おはようございます
前回は1月13日(木)に放映された…
冬麗戦の前半(10位~6位)をご紹介しました
冬麗戦(10位~6位)の句のブログ
今回は…
冬麗戦の後半(5位~1位)
をお伝えします
そしてそして…
番組内では放映されなかった…
14位から11位の句もゲット
早速本編に入りましょう
まずは…
第5位から優勝までの5句です
5位 : 梅沢富美男 永世名人
冬旱地図から消えた村の数
(ふゆひでり ちずからきえた むらのかず)
句 意:
(人生ゲームから発想を飛ばして、故郷の福島そして2011年の東日本大震災へ)
こういうことが起きると、地図からどんどん消えていく村が世界中にいくつもあるんだろうな、と。
そして、のようなひと言が漏れました
すかさず浜ちゃんからツッコミが
夏井先生講評:
兼題写真から「地図から消えた村の数」という発想の深さに八ツとした
「地図から消えた村」は災害や戦争もあるかもしれない。
「村」と書いてあるが、人が住めなくなった地域・国を示唆している。
「数」と名詞止めにしている部分も上手いもんだと思う
惜しいのは「冬旱」(ふゆひでり)という季語の選択。
「冬旱」←「ふゆひでり」とは難しい読みですね
この文脈の中にこの季語があると、「冬旱」によって地図から消えたという微かな因果関係が読めてしまう。
この季語でなければ因果関係が薄くなる。
これだけでも良い句ではあるが、ひょっとすると、さらに良い季語との出会いがあるかもしれない。
4位 : 千原ジュニア 名人8段
雪吊や登校拒否の吾と祖母と
(ゆきつりや とうこうきょひの あとそぼと)
句 意:
思春期は学校に行ってなかった。そんな時、おばあちゃんと一泊で兼六園に行った。そこで雪吊りを見ながら、学生服を着た修学旅行生がいる中、同い年なのに自分は私服でおばあちゃんといる。
雪吊りが何かに縛られたくないみたいなこともあり、縛られてしっかりしてるし、でも縛られなかったら折れてしまうという。その時の感じがめっちゃ出てきて。。。
夏井先生講評:
これは奥行きがとても深い句
時間をおいて読めば読むほど惹かれていくタイプの句
「登校拒否」で状況はいっぺんに分かる。「の吾と祖母」で、私と祖母が二人ポツンとそこにいるという場面も分かる
評価が分かれるのは、「雪吊」という季語が動くか動かないか(←他の季語でも代替できるか)という部分。
この季語は作者にとって何か「抜き差しならない記憶の鍵」になっていて、そういう作者独自のリアリティが強く強く匂う。
これはしっかりとこの人の体の中にある季語だと評価した
3位 : 森口瑤子 名人初段
嚔してスペードの位置忘れたり
(くしゃみして すぺーどのいち わすれたり)
句 意:
神経衰弱をやっている場面。
クシャミをしたら、どこかへ行っちゃったということが結構ある。
夏井先生講評:
「嚔」(くしゃみ)という季語を上手に使いましたね
「嚔」←「くしゃみ」とは難しい読みですね
スペードでトランプと判る。「スペードの位置」で神経衰弱だなと判る。書かないで一瞬で分からせるというのが言葉の力。
集中力が切れるキッカケとしての嚔という季語の存在も見えてくる
例えば、「スペードの位置忘れたり大嚔」のように最後に季語をつける手もある。しかし、この句の内容であれば、先に季語があって、「あら、忘れちゃった」の方が、リアリティが少し高い。
因果関係を語っているようでいて、因果関係が邪魔になっていない。
そこら辺のさじ加減もお上手
私 見:
私にとっては、今回の14句中、最も心に残る一句でした。
さぁさぁ、いよいよ2位と1位の発表です
2位 : 千賀健永 名人4段
地球史の恐竜遠し炬燵の夜
(ちきゅうしの きょうりゅうとおし こたつのよ)
句 意:
人生ゲームで、人の歴史から地球の歴史を連想した。
子どものころ恐竜図鑑を見る機会があった。
そこで、恐竜が2億年前から生きている。何かこう時間の遠さというか、重さみたいなのを感じたという句。
夏井先生講評:
「炬燵の夜」。今までの千賀さんならこの下五は作ってなかったと思う。
例えば、「冬銀河」とか雄大でカッコいいイメージのものを置いて、「なんかオレ雄大なもん作ったぜ」となっていたはず。
それがこの「炬燵の夜」というものを置けるようになっていることにささやかな感動を今覚えている。
なぜ「冬銀河」だとダメかというと、全体が空想的なイメージで終わってしまうから。
