リフレイン 透明な光17 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は彼に大変なのにありがとうと

心から礼を言った。

 

「そ、そんなこと・・せ、先生には・

お・おせわ・・・になったんだから・・」

 

ふふふ・・・と笑う声が可愛い。

 

会いたい、彼と会いたい・・

僕は無性にその想いに囚われた。

 

「大野さん、

こちらから送った書類を

確認していただけましたか?」

「ん?な、なに?」

 

彼の実家あてに送った財前先生の遺産の件の書類。

すでに3か月たっているのに、返事がなかった。

他の案件にかまけて放置していた僕が悪いけど・・。

 

「と、父さんの・・と・・とこ・・

しばら・・くかえって・・ないの。」

 

見ていないんだ。

僕は手短に説明した。

財前先生の意思を汲んで欲しいとも。

 

暫くの沈黙・・・

 

「うれ・・しい・・で・も・・

ぼく・・なにも・・してない・・のに・・」

 

戸惑うような声・・

 

「いいえ、大野さん、

貴方は先生にとってとても大切な人でした。

寂しい先生に安らぎをくれた人です。」

 

僕は自分でいいながら、

そうだ、きっとそうだったんだと、再確認する。

 

「大野さん、できればお会いして

説明をさせていただきたいのですが・・」

 

しかし、彼、大野智は

うんとは言ってくれなかった。

 

「い・・まは・・・む・・り・・です。

ご・・ごめん・・なさ・・い」

「大野さん・・」

「ご・・め・・ん・・なさい・・」

 

最後は少し涙声だった。

 

「いいえ、謝らないでください。

いきなりこんな話されても、

驚かれますよね。

申し訳ありませんでした。

こちらがお手紙のお返事がないのに、

ご連絡をしないでいたせいです。

大野さん、

どうぞ、ゆっくりお考えになってください。」

 

僕は何もわかっていなかった。

財前先生が、僕に大野智という人のことを

詳しく話さなかった訳を。

 

その後、僕は時間をおいて何度か彼に

連絡を取ったが、一度も繋がらなかった。

そして、しびれを切らした僕が彼の父親である、

紅嵐先生に連絡をとって彼の死を知った。