短歌のようなひとりごと -12ページ目

1リットルの涙

病院の屋上に出て空をみる1リットルの涙のあとに

病室

カーテンを閉めて虚空を見つめてる六人部屋に夕日は射さぬ

別の世

君からのメール返信こない日はふとんに入りて別の世を見る

「お父さんのマスク」(2)

「お父さんのマスク」 と書いた紙袋 外泊許可できみがしたこと

カステラ

カステラも喉を通らぬほどになる十日遅れのわが誕生日

何もできない(2)

あれ欲しいこれ食べたいと言ってくれ 何もできないことの悔しさ

むらさきの跡

点滴の針が刺したる手の甲にくっきり残るむらさきの跡

何もできない

あれ欲しいこれ食べたいと言ってくれ 何もできないことの苦しさ

波の音

入退院くり返しつつ時は経つ静かな秋に聞く波の音

「お父さんのマスク」

「お父さんのマスク」 と書いた紙袋 きみが我が家でやりたかったこと