「炬燵の夜」が出てきた瞬間、温かい炬燵に足を突っ込んで図鑑か年表か広げて思いを馳せる知的で豊かな夜が“リアリティ”として出てくる。
さらに、「炬燵」を思いついていたとしても、かつてのあなたなら「炬燵かな」などと安易な詠嘆をしていたはず。
ここを「の夜」と、時間をちゃんと置けるようになった
これを置くことによって、「地球史」の大きな時間と「夜」という小さな時間の対比の軸もできる。
いや~上手になった
1位 : 東国原英夫 永世名人
片襷硬し四日の身を通す
(かただすきかたし よっかの みをとおす)
句 意:
最初に選挙に出たのが1月4日だった。
選挙に出るのはもうホントに人生を賭けた勝負。
4日に片襷(かただすき)をかけるが、ビニール製で冷たくて硬い。それを通してもらった時に身震いする。
これから選挙戦だという、その時の感動、緊張、夢や希望、色んなものがないまぜになった瞬間を句にした。
夏井先生講評:
これは「四日」が季語。
お正月、1月1日から7日までそれぞれ季語となっているため、「四日」は1月4日のことになる。
片襷(かただすき)の問題。
これ読んだ時、3パターンの「片襷」を思った。
「四日」とあるため、箱根駅伝(1月2・3日)は外してよいだろう。
そうなった時、この片襷の可能性は、まな板初めや弓初め、それから正月選挙。つまり、「晴れの行事」と「俗な行事」。
それが一句の中に2つあるというのも中々の奥行きだなと思った
「硬し」という感触。「身を通す」は映像でありつつ心情表現にもなっており、緊張感の部分で「硬し」と響き合う
言葉の質量とか、明るい暗いとか、言葉が重いとか軽いとか、全部計算した上で、全ての言葉が選び取られている。
私 見:
本年1月6日放送のプレバト俳句で、横尾 渉7段が詠んだ句「凍空の窓をゴンドラ紅茶の香」の「ゴンドラ」という言葉について夏井先生は、「ゴンドラって色んなのがある。どういうゴンドラかを書く必要がある。」として、「窓ふき用のゴンドラならば現状維持」、「ヴェネツィアのゴンドラならば1ランク昇格」の査定をなさいました。
更に夏井先生は、こう仰っておられます。「もう少しだけ誠実に言葉を選ぶべきではないかと。名人7段ですから。。。」
このときの模様を纏めたブログがこちらです
それはそれとして、東国原さんにおかれては…
優勝おめでとうございます
さぁ、今回の〆として…
特別おまけ
11位 : 北山宏光 特待生3級
ルーレット回せど止める炬燵猫
(るーれっと まわせどとめる こたつねこ)
夏井先生講評:
その上で…
私 見:
私には「炬燵猫」が「炬燵布団から前足を出して、回っているルーレットを止める猫」の悪戯っぽい姿が浮かびました。
12位 : 立川志らく 名人4段
顕微鏡の蠢めく人生ゲーム
(けんびきょうのうごめく じんせいげーむ)
私 見:
「志らくさんの句=破調」と言われるほど五七五の定型を無視した作句スタイル。更に今回は「季語のない句=無季の句」となっています。う~ん。。。
夏井先生講評:
13位 : IKKOさん
幸せの尺度疫禍のちゃんちゃんこ
(しあわせの しゃくどえきかの ちゃんちゃんこ)
夏井先生講評:
IKKOさんは、昨年5月20日のプレバト俳句(兼題は「ケーキ」)で才能アリ1位(72点)を獲得しましたが、今回は大酷評。。。
人生経験豊かな方ですから、今後に期待しましょう
14位 : 堀未央奈さん
駒進め人生を知る年始め
(こますすめ じんせいをしる としはじめ)
夏井先生講評:
私 見:
この句は「最下位」且つ「論外」と酷評されましたが、私には「正月休みに人生ゲームを楽しむ人々」の楽しそうな情景がほのぼのと浮かんできました。
堀未央奈さんは、昨年9月23日のプレバト俳句(兼題は「秋の夕日」)で東国原永世名人や夏井先生から大絶賛されたのですが、今回は大酷評。。。
このときの模様を纏めたブログがこちらです
お若いのですから、今後益々精進していただきたいですね
2回に亘ってお送りした…
2022年冬麗戦
入賞10句と…
おまけの4句でした
さて次回のプレバト俳句ですが…
1月20日(木)は特別番組のため…
1月27日(木)の放送となります。
兼題は…
肉まん
どんな句が出てくるのか。。。楽しみですね
今日の一句です。「人生ゲーム」から発想を飛ばして…
季語は「初みくじ」(新年)です
ではでは
ろっきぃがお送りしました