TWO TO TANGO 177 翔54 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

ここまではっきり指摘されては、

白状するしかない。

俺は、箸をおいて、彼に向き合った。

 

「そのとおりだ。

俺は智に怪我をさせた。

でも。

でもわざとじゃない。

そんなつもりはなかったんだ。」

「わかってるよ。

智のせいなんだろ。」

「えっ・・」

 

なんで・・・

 

「智に好かれているって、

愛されているんだって

思っていたのにさ、

いきなり拒絶されて、

訳が分からなくなったんだろう?」

「ど、どうして・・?」

 

智は俺に黙って抱かれた、

だから俺の事、

嫌いではないはずなんだ。

ほんの少しの誤解で、

すれ違っただけなんだ。

ちゃんと俺の話を聞いてくれれば・・

なのに・・

そう思っていたから、

ショックだった。

 

「あの先生と同じだ・・・。

拒まないから

愛されているって誤解する。

だから、そうじゃないと知った途端に

憎むんだよ。

 

まるで富江だな・・・。」

 

先生?

それに富江って?誰。

 

「その、富江って人が

先生で昔の彼女なの?」

 

拒まないけど、

好きでもないって・・・・

それにさ、誰なんだよ、その人は。

 

「あはは・・彼女じゃないよ。

 

櫻井君知らないの。

伊藤××のホラー漫画。

絶世の美女富江。

男たちが皆とりこになるんだけどさ。

何故かみんな、殺したくなるんだよね。

そして彼女は

何度も殺されては、再生する・・て言う話。

智とある意味似てるよね。」

 

どこがだよ。

そんなおぞましい奴と

一緒にするなよ。

強引に似てると言い張るなら、

綺麗だってことだけだ。

 

「冗談はさておき。」

 

くっそ、揶揄ったのかよ。

 

「智に拒まれたのなら、

君は智のことを

何か誤解しているんだろうね。

智も君を誤解しているのかも。

やっぱりさ、

智とよく話をしたほうがいいよ。

智はなかなか本心を

言わないけどね。」

 

彼は、俺が不機嫌なのが

わかったのだろう。

話を元に戻すと、

同情するように優しい口調で言った。

 

「だから、君に会いに来たんだよ。

智がどうしているか聞きたくて。

電話していいかどうかわからないし。

そもそも電話に出てくれない可能性もあるから。」

 

遠回しに智に繋いで欲しいと

言っているんだよ。

いい加減気が付いてくれよ。

 

「そうだよね。

智が電話に出ない可能性もあるね。

うんうん・・

 

わかった。

じゃあさ、智が家にいる日に

うちに来ればいい。

俺が電話で教えるからさ。」

「えっ、いいの?

ありがとう、感謝する。」

 

こいつわざとしているのか

そう思うくらいボケた会話をしていた彼の

いきなりのありがたい提案を

俺は喜んで受けた。

 

 

「今日は、俺が奢るよ。

だからすきなもの飲んでくれ。

忙しいのに呼び出したお礼だからさ。」

 

さっきまでこのお惚け野郎と、

散々悪態ついていたのに、

俺は、ニコニコと

お品書きを彼に手渡していた。

 

 

伊藤先生のホラー主人公の女の子がとってもかわいいのよね。

化け物は、かなりえぐいけど。