魔王46 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

カズ

 

 

 

 

 

 

 

「それで、どうだったんだよ?」

 

俺が買ってきた

スーパーのから揚げに、

サトが作った味噌汁だけの

質素な夕飯を食いながら

俺はサトに確認する。

 

「うん、大丈夫うまくいっているから。

ちゃんと気を引いて、

その気にさせてる。

また会う約束をした。」

 

味噌汁をうまそうに飲み干して、

ご馳走様と手を合わせるサト。

白飯は食べてないが、

から揚げは1個食べたし、

ケーキを食べたからいいとするか。

 

もともと細い体が

この1年でさらに痩せた。

顔が丸いから

メンバーは気が付いてないけどさ。

まぁあいつら

俺やサトのことなんか

気にもしてないからな。

髪型が変わっても

気づかないかもな。

 

「そうか、

あまり時間もないんだぞ。

のんびりしないで、

なるべく早くあいつを落とせよ。」

「わかってる。

今日は時間があまりなかったから。

次に会ったら、言うよ。」

 

飯を食い終わって、

俺はケーキの箱に手を伸ばした。

 

「この店のケーキって高いんだね。

美味しいはずだよね。

ネットでみたら、

このホワイトチョコレートのやつが、

900円で一番安いんだもの」

 

サトが信じられないよねという顔で

スマートホンの画面を見せる。

これがか?

俺は自分が掴んでいた

丸い小さなケーキを二度見した。

これ一つで

さっきのから揚げ3パック買えるぜ。

 

櫻井翔、

お前にとってこれくらいは、

財布も痛まないのだろうが、

なんかムカつくぜ。

俺はケーキを丸かじりして

二口で食べきった。

 

 

それから、

1週間ほどたったある日

サトが明日、

櫻井翔と会う約束をしたと言った。

その日の午後、

俺はテレビ局で櫻井翔に

偶然遭遇した。

 

楽屋が並ぶ廊下で、

俺は櫻井翔に声をかけた。

 

「あのケーキ旨かったよ。

またよろしく。」

「なんで、お前が・・」

「部屋を貸したんだから、当然だろう。

安いくらいだな。

次もよろしかったらお貸ししますよ。

謝礼はステーキがいいかな・・」

「この間はどうも。

だが、結構。

もう二度と借りないので。

俺は忙しいので失礼する。」

 

櫻井翔は俺の嫌味に、顔色一つ変えず、

けんもほろろの対応で切り返してきた。

 

去っていく櫻井翔の背中を見送りながら、

俺はサトが上手くやっているんだと、

ほくそ笑んだ。