魔王83 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

カズ

 

 

 

 

「サト、こいつらは、誰だよ・・

何を企んでるんだ。

芹沢の養子って・・・

あっ・・

まさか・・・お前、

あの隠し口座の金を・・」

「ンフフ・・」

 

サトが笑う・・昔のような可愛い顔で・・

そう、あんな事件が起きる前、

ストームが結成したばかりの頃のような・・・

必死にトップを目指して、頑張っていた、

素直で、真面目な努力家だったサトを

思い出させる笑顔・・

好きだった、あの3人よりも・・

いや、誰よりも大好きだったのに。

 

「サト・・・・俺は・・俺はさ・・」

 

俺は、口まで出かかった言葉を

必死に押しとどめる

おまえが・・サトが・・・

 

でも、サトの笑顔は消えて

冷たい視線が俺を射る。

 

「カズが欲しかったのは、

僕のお金でしょ・・

あの3人が欲しかったのは、

僕のダンスと歌で。

あいつらが欲しかったのは、

僕の体だけ・・

 

もう・・・もう・・

許せない・・・

僕はおまえらの都合のために

いるんじゃない・・」

 

笑っていたサトが

下を向いて肩を震わせた。

 

「カズ、早く帰ってよ。

これ以上カズと話をしていると

嫌なことばかり思い出すから・・

早く!」

 

サトが叫んだ瞬間、

俺の体は両側から男に捕まられて

部屋の外に引きずりだされていた。

 

「おい、おい、待てよ。

サト、サト!」

 

抵抗は無駄だった。

体格が違い過ぎる。

それでも、俺は廊下を引きずられながら、

 

「トイレ、トイレに行かせてくれ。

漏れる。」

 

と、足や、腕を振り回して騒いだ。

 

ドン、俺はトイレに押し込まれた。

 

馬鹿・・・

俺は、ドアを睨んでから、

目的のものに手を伸ばした。

あの日サトとやり取りした携帯を

俺はトイレの中の

予備のトイレットペーパーの袋に隠したんだ。

もし、万が一捕まった時に

これを持っていたらやばいから。

トイレの奥の棚に

積まれているトイレットペーパーの

一つの芯をくりぬき、携帯をねじこみ、

下の方に押し込んだんだ。

 

あれは、犯罪の証拠・・

処分しなくては・・・

 

「な、ない?そんな・・」

 

だが、それは、どこにもなかった。