天使を見た記憶 いつか秒針のあう頃 D7最終話 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

渦中の男、櫻井翔は、

サングラスにマスク、キャップという

ベタな変装で、変に目立っていた。

 

誰かにばれないか心配なのだろう・・

キョロキョロと挙動不審だ。

あれじゃ、

俺は芸能人だって宣伝しているようだ・・・

とにかく、君があの男と

鉢合わせしないように、

連れ帰らないと・・

 

私は運転手から

キャリーケースを受け取ると、

急いで君の後を追った。

 

二人の距離は

ざっと80mほど離れている。

大丈夫だ。

20mほど先の搭乗口へ

先に曲がってしまえば・・

間に合うはずだ。

 

しかし、あの男は何を思ったか、

いきなり全力で走り出した。

不味いと思った時には遅かった。

搭乗口の10mほど手前で

すれ違った拍子に

君の足に

あの男のキャリーケースがぶつかった。

 

「すみません・・大丈夫ですか?」

「平気です・・・」

 

あの男が君に謝る。

君はぶつかった足を

指で摩りながら

小さな声で返事を返す。

視線がぶつかったのに、

あの男は何も気が付かない。

 

「どうもすみませんでした。」

 

頭だけを下げて

それ以上何もせずに、

そのまま、タクシー乗り場へと走り去った。

 

 

私はあの男がすれ違う時、

とっさに後ろを向いて

知らぬふりをした。

 

 

「よかったのかい?智子」

「気が付かないんだね、先生。」

 

駆け寄って気遣う私に

君がつぶやく。

すでに智子ではない。

 

「急いでいたのだろう。

何をだが、

わからないけれど・・」

「俺の声わからないんだ。

俺の指や俺の匂いも・・

コロンつけてないのに・・」

 

たしかにあの至近距離で

話をしたというのに・・

記憶に残る君の姿は

霞んでいるんだろう・・・

 

「ふふふ・・・馬鹿だよな。

わかっていたはずなのに・・

こうなることを望んでいたのに・・

いつまでも引きずって・・」

「大野君・・」

 

君にとって、

辛いことを口にしているのに

何故か顔は晴れやかで・・

 

「フフっ、ねえ先生、

東京に着くまで智子でいい?」

 

智子でないのに、

甘い声で智子のように話す君。

そうか、やっと踏ん切りがつきそうなんだね。

 

「勿論。

美しい智子さんと

空の旅ができるなんて光栄です。」

 

私は君の腕を取った。

エスコートしながら、

搭乗ゲートに向かう。

 

東京についたら、

買い物にいかなくてはならないな。

君の生活用品を揃えにね。

 

 

 

 

終わり

 

 

4パターン終わりました。

 

後書きもどき明日上げます