truth-24 | 青のパラレルワールド物語

青のパラレルワールド物語

青さんが登場する空想小説を書きます。ご本人様とは一切関係ありません。
腐話もありますので苦手な方はご注意ください。

ごめんなさい、思ったよりも長くなって、

電話のところまでいきませんでした。

 

 
 

 

和也9

 

 

 

それは、智の21歳の誕生日の一週間前の、

金曜日の夕方。

親展で届いた、

大学からの合格通知を二人に見せた。

 

すでに、俺は知っていたんだけどね。

 

「和、合格おめでとう。

すごいよ、内部進学を蹴って、

T大に受かるなんて。」

 

「いや、まぐれだよ。

AO入試なんてさ、

たまたま、俺の得意分野の課題だっただけさ。」

 

俺の合格発表を、

飛びあがらんばかりに喜ぶ智が可愛い。

いつものふにゃっとした笑顔の目じりを

もっと下げて、

俺に抱きついて、背中をバンバン叩く。

 

「智、痛いから。

ありがとう、

こんなに喜んでくれるなんて・・」

 

俺は、本当に嬉しかった。

智のこんな顔を見ることができるなら、

俺はなんでもするよ。

 

「和、お祝いしなくちゃ。

ねぇ、何が欲しいの?

僕がプレゼントするから、言って。

 

母さん、今夜は、

和の好きなもの作ってね。」

 

「そうね。和君、何がいいかしら。

買い物行かないと。」

 

 

智の笑顔に答えるように、

伯母さんが、俺に笑顔を向けて答えた。

 

「あ、拓哉さんにも、早く報告してあげて。

拓哉さんも心配していたわよ。」

 

「はい、報告します。」

 

伯母さんの言葉に、素直に返事はしたが、

わざわざあいつに連絡するつもりなど、

ないさ。

いやでも、顔を合わせるからその時でいい。

 

伯父さんが亡くなって、

1週間もたたないうちに、

あいつは、伯父さんのアトリエから、

母屋の客間の一つを、

自室として使い始めていた。

 

「義姉さんと、子供たちだけでは、

防犯上心配ですから。」

 

恩着せがましい理由だったが、

伯母さんは、

そんなあいつの申し出を喜んで受け入れた。

 

「拓哉さん、ありがとう。私も心配だったの。

智も和君も二人とも男の子だけど、

痩せているし、女の子みたいでしょ。

拓哉さんがいると安心だわ。」

 

確かに、この大野家の屋敷は広い・・

 

でも、伯母さんは気づかなかったけど、

俺は見た。

その時あいつが、口角を上げて嗤ったのを。

 

 

その夜の夕食は、

俺の大好物のチーズハンバーグだった。

 

「おめでとう、和也君、T大とはすごいね。

いつも、大した成績じゃないっていったのは、

謙遜だったんだね。」

 

「いえ、運がよかっただけです。木村さん」

 

あいつに作り笑いで応える俺。

俺はまだ、あいつの籍にははいらず、

呼び方も木村さんのまま。

それでも、表面上は、仲良く過ごしていた。

 

そんな、裏の事情なんて

少しも気が付かない智は、

木村が用意したワインを

美味しいとすでに3杯も飲んで、

ほんのりと赤くなっていた。

 

 

「智、お水持ってこようか?

飲み過だろう。結局さ、4杯も飲んで。」

 

俺は酔って足元がふらつく智について、

智の部屋に来ていた。

 

「大丈夫だよ。

今日は、和のお祝いだから、

沢山飲んじゃった。

あ、明日は父さんのお墓に

報告にいこうね」

 

いつもの柔らかな微笑みをみせる智。

それが、ワインによって頬が赤く色づき、

動きも緩慢に・・色っぽい・・

そんな魅惑的な智から、

俺は目が離せなくなっていた。

 

「ねぇ、か・・ず・・プレ・・ゼントさぁ、

なにが・・いいの?

好きな・もの・・なんでも・・いい・・よ・・ふふ」

 

ベッドの上にドンと腰かけると、

俺の方を向いて、

舌たらずにしゃべる声が甘い。

目はトロンとして眠そうで、

口は半開きで赤い唇が俺を誘うようで・・

そんな智の姿に、

俺は下腹部が疼くのを感じた。

 

「智、プレゼント、

本当になんでもいいんだね。」

 

俺が、智の横に座ると、

眠そうだった智は俺の肩に頭を乗せて、

よりかかった。

 

「うん・う・・ん。」

 

どうにか、答えたけれど、

そのまま目は閉じてしまった。

 

 

俺は、智をそっと、ベッドに横たえると、

耳元で囁いた。

 

「智が欲しい・・。」