リフレイン 透明な光23 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたんですか、櫻井さん。

もしかして

気分を悪くされたのですか?」

 

成瀬さんが、

心配そうな顔で俺に聞く。

 

「えっ・・」

 

意味が解らない。

 

「僕が意味もなく

泣いてばかりいるので、

面倒なやつだって・・

思いますよね。」

 

俯いてぼそりと呟く。

 

違う・・そうじゃない・・

俺は・・

 

「成瀬さんが

過去に何か辛い目に遇ったってことは、

相葉さんから聞きました。」

「えっ、ど、どうして」

 

さっと成瀬さんの顔色が変った。

そのことには

触れたくないんだろう・・

 

「あのホテルは仕事の関係で‥

昔からの顧客です。

今度先代が引退して、

新社長に交代するんですよ。

その就任パーティの

企画を依頼されました。

その打ち合わせで見えられたときに、

成瀬さんからの電話が

ちょうどかかってきて」

「さ・・櫻井さん」

 

成瀬さんの手が

ぎゅっと握られて・・震えている。

 

「大丈夫です。

何も聞いていません・・

ただ、相葉雅紀さん・・

新社長が迷惑をかけたと

おっしゃっていただけです。

俺が聞いていいことじゃないですから。」

 

安心してくださいと、

俺は微笑んだ。

 

「誰でも、

人に秘密にしておきたいとはありますから」

 

そう、財前教授だって・・

俺も・・・ずるいんだよ、人間は・・

 

そんな俺の腹の中なんか

知るはずもない成瀬さんが、

ほっとしたように、小さく息を吐いた。

 

「ごめんなさい。今は・・」

「いいんですよ。

今、俺が考え込んでいたのは、

みんな辛いことを抱えて

生きてんだなって

柄にもなく

感傷的になっていたんです。

國比呂伯父や、

あの神の手を持つ大医師だって・・

みんな・・」

「櫻井さん?」

「いいえ、なんでもないです。

そうだ、飯食べませんか?

もういい時間でしょ。

俺の腹がさっきからうるさくて・・

ほら、聞こえませんか?」

 

腹を突き出すようにした俺を見て

くすっと笑う成瀬さん。

 

「たしかに、もう7時になりますね。」

「じゃあ、決まりだ。何がいいですか?」

 

俺がベンチから立ち上ったと同時に

携帯の着信音が鳴った。