魔王88 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しでも早くカズに会って

話をしたかったが、

事後処理を任された手前、

そうもいかず・・・

井ノ原さんと、

後任のタレントについて話し合う。

しかし、気持ちは上の空で・・

 

「櫻井さん、

責任はちゃんと取ります。

ストームに引けを取らない

うちの一押しのグループを

後任としてあてますので、

どうか、よろしくお願いします。」

「えっ・・・ええそうしてください。

室長からも

当社のプロジェクトに

支障がないように

速やかな対応を

求められていますので。」

 

とりあえず

当たり障りのない返事をしたものの、

なにか引っかかるものを感じる。

 

カズもそうだが、井ノ原さんも

奥歯にものが挟まったような

歯切れの悪い態度。

悪いと思って謝っている言葉に

嘘はないようだが、

何かを隠しているような気がする。

 

「井ノ原さん、

ストームが解散する理由は

サトが辞めたいといったせいじゃないのでは?」

 

ずばりと切り込んだ俺の言葉に

井ノ原さんの視線が泳いだ。

 

やはり、本当の理由は、別にある。

 

「サトが辞めたいと言ったのは

本当です。

でも、当方としては、

問題が発覚する前にストームを解散し、

サトとカズは引退させたいから・・」

「引退?二人とも・・

どうしてですか?」

「サトは・・サトにはもう

働く理由がないから・・

カズ・・

カズは警察に捕まったからです。」

「えっ・・・」

 

俺は、血の気が引くのを感じた。

カズが何をしていたのか、

詳しくは知らない・・

だか、俺を拉致して

口封じの動画を取ったことから少なくとも

あのモデルのマリエの件には

関わっていたことは間違いない。

勿論サトである成瀬さんもだ。

場合によっては、

カズが俺の名前を出せば、

俺もただではすまないかもしれない。

 

だか、井ノ原さんは

二人がとは言わなかった。

それどころか、

サトは働く必要がなくなったって・・

どういうことだろうか?

 

「井ノ原さん、どういうことですか?

井ノ原さん!」

 

詰め寄る俺の強い口調にも

井ノ原さんは、唇を噛んだまま。

 

「井ノ原さん、理由を・・・

何があったのか教えて欲しい」

 

再度の詰問に、

井ノ原さんは立ち上がった。

 

「後任の件はすぐに調整します。

ストームが行うはずだった撮影には

必ず間に合わせますから。」

 

早口でそう言い切ると、

俺の返事を待つこともなく、

部屋を出て行った。

 

俺も、急いで立ち上がる。

 

カズだ、カズに会わないと・・

カズはまだ知らないはずだ、何もかも。

 

俺は書類の入ったカバンを掴むと、

乱暴にドアを開けて、外に飛び出した。