過去作に加筆
「…」
「おはよう、大君」
「…おはよう」
目覚めると明美が微笑みながら、こちらを見詰めていた。昨日は久々に彼女の家に泊った。それにしてもやけに明るい…。
「今何時だ?」
「9時よ」
「もうそんな時間か?」
普段朝から仕事がなかろうと、もっと早く目覚める。時折明美の家に泊まる日も、彼女より後に目覚めることはなかった。人と一緒に眠ると、どうしても眠りが浅くなるのだ。
「今日は仕事ないんでしょう?ゆっくり寝てて」
「だが…」
「大君、普段の睡眠時間が短すぎるのよ。ちゃんと寝ないと、体壊すわよ?朝食作っておくから、ゆっくりしてて」
彼女はベッドから出る。
そもそも寝た時間も、彼女に合わせ普段より大分早かった。一度も目覚めなかったし、いつもの倍以上の時間、彼女の隣でぐっすり眠っていたことになる。自分が信じられなかった。まさか日中、誰かに睡眠薬でも盛られたか?などとつい疑ってしまった程だ。
だが恐らく、もう彼女が”そういう存在”、ということなのだろう。隣で寝ていて心地良い、安心して熟睡出来る相手なのだ、彼女は。彼女といる時は煙草も吸えないけれど、苦ではない。”諸星大”を演じている意識はもうほぼない。そういうことなのだろう。
さっきまで彼女が寝ていたベッドの温もり。…あぁ、平穏で幸せな微睡…。また寝てしまうのは勿体ない。
キッチンの方から小気味いい包丁の音と、良い匂いがして来た。あぁ、良い朝だ。最高の朝だ。
穏やかなな大明/秀明も良い。次のpixivは(ディアミリ除き)秀明かな。