またグリーンカードとしての名前の由来は1940年代当初に採用されたカードの色がグリーンだったことに起因するらしいが、このカードの色は1960年から1970年代まではブルー、1980年代は白、1990年代はピンクとなり、現在は白となっている。
アメリカには学生ビザ(F-1)、就労ビザ(H-1)、駐在員ビザ(L-1)などをはじめ短期滞在を前提とした多くの種類の非移民ビザが存在するのだが、 その全てが米国内での活動や滞在期間に制限が設けられており、それらのビザのまま、アメリカに制限期間以上滞在することは不可能になっている。一方でグ リーンカードを保有している場合、10年ごとに設けられた更新手続きさえしていれば、米国市民同様に何の制限も受けることなく米国内に住み、働き所得を得 ながら生活していくことが永久的に可能となる。グリーンカードを保有していること=永住権を保有していることであり米国市民以外に(日本の国籍を失わず に)米国内に永久的に滞在できる唯一の方法であるといえるだろう。
永住権の取得方法は、結婚や親族にスポンサーとなってもらう方法や、抽選に当たる等いくつかあるのではあるが、今回は主に就労ベースによる方法を紹介する。
永住権申請にはまず自分がどのカテゴリーに該当するのか判断する事から始まる。永住権申請は家族関係に基づくものと、雇用関係に基づくものとの2つに分けられるのだが、個々のカテゴリーでそれぞれ下記のように優先順位が決まっている。
雇用関係に基づく移民
EB-1:優先就労者、国際組織に勤務する管理職者
EB-2:高度の教育を必要とする職務に従事する者、並外れた能力の持ち主
EB-3:熟練工、専門職者、その他の労働者
EB-4:特殊移民
EB-5:雇用促進者(投資家)
家族関係に基づく移民
第一優先移民:アメリカ市民の21歳以上の未婚の子供
第二優先移民:永住権保持者の配偶者および子供
第三優先移民:アメリカ市民の既婚の子供
第四優先移民:21歳以上のアメリカ市民の兄弟、姉妹
雇用ベースの場合、EB-1で申請できるのはスポーツ選手(松坂や松井みたいな)や有名大学教授等のごくわずかの人間に限られるのだが、グリーンカードがおりるスピードももちろん一番早い。EB-1は無理だとしても、出来る事ならEB3よりはEB2で申請したい。
そしてグリーンカードには大まかに3段階の手続きがある。
1.Labor Certificate(LCA=労働許可証)
2.I-140 Petition for Immigrant Worker (実際に職務を勤める能力・経験があるかどうかを証明する書類)
3.I-485 Application for Greencard (就労ビザより永住権への切り替えの為の書類)
上の3つはいずれも申請書類の名前である。
LCA外国人労働許可申請は、殆どの雇用ベース永住権権申請の第1ステップとされ、雇用スポンサー先は、米国市民や永住権保持者で最低資格条件を満たす適 格な人材がいないことを証明しなくてはならない。雇用スポンサー先が求人募集活動(人材募集広告)を行った結果、最低採用条件を満たす米国市民や永住権保 持者の求職者が見つからなかった場合、更に、外国人受益者・労働者が最低条件を満たしている場合、LCA外国人労働許可申請は承諾・認可される。資格条件 は、職務をこなすのに最低必要な学歴、職歴、特殊技術・知識になり、雇用スポンサーはその労働者個人の属する州における特定職名の平均給与額を支払う義務 がある。
以前のグリーンカードには、申請方法が大まかに通常申請(Normal)の場合と、RIRと呼ばれる特別プログラムの2つがあった。通常、雇用に基づくグ リーンカードの取得には非常に時間がかかるのだが、これは永住権申請に必要な労働許可(LCA)が下りるまでの審査期間がとても長いためだった。そこで移 民局は、審査の効率化を図るため、97年にRIRという特別プログラムを開始した。RIRは、米国で人材が不足している職種に限って労働許可の審査を短期 間で行う制度で、永住権の短期取得を可能にならしめる当時画期的なものであった。適用条件としては:
● 雇用主が、申請前の6ヵ月間にその業界で通常使用される広告媒体を通じて求人活動を行い、適切な米国人労働者を見つけられなかったことを証明すること
● 当該職種がその地域で人材不足の職種であると認められていること
