「卒業って、大人になったら無縁よね」
「まぁそうね。でも何となく今でも、春になるとちょっと切なくなるわよね。…あ、米国の卒業は夏か」
「…まぁね」
正確には、私は小学校すら卒業していないけれど。
「まぁ兎に角、日本だと春、桜のイメージかしら。街中で別れを惜しんでる学生を見ると、微笑ましいわよね」
「青春、ってことなのかしら」
「志保にも経験して欲しかったわ。出会いと別れ、楽しい学生時代…」
「でももう今更学生にはなれないし、卒業は経験出来ないわよね」
「引っ越しとか転職もある意味卒業じゃない？推しのアイドルが卒業するとか、好きだった漫画が終っちゃうとかも似てるかも」
「まぁそう考えると…。私にとっては何かしら」
特に推しているアイドルはいない。楽しみにしてる漫画も特にはない。じゃあ一体…。
「卒業ソングを色々聞いてみるとか？今度お薦め集めておくわね」
「ありがとう」
あ…、今一曲思い付いた。この支配からの、卒業。