マスコミは、Sのことを京都大学から旧財閥系金融機関に進んだエリートだと報道している。エリート銀行員が、過疎と高齢化が加速する人口2万人の自治体の市長になるという(ギャップの大きな)ストーリーは注目を集めやすい。

 もちろん、これはマスコミが作った虚像だ。事実は以下の記事にあるので読んで欲しい。

 

 

 一方、反市長団体である市政刷新ネットワークは、「Sはニューヨークに左遷され、出世の見込みがなくなったので銀行を辞めて市長選に出馬した」というストーリーをでっち上げた。事実ではない。事実は以下の記事にあるので読んで欲しい。

 

 

 マスコミは「ニューヨーク帰りのエリート市長」と書き、市政刷新ネットワークは「ニューヨークに左遷された銀行員」と主張する。繰り返しになるがどちらも事実ではない。

 そんな時、「Sのニューヨーク勤務が左遷であることを証明しようとする人」が現れた。ハンドルネームはBさん。県外の人らしいが、反市長を明言しSNSを使って持論を展開している。

 Bさんはネットで集めた情報を根拠に左遷であると主張している。ただし、根拠とする事実に対する客観的裏付けは示されていない。そもそも「左遷という結論」が先に合って、その結論に合致する情報を恣意的に選択し、強引に結び付けた考察に過ぎない。

 

 何だかな…と思っていたら友人からメールが来た。Sと銀行で同期だった友人だ。

 BさんのSNSを見たらしい。夜、ZOOMをつないだ。

 友人は爆笑していた。

 「Bさんって人はよく調べているよ。でもな、銀行を知らない人だから仕方ないけど、根拠として挙げている事実はすべて間違いだ。そもそもニューヨーク勤務が左遷ってことが間違いだしな。Bさんの思い込みだ。結論ありきの論に過ぎない」

 「Bさんの主張を見た銀行員はみんな爆笑している。世の中にはヒマなじいさんがいるんだとな。それでこの話題は終わったよ。S自身も同じだと思う」

 

 「ただな、俺は少し心配している。Bさんの主張ってのは一応論理的には成立している。…大学時代一緒だったゼミで習ったよな。論理的な正しさと、主張としての正しさとは別だって。Bさんってのはこの典型だ。」

 「少し前、なぜ人を殺してはいけないか…ってのが流行ったろ。人を殺してはいけない理由を論理的に証明するのは結構難しい、でも逆は簡単だ。」

 「俺が見るところ、Bさんは人を殺してよい理由を論理的に正当化する話法を使っている。Sへの批判を、この話法で主張するヤツが出てきた。こいつはかなりやっかいだと思う。おそらく本人にも自覚のない確信犯で、批判されても表現の自由を楯に反論してくるタイプだ」

 「リテラシーのない奴らはBさんの主張を信じてしまうだろう。文章の流れも教祖的、洗脳的だしな」

 

 「お前の町は大丈夫か。Sは大丈夫か。何かあればいつでも言ってくれ。俺ができることであれば、何でもするぞ」

 

 Sのニューヨーク勤務は左遷だと最初に書いたのは俺…と友人に言うことはできなかった。