RIRが始まった当初は、日本食料理人やコンピュータ技術者などの限られた職種のみに適用されていたという記憶なのだが、最近では、アート・ディレク ター、グラフィック・デザイナー、ブックキーパー、建築製図士、マーケットリサーチャーなど、その適用範囲は徐々に広がっていたみたいだ。
実はこのRIRもNormal申請も2005年4月以降もはや存在しない。
最近はPermという新しいプログラムが登場し、RIRもNormal申請も無くなりPermで統一された。このプログラムは、上記RIRで説明したグ リーンカード申請時の第1段階目に当たるLCAの所である。労働許可証取得にかかる時間が、約45-60日に短縮される上、オンラインで申込みが出来、必 要な書類も移民局からの要求がない限り監査されることがないという手続きだ。しかしグリーンカード取得のプロセスは、まだまだその先の第2段階、第3段階 のステップがあり、これらの段階は従来と同じ時間がかかるので、結果的には、このプログラムによってかなり短期でグリーンカードが取れるかというと微妙な 所だと思う。しかしその第1段階の労働許可証を取るだけで2年3年とかかっている所が45日から60日で終了できる訳だから、確かに時間の短縮には繋がる と言えるはずではある。
その後I-140とI-485があるのだが、これは同時申請も可能である。
I-140が承認されるとEADカードと呼ばれる、発行時より一年間有効な労働許可証が発行される。これは、就労ビザが既に切れている場合就労ビザの代わ りとなるもので、グリーンカードが取れるまで毎年更新することになる。I-140が承認され、その承認より180日経過した後にもしEADカードが手元に 届いている場合、そのEADカードを行使して自分の所属する会社から他に移る事が出来る。EADカードを取得する事で、雇用ベースより個人ベースに移行す るからである。今まで会社に不満を持ちながらグリーンカードの為に悪条件で働いていた人間達は、どうしても現状に我慢できない場合このタイミングを待って 会社をかえる場合が多い。会社を移る人間は次の会社も同じようなポジション、同等もしくは以上の給料が求められ、また仕事先も同じ移民局の管轄である事が 望まれる。この辺は自身の弁護士に聞いていただいた方が良いと思われる。またEADカードを何回か更新する場合、申請・更新手続きに2-5ヶ月かかるので 留意したい。
就労ビザよりEADカードに移行後、アメリカ国外に出れないという人がよくいるが、そんな事は無い。
EADを取得または更新する際に、AP(Advanced Parole)という書類を同時に申請すればよい。APは出国して再度アメリカに入国する際に各空港の移民局の窓口に提出する、通行手形のようなものだ。APは一度の申請につき2通おりる。
実際グリーンカードの取得は、まだ取得していない人にとってはアメリカに長期に渡り住み続ける為に必要不可欠な、アメリカでの成功への貴重な第一歩であ る。変な話、グリーンカードさえ持っていれば仕事があろうが無かろうが、また学生であろうが無かろうが全くもって関係無い。またアメリカを短期間離れよう が何度でも戻ってこれる。(グリーンカード保持者の海外滞在については通常6ヶ月以内とされるが、移民局に特別申請をすると2年間までアメリカを離れる事 が出来る。)
自分もグリーンカードを申請、3.5年間をグリーンカードが下りるのを待っていた経験上から言えるのであるが、グリーンカードを取得するまでにかかる労力 それから弁護士料、そして取得までの年月はとてつもなく大きなコミットメントである。そしてまた、弁護士も人によりけりである。どの法律にもあてはまる事 だとは思うのだが、弁護士によって出来る事が出来ないとされたり、申請に時間や金がかかったりするのである。またやはりこのグリーンカード申請に伴う法律 もいくつかのグレーゾーンがある。これらグレーゾーンの解釈も弁護士によりけりである。
3.5年間を短いと見るか長いと見るかは個々の見方によるのであろうが、これだけの間自分の人生がグリーンカードに振り回され、制約されると否が応でもそれに伴う法律に詳しくなる。もし質問があるようであれば分かる範囲で回答して行ければとは思っている。
p.s.
最近グリーンカードがとてつもなく早く取得できるらしい。数人の知り合いが今年に入ってから6ヶ月以内に続々と取得している。通常RIRでさえ早くとも3 年半、長ければ7-8年は待つというのが常識だったはずで、こんな事態は自分が知る限り過去10年では起こりえなかった事である。
Peace

