リフレイン 透明な光11 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後、僕は先生の家に伺った。

 

いつもの部屋には

先生がなじみの店からケータリングを頼んだのだろう、

綺麗な懐石料理が並んでいた。

 

「よく来たな、領。

本当は、この店に食べに行った方が旨いが、

國比呂がいるので、運んでもらった。

その代わりに食材にはこだわってもらったからな。」

「悪いね、成瀬君。」

 

財前先生と櫻井さんの二人が謝ってくるけど、

そもそも僕は邪魔者だよ。

 

「先生、そんなこと気にしません。

呼んでいただき嬉しいです。

先生、これ先生の好きなチョコレートです。

向こうで、食べてください。」

「おお、そうか。

うんうん・・ありがとう、領。

わしが留守の間は、國比呂の甥に

國比呂のことは頼んである。

なにか急用ができたら、

これが連絡先だ。」

 

先生が僕に名刺を渡してくる。

そこには、桜カンパニー 企画第2課 櫻井翔と

かかれている。

 

「連絡先と言っても、翔も同じく台湾に行っている。

この学会の企画運営メンバーに入っているからね。

だから、定期的に私の様子を見に来てくれるのは、

大野君なんだよ。

これは、五郎の冗談だよ。」

 

いきなり國比呂さんから

知った名前を聞いて僕はどきりとする。

先生の遺言書にその名を書かれている人物。

先生にとってとても大事な人だという。

でも、どうして國比呂さんのことを・・

 

「先生が頼んだのですか?」

「そうだ、櫻井翔では役に立たんからな。」

 

じゃあ、名刺は意味ないよね。

わざわざ、にべもない言い方して。

始めて聞いた名前だけど、

先生はこの人が嫌いみたいだ。

 

「五郎、翔は台湾にいるんだから

仕方ないだろう・・・。

成瀬君、翔に連絡するようなことは

まずないだろうから大丈夫だよ。

さあ、話はこれくらいにして

食事にしようか。」

 

國比呂さんが適当に話を打ち切ったので、

そこで途切れたけれど、櫻井翔という人と、

大野という人は知り合いなのだろうか?

僕に疑問が残った。

國比呂さんは大野さんを知っているみたいだけど。

 

先生に聞きたかった。

大野さんのどこが好きだったのですか?

大野さんってどんな人なんですか?

先生が独身なのは、國比呂さんが恋人だから・・・

その國比呂さんの甥の翔さんが嫌いなのは何故?

無性にその理由を聞いた方がいいような気がした。

 

今日は壮行会だから遠慮するけど、

帰ってきたら絶対に聞く。

 

「先生は、どのくらい滞在するのですか?」

「う・・・・ん・・これは旨いな・・」

「成瀬君、1週間の予定だよ。」

 

返事をしなかった先生の代わりに

國比呂さんが答える。

 

「それでは、僕が空港に迎えに行きます。

先生、連絡ください。」

「そんな面倒なことせんでもいい・・」

 

先生は、ボソッと呟いて、ビールをぐっと飲んだ。

 

 

 

 

 

僕は、先生を空港に迎えに行けなかった。

先生が僕に帰国の連絡をくれなかったから・・

 

先生は無言の帰国をしたから・・・