イチオクノホシ(仮) 8 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

 

 

 

なんで・・

僕のこと欲しいって・・

 

 

「どうして?」

「つっ・・。

痛っ・・」

 

思いもよらない翔君の返事に

僕は思わず翔君の両肩を強くつかんで、問い詰めた。

途端に翔君が呻く。

「あっ・・・ご、ごめん」

 

そうだった、翔君は怪我をしているんだ。

僕はなんて自分勝手なんだ。

 

この部屋に移った訳を忘れていた。

 

 

「うぅ・・・」

 

翔君の顔が歪む。

僕が掴んだ場所が怪我したところだったんだ。

 

「翔君、ごめんなさい。

 

僕に掴まって。」

 

痛みで顔面が蒼白になっていく。

 

僕は翔君をベッドに寝かせると、

そっとガウンの左袖をまくり上げた。

 

「ヒッ・・。」

 

声が出そうになって僕は、片手で口を塞いだ。

かなりの衝撃でぶつかったんだ。

真赤に晴れ上がった腕は内出血しているのだろう。

角に当たったところは皮膚が切れて筋がいくつもできている。

 

痛い。

絶対にこれは痛い。

もしかしたら骨折か脱臼している可能性もある。

 

翔君が我慢強いってこと知ってるのに。

僕が、ろくでもないことを考えて、

翔君に我儘なんかいうから。

 

翔君は痛いって言えなかったんだ

 

 

「さ、智君、悪いけど、少し冷やして・・くれる?

さっき氷嚢も、もってきてくれた・・よね。」

 

痛みのせいか、声が途切れる。

 

「う、うん、すぐに用意するからね。」

僕は急いでキッチンに向かった。

 

 

 

 

 

病院に行ってと頼む僕に、翔君は首を縦に振らなかった。

 

痛み止めを飲んだし、冷やせば落ち着くと言い張った。

じゃあ僕が看病すると言うと、翔君はそれもいらないといった。

 

僕は翔君のとなりのベッドに横になった。

すぐそば、寝息の聞こえると場所に翔君がいる。

そう思うだけで胸が苦しくて眠れない。

これは、怪我をしている翔君に

あんなこと強請った僕への罰だと思った。