天使を見た記憶 いつか秒針のあう頃 D6 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怒りの感情は私に、あることを決断させた。

君を助ける方法・・・

全ての人格と向き合って

一番自然でいられるものと融合させる。

しかし、これは本人に負担が大きいし、

失敗すればもうもとには戻れない

 

だが、君には

それしかないことを痛感した

そして、今の君には

私に一番心を許している人格の

智子がいい

 

 

 

「大野君、

明日あの男に会う必要はない。

今日は、

私の泊まるホテルにくればいい。

部屋をもう一つ取るから。

そうしなさい。

君は、彼の呪縛に囚われている。

あの男にとって、今回のことは

寝耳に水のような出来事だったから

君を許せないのだろうが、

君は精一杯

あの男のためにできることをした。

本当によくやったと思う。

 

さあ、行こう。

その絵を捨てられないなら、

もっていけばいい。

いつか・・君が納得できる日まで

そばにおけばいい。

 

ははは・・このままでは

私のそばに来られないなら、

いつものように装えばいい・・

道具はあるのかい?」

「・・・」

 

私の問いかけに、

君はコクンと頷いた。

上手くいきそうだ。

やはり私に近づいてくるのは智子だ。

そして、そのための道具は、

うん・・手放さなかったのだね。

 

辛い記憶に

がんじがらめになって動けないなら、

そう・・・別人になればいい・・

昔から、

苦しくて、耐えられない時、

いつもは私に会いに来たね。

美しく着飾った智子になって・・

女王の様に振舞った。

いつも他人に、

メンバーに気を使って、

己を殺していたからね。

 

 

「ここで待っているから、

満足するまで、着飾るといい。

その絵は私の自宅宛てに送ろう。

綺麗に梱包してね。

そして誰にも見られない場所に

隠してしまえばいい。

その存在を忘れるくらいずっと・・・」

 

君はもう泣いてはいなかった。

すっと立ち上がると、

私に目もくれないで、

ガレージを出て行った。

 

 

私は、その姿を見送ると、

絵の梱包に取り掛かった。

幸い必要なものは全部あった。

梱包を終え、

ホテルにもう一部屋予約したところで

君が戻ってきた。

久しぶりに見る智子は、

相変わらずとても美しかった・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12時少し前、

私は君と二人、空港に着いた。

タクシーから荷物をおろしている間に

君は先に歩き出していた。

 

背中まであるロングヘアのウイッグに、

黒いシャツワンピース、

サングラス姿の君は、

背筋を伸ばして颯爽と歩く。

すれ違う人がはっとするほど妖艶だ。

 

いつも猫背なのにな・・

私はふっと笑みがこぼれる。

夕べは、いつものように

バーで周りの視線を浴びながら、

上機嫌で酒を飲み、

私に抱えられて部屋に戻ると

電池が切れたように眠った。

 

心配したが、

朝、起きた時も智子のままだった。

君はさっさと化粧をして、

私に連れられ、ここに来た。

東京に戻るまでこのままいて欲しいが・・

今の様子では、

多分大丈夫だろうと安心した途端、

私の視界にあの男が映った