●新テニ 塚ミユ(テニミュ) | 雑種犬 G種ディアミリ/テニミュリョ桜王子/DCジンシェリ・秀明 等小話ブログ

テニミュのイメージ、方言はニュアンス。イップスを克服出来た~♪の後

 

★また明日

 

 

 

「明日試合なんだ」

「…そうか」

 

明日は関東決勝、立海と当たる日だ、見届けに帰りたいと思っていた。だが彼女が何か言いたそうにしていることが分かり、申し訳なくなる。

 

「…今のお前なら大丈夫だ、きっと」

「…そうかな?」

「俺のイップスを治してくれたじゃないか。自信を持って、…テニスを楽しめ」

「…うん!じゃ、また明日!」

「…あぁ、また明日」

 

遂に言えなかった。明日はもう、東京に帰ると…。

 

 

 

会場内に泥棒の兄ちゃんの姿は見付けられなかったが、何処かにいるのではと思いながら、あの言葉を噛み締めて試合に臨んだ。楽しんだ、テニスを。そして優勝した…!

試合に来てと約束はしていない。いつものコートにいるのではと、メダルを手に走って向かった。

 

「ドロボーの兄ちゃん!優勝したっちゃ!…ドロボーの兄ちゃん?」

 

だが姿はなく、辺りを見回してみると…。

 

「あ、手紙…?」

 

良く一緒に休憩したベンチに、テニスボールを重しに手紙が置かれていた。

 

『ミユキへ

試合に行けなくて済まない。でも今のお前ならきっと、満足出来る試合が出来たと信じている。

俺もお前のお陰でイップスを克服出来た。だから仲間の元に戻ることにした。何も告げないままで済まない。

お前のことは忘れない。テニスを続けていれば、またきっと会えると信じている。

お前のお陰で、忘れ掛けていた大切なことを思い出した。本当にありがとう。

ドロボーの兄ちゃんより』

 

「…何ね、勝手に帰ったと…?…でも、大切な試合があるって言ってたし…。きっと優勝出来るっちゃ。また会えるって信じとるからね、ドロボーの兄ちゃん…」

 

手紙とテニスボールをぎゅっと握り締め、ミユキは誓った。もっと強くなるっちゃ!また一緒にテニスしような、ドロボーの兄ちゃん!