魔王44 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

カズ

 

 

 

 

 

「カズ・・なんでお前が・・」

 

俺の顔をみて

明らかに落胆した様子で

櫻井翔が問いかける。

ふん、ここは俺の家だ。

俺がいてどこが悪いんだ。

 

「まあそう残念がるなよ。

ここは俺の家だから

俺がいて当然だろう。

お前が会いたいやつも

ちゃんといるから安心しろよ。」

「な、成瀬さん来ているんだな。」

 

途端に顔がにやける櫻井翔。

いや、別に来たんじゃないけどな、

ここに住んでいるから。

 

「あいつは、奥にいるぜ。

じゃあ、俺は出かけるから

二人で話せよ。

ただし時間は1時間な。

そう聞いているからさ。」

「えっ。!」

 

途端に絶句する櫻井翔。

全く上がったり

下がったり忙しい男だぜ。

あまり長い時間二人にすると、

サトがぼろを出しそうし、

櫻井翔が助平なことを始めても

困るからな。

 

「あっ、それ、あの店のだろう。

手土産とは気が利くな。

貰っておくわ。」

 

櫻井翔が手にした紙袋を

受け取ろうとすると、

奴はさっと、後ろに隠した。

 

「おまえにじゃない。

これは成瀬さんにだ。」

 

怖い顔で睨まれた。

まっ、いいか。

後で食ってやるし。

 

「好きにしろ。」

 

俺は櫻井翔を残して

部屋を出た。

 

 

 

本屋で立ち読みし、

スーパーで

値引きされた総菜を買って

部屋に戻ったのは、1時間15分後。

玄関には櫻井翔の靴はなかった。

 

一応時間は守ったらしいな・・

ヘタレだけど、そういう点は固いな。

 

キッチンのテーブルに

サトは座っていた。

俺が出ていく前と同じ場所だ。

ただ、テーブルの上には、

珈琲カップが2つ出ている。

皿とフォークも2つ。

 

「ただいま。

サト、櫻井翔の

土産のケーキ食ったんだな。」

 

俺の声に振り返ったサト。

成瀬領の姿をしているが、

ふにゃりと笑った顔は

サトに戻っていた。

 

「おかえりカズ。

美味しかったよ、

このケーキ。」

 

テーブルに置かれた

可愛い箱を持ち上げて

見せる。

サトは甘いものが大好きだから、

嬉しかったんだろうぜ。

ケーキを土産にもらってさ。

笑った顔を久しぶりにみたぜ。

 

「あっ、カズの分も

ちゃんとあるから大丈夫。

彼、4つ買ってくれたから。

ごめん、カズの買ったドリップ珈琲

飲んじゃったから、後で買ってくる。」

 

サトが申し訳なさそうに、

カップを指さした。

まあケーキには珈琲だよな。

土産を貰って

何も出さない訳にはいかないか。

 

「まあ仕方ないな。

ケーキにお茶ってわけにはな。

あっ、これ買ってきたぜ。

夕飯にしようぜ、サト。」

「うん、用意するね。」

 

サトが椅子から立ち上がった。