天使を見た記憶 いつか秒針のあう頃 78 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

78

 

 

 

 

 

「こんばんは、櫻井翔です。

今宵も素敵なゲストをお迎えして、

楽しいひと時を過ごしていきたいと思います。

今夜のゲストは相葉雅紀さんです。」

 

あいつが、アイドルスマイルでスタジオの入り口をいる。

 

「こんばんは、相葉雅紀です。」

 

雅紀がいかにも人の好い笑顔で

小走りに入ってくると、

スタジオの観客に手を振った。

きゃあきゃあという歓声が上がる。

 

「初めての出演ですよね。

よくいらっしぃました。」

 

いつものようにすました顔で紹介するやつに

雅紀がしれっと、発言する。

 

「さっきまで一緒だったよね、翔ちゃん」

「それは、まあ・・置いといて。

今夜はよろしくお願いします。」

「よろしくね。」

 

仲良しのふりかよ。

胸糞悪いわ。

 

俺は送迎車の中で

ふんと不機嫌に口を捻じ曲げた。

 

「松本さん、どうしました?

上手く映らないですか?」

 

運転席のマネージャーが

ミラー越しに聞いてくる。

 

「うん?何もいってないぜ。」

 

俺は、シラを切って、

また画面に視線を落とした。

もう、見ても仕方ないかと、思った時だった。

 

 

「俺の誕生日はいつもライブで祝ってもらっていたよね。

毎年のライブの日程に入ってたからね。」

 

雅紀が話し出したのは、誕生日のこと。

 

「皆さんから?」

 

アシスタントMCの局アナが話をふると、

雅紀が嬉しそうにプレゼントの話を始めた。

 

こいつはそうだよ、いつもライブでろうそくの火を消してたな。

そう・・あんたの誕生日もよく祝った・・

惚けていたあんたは、

何も気が付かないから

サプライズはいつも成功して、

子供のように、

嬉しそうにケーキの生クリームを舐めていた。

甘いものが大好きだったからな、あんたは・・・

 

思い出に耽って、画面から気を抜いていたら、

アシスタントが大きな声を出した。

 

「本当ですか?」

「ええ、もちろんです。

リーダーから送られた肖像画持ってきました。

 

以前、俺たちの冠番組でリーダーの絵を披露する時があったんだけど、

俺、実家にあって持ってこれなかったから。

今日はその罪滅ぼし」

 

おまえはその絵を捨てたんだろうが・・

いや、突っ込むのはそこじゃない。

なんだって、持ってきたぁ・・・・

 

「俺、本当に感動したんですよ。

だからリーダーのファンの人にも見て欲しくて」

「ええ、見たいです。

大野さん、個展を開くくらいの腕前でしたよね。

あ~ワクワクします。

ねっ、櫻井さんも見たいですよね。」

 

期待でキラキラしたまなざしであいつに同意を求める局アナ。

 

「はは、たしかに彼の、大野の絵は独特ですよね。」

 

褒めているようで、褒めていない返事を返すあいつの顔は

笑おうとしているのだろうが、

どう見ても引き攣っている。

 

「あっ、櫻井さんも1月が誕生日ですよね。

まさか届いているとか?」

 

そこに追い打ちをかけるように、

一番聞いて欲しくないことを突っ込む局アナ。

こいつは、超天然か、または櫻井翔が嫌いなのかも・・

 

で、なんて答えるんだ?

どう、誤魔化す?

 

だが、それはあいつには何の苦もないことだった。

 

「ええ、先日届きました。」

 

平然とした顔で大嘘を口から吐き出していた。