワガタ(雌)を捕まえた直後、最初の奴(雄)が死んでしまったので、残りの二匹は争いもなく晴れて番い(つがい)になった。番いになると言うことは交尾をするということだと岩波国語辞典を見てはじめて知った。甲虫の交尾を見たのは初めてだ。動物のように腰を振るわけではなく、雌に乗っかった雄の尻の辺りから平たい尻尾みたいちょろちょろと出ている。息子たちは「クワガタが戦っている」と大喜びだ。まあ、ある意味“戦い”には違いないのでとくに訂正はしない。後日トリさんに聞いたらクワガタは雌雄一緒にするとすぐに交尾を始めるそうだ。で、一週間ぐらいで産卵準備完了となるのだが、それでも環境が整わないと卵は産まないらしい。クワガタの種類によってもその環境は違うんだとトリさんは言った。
昆虫図鑑を見て、「卵を産ませるのなら朽ち木とか用意しないとダメみたい」とかみさんに言うと、また金がかかるのかとがっかりしていた。でも否定しないところをみると繁殖させることには反対ではないらしい。交尾を見ながらかみさんが「これって合意の上なの?強姦みたい」と言った。野性生物に強姦ってあるのか?多分ないだろう。今の横浜では雄と雌が出会うのですら難しいと思うし、やっぱり出会ったら番っておかないと子孫を残すことは出来ない。また、クワガタの雌は一度交尾すると何回でも卵を産めるらしい。一回の交尾でいくつくらいの卵を産めるのか、番った有効期間はどのくらいなのか等、そのメカニズムはまだ解明されていないということだ。クワガタを飼うだけでいろんなことが勉強になる。やっぱり机に座っているだけじゃ物事は学べないことをキモに命じなければ。
で、翌朝見たらまた一匹死んでいた。交尾したから雄が力尽きたのか、と思ったが死んでいたのは雌のほうだった。ショック!クワガタ繁殖の夢はあっさりと一晩で消えてしまった。トリさんのマンションではクワガタのブリーダーがいるという。もっともあっちはオオクワガタなんだろう。コクワガタじゃ売れないよなあ。一匹だけ残った雄は寂しい素振りを微塵も見せず、元気に餌をなめたり流木の上を走ったりしていたのだが、それから2日もするとあっけなく死んでしまった。カブトムシはワンシーズンで死んじゃうけどクワガタは上手く飼えば3年ぐらい生きると聞いていたので、がっかりだ。もっとも土も入れずに飼育ケースの中にいれといて越冬させようなんてハナッから無理に決まってる。たっぷりと残ったクワガタの餌を見て長男は言った「何のためにえさ買ってきたの?意味ねーじゃん!」年長さんになると生意気な発言が目立つようになる。息子よ、この餌は来年カブトムシに使うのだ。うちの近所の森林公園は実はカブトムシが取れる横浜で最大規模の場所なんだぞ。
P.S.先日、かみさんがいつも野菜を買っている農家の奥さんがカブトムシの幼虫をくれた、それも4匹も!
腐葉土もたっぷりもらったし、来年がまた楽しみである。