リフレイン 透明な光 16 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、成瀬さん!」

 

俺は、涙で潤むその瞳に引き込まれ、

思わず肩を抱き寄せていた。

 

「俺がいます。

できることはなんでもしますから。

だから・・・」

「さ、櫻井さん・・ありがとうございます。

でも・・違うから・・」

 

目を伏せて

小さな声で拒絶する成瀬さん。

しかし、俺はその声を無視した。

彼の肩が震えていたから・・

 

「成瀬さん、俺・・俺は・・」

 

俺は、彼を強い力で抱きしめながら、

自分の抱える

この胸のもやもやを訴えようとした。

 

だが、彼は俺の言葉を

ふいに遮った。

 

「櫻井さんは

きっと覚えていないと思いますが、

僕は以前

櫻井さんに会ったことがあります。」

 

不意に顔を上げて微笑む彼。

 

「えっ?

どこで?」

 

俺全然おぼえていない・・

彼と一体どこであったんだ?

 

「満開の桜の木の下で・・・

櫻井さんは、

転んだ僕に手を差し伸べてくれました。」

 

俺は、彼の柔らかな微笑みから

目が離せなかった。

 

あの夜、俺が出会った男性が

成瀬さんだったとは・・

 

思いもかけない偶然に驚くとともに、

それ以上に

彼があの日、手を差し伸べた俺のことを

覚えてくれていたことが

嬉しくてたまらなかった。