リフレイン 透明な光24 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おどけた櫻井さんのおかげで、

気分が明るくなった。

ご飯を食べることになり、

じゃあ行きますかと、

櫻井さんが立ちあがると

突然電話が鳴った。

 

「なんだよ、華姉か。

えっ、そうなんだ。

今?成瀬さんと一緒なんだよ。

教授の別荘を見に行ったんだ。

うん・・」

 

電話で会話しながら、

櫻井さんが困ったように僕を見る。

誰だろう、相手は。

僕がいたら邪魔そうだ。

 

「櫻井さん、

忙しいようなので僕はこれで・・」

 

僕は立ち上がりながら、

帰りますからと、

声を出さずに伝える。

すると、櫻井さんが僕の腕を掴んだ。

 

「成瀬さん、

俺の家でもいいですか?

実は従姉が

夕飯を作ってくれたみたいで・・・」

「従姉?」

 

誰、僕が行ったら迷惑じゃないの?

 

「そう、華姉って呼んでる。

お袋の妹の娘なんです。

結婚しているんだけど、

毎日暇を持て余しているようで、

頻繁に俺のところに来て

飯を作ってくれてて、

独り身の俺としては、

ありがたい人なんですよ。

あっ、それに料理が得意で、

プロ級だから、

その辺の店に行くよりも

旨いものが食べられるかも・・・

成瀬さん、行きましょう。

俺の家は、

そこ、そのマンションのあの部屋です。」

 

俺は、自分のマンションを指さしながら、

戸惑う顔の貴方を少し強引に誘ったんだ。

電話口の華姉が囁いた言葉どおりに。

 

「一人になってから初めてよね、

貴方が誰かのこと話すのは。

翔が気になっている相手、

智君にも紹介しなくちゃ」

 

そうだった。

智が俺に残した手紙

自分はもう俺を幸せにできないから

誰かと幸せになって欲しい。

自分のことは月を見ながら

お酒を飲むときに

思いただしてくれればいい・・・

 

俺のことを誰よりも愛してくれた、

最後まで自分の事よりも

俺を心配してくれた智。

 

智、俺は今とても

気になっている人がいるんだ。

彼のことをみたら、

きっとびっくりするだろう・・

だって智にそっくりなんだから・・・

最初はそれで彼のことが・・・

でも、彼は智とは全然違うって気がついた。

弱くて、

臆病で、

誰も頼れる人もいない、

悲しい人なんだ。

皆に愛された智とは違う。

 

 

「さあ、行きましょう、

成瀬さん。」

「えっ・・は・はい。」

 

俺が成瀬さんの手を握ると、

顔を真っ赤に染めた彼が、

俯いたまま小さな声で返事をした。