短歌のようなひとりごと -13ページ目

きみの強さよ

ちちははの前では元気 心配をかけてはならじきみの強さよ

そばにいる

だんだんと歩くことさえ不自由になっていくきみ そばにいるわれ

家族葬(3)

家族葬にしてとかすれた声ひびく キンモクセイが散りはじめても

「いってらっしゃい」

動くのが苦しくなって今朝のきみリビングで言う「いってらっしゃい」

この時間

手料理を味わっているこの時間とどめることのできぬかなしさ

おまえ

食道が圧迫されて飲み込めぬ 支配しているおまえ呪わむ

鋭きもの

苦しげに声かすれたるきみの眼に鋭きものが住みついている

家族葬(2)

家族葬にしてとかすれた声で言う キンモクセイの香る季節に

家族葬

家族葬にしてとかすれた声で言う 見なれた空に月冴えるころ

マグロ

食欲のわかないきみに食べさせるマグロを積んで義父は自転車