【負荷を与えること】
前回の続きです。
個人的な考えですが、子どもにはもっといろいろな負荷をかけるべきだと考えています。
ある程度ほったらかしてケガをするのもしょうがないですし、変なものを触ってかぶれるのもやむなし。
人間関係もいろいろな人と触れ合えるようにすべきです。
そういったリアルな経験(=負荷)を通して学ぶことはたくさんあるはずです。
さらに、習い事や勉強、部活などと言った負荷ももっとかけるべきだと考えています。
感覚値ですがゆとり教育と言われ始めてからおかしくなったように感じています。(私はゆとり初代になりますが…)
「子どもをのびのび育てよう」と言えば聞こえは良く、素晴らしいことに思えますが、実は負荷が無くなり精神は弱くなりました。
これも私には過保護な社会の延長に感じます。
とにかく子どもに負荷がかからない。
品川女学院という私立の中高一貫校があるのですが、そこの校長先生は女性ですが、「子どもは大人が考えているよりも強いし、大人が無理かな?と考える負荷の二倍くらいまでは耐える」と以前説明会で話していました。
実際に、品川女学院では勉強に限らず生徒に驚くほどいろいろな課題を与えます。
企業とコラボして企画を考えたり、実行にまで移したりと、非常に面白い学校です。
何度か行ったことがあるのですが、そこに通っている子たちは非常に活気があり、考え方が大人びてしっかりした子が多くいます。
実際はただの中高生なのですがね。
多量の負荷に「大変じゃないの?」と聞いたのですが、「大変だけれども大変だから楽しい」と軽く答えた子がいた事が印象的でした。
卒業した子たちとも話をしたことがあるのですが、皆さんとても活き活きとした魅力的な女性ばかりでした。
人は与えられた環境に応じて成長すると言われています。
少しだけ話を戻すと、免疫系も負荷があるから強くなるわけですし、筋肉にしたって、負荷を与えてこそ強くなるわけです。
精神だって同じです。
負荷を与えてこそ大きく育つのでしょう。
元服とはおよそ十二歳から十六歳でした。
それくらいの年には一人前とされ、大人のそれに近い負荷や責任が与えられていたわけです。
現代と昔とでは社会の構成は変わっていますが、どうでしょうか。
そこに暮らしている人間そのものまで変容したとは言い難いはずです。
「かわいい子には旅をさせよ」という諺がありますね。
私はこの言葉は、「負荷をかけて、リアルな経験を与え、自分で考えさせろ」という意味だと思っています。
先ほどあげた『「身体」を忘れた日本人』の中で、養老孟司さんは
「若い人って責任を持たせた瞬間に急激に伸びる」と言っています。続けて、「最初から面倒を見ないのが正解なのかもしれない。実は昔の東大の教え方がそうだった」と言っています。
きっとそういうことなんでしょう。
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