悪夢のような本でした。
※個人の感想です。
カシンです。これは、アタシ (50代・男) が、気になっていることを書くブログです。
今回は書評です。
善方威著『全教科対応! 読める・わかる・解ける 超読解力』(かんき出版、2019)。
アタシは中高生のころはそこそこ成績が良く、脳の一部はピークを過ぎたと実感される今でも、むしろ勉強は好き、と言い切れるくらいです。読書も好きですが、しかし、国語だけは苦手、嫌いな教科でした (勉強系では。体育は絶望の教科)。
受験生の間でも入試現代文を「運ゲー」って言ってたりするようです。アタシも、他の教科は答・解説を見て納得しますが、物語文は謎です。どれを見ても「これが正解だから正解」という説明しかないようです (アタシも正解がわかる問題もあります。それでも、アタシ自身も、なぜそれが正解でないといけないのか。説明できません)。
それで、ときどき、評判の良さそうな国語参考書に手を出したりします。評論文に比べて、物語文の解説書は少ないようです。
前置きが長くなりましたが、善方威著『超読解力』です。今の子供は読解力がない、AI読みをしている。という文脈で、読解力の具体的な方法を教える、しかも物語文も。という触れ込みだったので読んでみました。
序盤、それなりの説得力をもって国語教育の悪い例をいくつか紹介したあと、いよいよ読解問題の具体的な解き方に入っていきます。
ところがこれが。読みながら、正解に関するところには○を、正解に関係しないところには×を付けていって。○のところから答えれば正解になる、という説明です。少なくとも、アタシの読解力ではそうとしか読めません。
線を引くだけでは意識に残らない、大事なところは四角で囲め。いや確かに具体的ではありますが。
ご丁寧に、正しく印が付けられない生徒が誤答する、という例も出てきます。それはそうでしょうけど、あらかじめ正解を知らずにどうすれば正しく印を付けられるのか…。
このあたりはまだ、国語あるあるですが。さらに章が進むと、何だか怖い方向に向かっていきます。
曰く、入試問題にはパターンがある。日本の文化の論説文なら、多神教と一神教の話だから、最後の段落を見れば著者がどっちを支持する立場に立ってるか確認して正解が書ける、だの。親子が出てきたら、成長の物語だから。親に依存していたのが自立した、と書けば正解。
入試問題のパターンをいくつも列挙して、しまいには問題の傍線部の前後だけ読んでパターンに合てはめれば正解できる。ということに。
読解の解説書で、まさかの、理解するために内容を読むことをしない、キーワードAI読み推奨。ギャフン。
そして、このような指導で生徒たちの読解力が向上した、と胸を張ります。
なかなか憂鬱な気分になった本でした。
※個人の感想です。
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今日もお読みくださりありがとうございました。