リフレイン 透明な光 10 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく、嗚咽を繰り返していた相葉新社長だったが、

ぐっと、拳に力を入れて涙を拭うと顔を上げた。

 

「すみません、脅かせてしまって。」

「いいえ・・大丈夫ですか?」

「はい。」

 

相葉新社長は、真っ赤な目を俺に向けた。

 

「成瀬さんとお知り合いだったのですね。」

 

俺が遠慮がちに声をかけると、「相手はそうです。」と、

小さな声でうなずいた。

 

「俺の弟が昔ある事件を起こして、成瀬さんを苦しめたんです。

そして、10年ぶりに再会した成瀬さんを又も苦しめて・・

俺は成瀬さんにどう償ったらいいのか・・。

あれから成瀬さんは弁護士を辞めて消息を絶ってしまって・・

俺は、必死に探しました。

そんな彼がちゃんと弁護士に戻っていたって・・」

 

話ながら、再び涙目になっていく相葉新社長。

もう最後は涙で何を言っているのか言葉になっていなかった。

 

あの社長には息子が2人いたのか?

初耳だ。

ということは訳アリの息子なんだな。

詳細はよくわからないけれど、

この相葉家と成瀬さんの間に何かがあって

成瀬さんはそれで弁護士を辞めていたんだ。

 

しかし、これ以上聞いても

俺には何もできないことだろう・・

 

「相葉さん、成瀬さんが消息を絶ったということは

貴方方に会いたくはないのでしょうから、

お願いします、

ここで成瀬さんの名前を聞いたことは忘れてください。

彼の傷が癒える時が来たら、自分からあなたに会いにいくでしょう。」

「櫻井さん・・」

「大丈夫です。きっと近いうちには・・・」

 

俺は、また泣きそうな顔をし始めた、相葉新社長を力強く励ました。

 

 

 

 

 

 

 

「櫻井です。さきほどは申し訳ありませんでした。」

 

突然の来客を送り出してから、俺はデスクに戻って彼に電話を掛けた

正直彼に会いたかったから、少し緊張する。

相葉新社長の話を聞いた後だし・・・

 

「いえ、勤務時間に、突然連絡したこちらの配慮が足りませんでした。

それなのに、折り返しの電話までいただき、本当にすみません。」

 

 

「いえ、そんなことはありません。

気にしないでください。

それで、用事はなんでしょうか?」

 

俺の天敵である財前教授の顧問弁護士の彼。

俺とはあくまで依頼者と関係者・・・なのか・・。

 

きっちりとした、ある意味四角四面の返答に

少し寂しさを感じる俺は、

おかしいのだろうか・・

つい、声が沈んでいく。

しかし、彼は気にする様子もなく、話を進めていく。

 

「先日お伝えした、一連の事務処理が終了しましたので、

そのご連絡です。

関係書類をお渡ししたいと思いますので、

櫻井さんのご予定を教えてください。

もし、お時間が取れるようであれば

別荘にも案内させていただきたいと思いますが。

お忙しいようであれば、後日・・・」

「いえ、大丈夫です。ぜひ現物を見たいです。

紅嵐先生の作品を展示するのですから。

すぐに予定を確認しますので、少し待っていてください。」

 

彼と一緒に伊豆まで行ける・・・

俺は、ただ浮足立っていた・・・