魔王4 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

副題がついていました。

後で2と3も付けます。

 

 

 

 

 

翔4

 

 

 

 

 

 

 

15分は待てと言われて

素直に待つような俺じゃない。

酔いはすっかりさめていたから、

バタンっと、

ドアが閉まる重い音が聞こえた途端に

俺は足で鍵を手繰り寄せると

チェーンを外し、

真っ裸のまま、風呂を飛びだす。

ドアを開けた先は想像通り、

デカいベッドが二つ並んだ寝室だった。

 

「こりゃないぜ。あの野郎」

 

ベッドの横には

これまた座り心地の良さそうなソファにデカいテーブル。

向かい側には大型のテレビが鎮座していた。

バカでかい浴室といい、パウダールームといい、

ビジネスホテルじゃないとは思ったが、

ここまでの部屋だったとは・・

 

「この部屋あんたのカードで宿泊してるからね。

後で請求がくるよ。」

 

スマホ男が吐いたセリフ。

いくらなんだよ、宿泊代金はさぁ。

 

俺は毒づきながら、

ソファにかけられていた俺のスーツを着る。

意識の無い俺から脱がした後、

一応は気を使ってくれたんだ。

なんて、感謝する相手じゃないだろう。

俺は鞄をつかむと部屋を飛び出した。

 

エレベーターのボタンを押しながら、

前にある階数表示が目に入る。

16階?

かなりデカいホテルだ。

何ホテルだろう?

俺が襲われたのは、銀座もはずれだった。

このホテルは銀座ではないかもしれない。

 

ピン

 

高い音が響いてエレベーターが止まった。

 

ドアが開いて見えた景色に

俺はエレべーターから足が出せない。

ここは、よく芸能人が会見とかを開く老舗の・・

泊まったこともない。

俺は固まった足をどうにか動かして

フロントに向かった。

 

 

 

 

「あ、あの・・」

 

何を聞くんだ?

チェックインしたのは誰だって聞くか?

それは不審がるだろう・・

 

「お客様、いかがされましたか?

あ、16110号室の櫻井様ですね。

奥様から伝言をお預かりしています。」

 

俺がちらっと見せたカードキーを

素早く読み取ったフロントマネージャーの名札を付けた男性が

白い封筒を差し出した。

 

奥様?

なんのことだよ?

 

頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら

封筒を開く。

 

白い用紙にはプリンターで印字された文字が無機質に並ぶ。

 

詮索するなといったはず。

フロントにこれ以上何も聞くな。

 

これくらいでは済まないからな。

 

ピコンとラインが届く。

 

紙を急いで封筒にしまうと、スマホを開ける。

 

俺が、いや、顔はうつってないが、

男と致している最中の動画が添付されている。

 

俺は慌ててスマホを閉じた。

 

「あの、櫻井様、

奥様は、先にご自宅に戻られるそうです。

それだけを伝えてほしいと。」

「えっ?」

 

自宅に戻る?

夫婦喧嘩の設定か・・

 

なんていうやつらだ。

怪しまれないように完璧な筋書きを立てている。

気絶した俺を運び込むには、酔いつぶれたが一番だ。

 

おまけに指示をきかないだろうと、

俺の行動を読んでいた。

 

「櫻井様、すぐにお車の手配をいたします。」

 

呆然と立ち尽くす俺に、気の利くホテルマンは、

さっと電話をかけ始めた。