魔王91 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

切れなくて長いです。

 

 

カズ

 

 

 

 

気持ちがざわついて、

イライラする。

だから黙れと言ったのに、

櫻井翔が黙らないから殴ってやった。

 

「これ以上何かいったら殺す。」

 

脅してやった。

 

櫻井翔は、

憎憎しい顔で俺を睨んでから

くるりと背を向けて去って行った。

 

 

 

サト・・

サト・・・

会って話をしなくちゃ・・

俺のどこが悪かったんだよ・・

 

 

しかし、あの屋敷には

もう入れないだろう。

どこに行けば会えるんだ・・

 

櫻井翔のところ?

いるかもしれないが、

あれだけ、怒鳴ったんだ

無理だな。

それに櫻井翔のそばにいるのは

サトじゃない。

男を惑わす人形の

成瀬領だ。

 

散々考えた俺は、

井ノ原さんに会おうと決めた。

あいつの言った通りの行動を

することが不愉快だったが・・仕方ない。

 

他に方法がないんだ。

 

 

他人を装って

事務所に電話を掛けた。

 

「すみません、

喜多川物産の櫻井ですが、

井ノ原さんの

今日の予定を教えてください。

急ぎの要件があるのですが、

電話がつながらなくて」

 

ふん・・ちょろいぜ・・・

今日は、あいつら3人が

AMEBTVで収録か。

終了予定時間は7時30分。

今7時前か・

そろそろ地下駐車場に向かう時間だ。

 

俺は、

急いでAMEBTVに向かった。

 

守衛室なんかもちろん顔パスで、

俺は苦も無く地下駐車場に入った。

7時20分、

駐車場の奥、いつもの場所に

見慣れた黒いワゴン車がとまっていた。

 

 

俺は、運転席に近づくと窓を叩いた。

タブレットを操作していた顔が

外を見る。

 

「カズ!」

 

一瞬にして井ノ原さんの顔が強張る。

 

「乗せるか、降りるかしてよ。

話があるからさ。」

 

換気用に

少しだけ開いている窓に向かって俺は、

にっこりとアイドルスマイルを

見せてやった。

 

 

「俺、芹沢家側の要求通り

示談金500万払ったから。

これで、いいんだろ?

 

でさ、井ノ原さんも

俺に話すことない?」

 

でも井ノ原さんは、

黙ったまま。

 

「ふう~ん。

そうだよな・・

所詮、可愛いのは

あの3人だけだし。

最初から俺たちは、

あの3人の踏み台だもんな。」

 

事実を淡々といや、

井ノ原さんにとっては

嫌味にしか聞こえないだろう。

 

「悪かったよ、

言うのが遅くなって。」

 

タブレットにおとしていた視線を上げると、

井ノ原さんは、

助手席の俺の方に顔を向けた。

 

「ストームは解散する。

仕方ない、

この状況では続けられない。

グループ内に

犯罪者がいるんだからな。」

「うっ・・・・」

 

俺が捕まったことは事実だ・・

今までの犯罪は旨く隠し通せたのに・・

サトの裏切りのせいだ・・・

なのに示談を持ちかけてきて・・

 

「事務所の力で

どうにか抑え込んだ。

だから、今のうちに

すべてを清算するんだよ。

カズ・・

まさかおまえがこんなことをするとは・・

俺にも責任があることくらい

重々わかっている。

だから、お前のことは

最後まで責任をもって

面倒みるつもりだ。」

 

真剣な目をしていた。

そうさ、最初からこの人は、

俺たちのことを

ちゃんと考えてくれていた。

だから、俺が相談・・・

いや、ダメだ・・無理だ・・

それにサトのことは、

サトが誰に言わないでって・・・・

 

「カズ・・・

お前の弁護士費用は

事務所が負担した。

それが退職金だ。

とにかく、気に入らなくとも

弁護士の言うことを聞いて

穏便に済ますんだ。

あの弁護士胡散臭いだろう・・

だがな、今までこういうケースを

うまく処理してきた狸なんだよ。

カズの一番嫌いな人種だって

わかってる。

辛抱してくれ・・・

ストームの後処理が終わったら、

俺がお前の話をきちんと聞くから。

 

頼む、あと少し時間をくれ・・

じっとしていてくれ。

何かをしようなんて

思わないでくれ・・」

 

拝むように

俺に訴える井ノ原さん。

 

「井ノ原さん・・」

 

サトは、サトはいったい・・

そう聞こうとしたとき、

入り口が騒がしくなってきた。

3人が戻ってきたようだ。

 

「カズ、早くいけ・・

あいつらに会わない方がいい」

「わかった」

 

俺は車を降りると

あいつら3人からみえないように

車の影に隠れながら、その場から逃げた。