こんにちは
今週末にスペインワインを愉しむ会が予定され…
「ワインの説明を」
とのご依頼をいただきました
そこで今回は(予習を兼ねて)、当日供されるワイン(3種)を勉強してみました
「お酒が苦手な方」、ごめんなさい
でも、スペインのワイン事情をご理解いただけると
思いますので、是非最後までご覧くださいね
スペインについて
まずはスペイン全体を眺めてみましょう
南ヨーロッパのイベリア半島に位置するスペインは、日本の約1.3倍も大きな国です。それだけに、多様な気候に恵まれています。
(でも、人口では日本の約40%なのですよ )
どう見ても、「1.3倍も大きい」とは実感できないのですが…
(「The True Size Of …」サイトを使って作成しました)
スペインは農業国で、食料自給率は8割を超えています
因みに、日本の食糧需給率は4割弱です
(平成29(2017)年のカロリーベース。農水省調べ)
スペインの青果物店(ほとんど地産地消です)
なかでも…
オリーブ、ワイン、トマト、オレンジ、チーズ、生ハムなどの食品類は、スペインの主要な輸出品にもなっています
スペインの輸出食品類の数々
そんな中で…
スペインでは400種以上のブドウ品種が栽培されており
…
この内20種がワイン生産量の80%を占めています
有名なスペインのブドウ品種
スペインのワイン生産量は…
(イタリア、フランスに次いで)
世界第3位
一方、ブドウの栽培面積では世界第1位となっています。
その理由は、「降水量が乏しいために収穫率が低い」という見方もあるようですが、私は「ワインの原料である「ブドウ果汁」でのバルク(10ℓ以上のタンク)輸出が多い」からだと考えています。
国別ワイン生産量(平成30(2018)年)
(出典:「International Organisation of Vine and Wine
Intergovernmental Organisation」2019)
一方…
日本から見たワインの国別輸入量は次のようになっており、スペインは第4位に位置しています
ボトルワインの国別輸入量(2007年と2017年の比較)
コスパの良いチリの伸びがスゴイです!(出典:東京税関)
続いて、スペインのワインを一つずつ眺めてみましょう
1.カヴァ(スパークリングワイン)
スペインではスパークリングワインのことをカヴァ(Cava)と呼んでいます。
“カヴァ”の語源は“Cave”。
そう、「洞窟」や「地下蔵」の意味なのです
これは、かつて(19世紀)は熟成の際に洞窟を使用していたことに由来しています。
現在でも、カヴァの多くは地下蔵で熟成されています
今回のカヴァ
アルティーガ・フステル
ダミア カヴァ ブルット
日本でも手軽に手に入るカヴァです(750㎖で1,500円前後)
“ブルット”とは“辛口”の意味です
ワインの甘口・辛口は「残留糖分」によって分類されています
【産 地】
カタルーニャ州 ペネデス
カタルーニャ州はバスク地方の東方に位置しています
【品質分類・原産地呼称】
D.O.カヴァ
“D.O.”とは「原産地呼称ワイン」の略称で、「地域内で栽培された認可品種を原料として、厳しい基準で生産されたワイン」を意味します。
ワインの格付け
(出典:「美味しいワイン」サイト)
さらに、D.O.カヴァを名乗ることができる地域は、次の6ヶ所に限定されています。
スペイン全土に6ヶ所のみ指定されている「D.O.カヴァ」
今回のカヴァは、東端のバルセロナに隣接する
「カタルーニャ州ペネデス」が産地です
【ブドウ品種】
チャレッロ(アルコールと酸味) : 60%
マカベオ(フルーティな味と爽やかさ) : 20%
パレリャーダ(花のような香り) : 20%
瓶内熟成:18~24ヶ月
【生産者】
生産者のアルティーガ・フステル(Artiga Fustel)は、平成14(2002)年に設立されました。
アルティーガ・フステル
現在は、本拠地のカタルーニャの他、カンポ・デ・ボルハ、ラ・マンチャ、アリカンテ、フミーリャ、リオハなど様々な地域でワインを生産しています。
【評 価】
カヴァの聖地ペネデスでも、最も標高の高いアルト・
カヴァの造り手が集まるアルト・ペネデス地区
平均樹齢60年という“古木”から収穫されるブドウを使っていますが、繊細で爽快な味わいだそうです。
【受賞歴】
ベルリン・ワイン・アンド・トロフィー 2017金賞
サクラ・アワード(SAKURA Japan Women's Wine Awards) 2017 金賞
チャイナ・ワイン&スピリッツ・アワード 2019 金賞
2.今回のビアンコ(白ワイン)
マルケス・デ・リスカル
オーガニック ソーヴィニヨン・ブラン
こちらも、お手頃なビアンコ(750㎖で1,800円前後)です
【産 地】
カスティーリャ・イ・レオン州 ルエダ
カスティーリャ・イ・レオン州はマドリードの北側に位置しています
【品質分類・原産地呼称】
D.O.ルエダ
(前述のとおり)“D.O.”は「原産地呼称ワイン」の略称で、「地域内で栽培された認可品種を原料として、厳しい基準で生産されたワイン」を意味します。
【ブドウ品種】
ソーヴィニヨン・ブラン:100%
D.O.ルエダのソーヴィニヨン・
【特 徴】
真珠のような麦わら色、
【生産者】
生産者のマルケス・デ・リスカル社(Marques de Riscal)は、安政5(1858)年にリスカル侯爵によって、設立されました。
創業当時のリスカル・ワイナリー
老舗ワイナリーではありますが…
現在のユニークな形の建物をご覧ください
平成18(2006)年に完成したワイナリー兼ホテル
この建物は、カナダ人の建築家フランク・ゲーリー(Frank O. Gehry氏の設計で、ホテルも兼ねています。
因みに、フランク・ゲーリー氏は、次のような建物の設計や現代アートの制作にも携わっているんですよ
フランク・ゲーリー氏(昭和4(1929)年~)と彼の作品
3.今回のティント(赤ワイン)
マルケス・デ・リスカル
ティント・レセルバ 2015
スペインで“レセルバ”(Reserva)を名乗ることができる赤ワインは…
① 最低36ヶ月熟成する必要があり、
② そのうち12ヶ月は樽熟成でなければなりません。
それほどの時間をかけた赤ワインですので、通常は価格も高めのはずなのに、こちらはレセルバでありながら手頃な価格(750㎖で2,000円前後)という「コスパの良さ」も見逃せません
【産 地】
ラ・リオハ州
ラ・リオハ州はバスク地方の南方に位置しています
【品質分類・原産地呼称】
D.O.Ca.リオハ
(前述のCavaでご説明した「ワインの格付け」を見ていただきたいのですが)“D.O.Ca.”は“D.O.”の更に一つ上で、最上級の「特選原産地呼称」を意味し、非常に厳しい生産基準を設けている地域で産出されたワインで、最高の品質を誇るもののみが認定されています。
また…
現在、“D.O.Ca.”に指定されているのは、リオハとプリオラートの2地方のみとなっています
リオハ地方のブドウ畑
【ブドウ品種】
テンプラニーリョ種、グラシアノ種、マスエロ種
【特 徴】
長期間の樽熟成に加え、さらに瓶熟成を経て、バニラのような香りが心地良く、味わいもエレガントです。また、適度なタンニン(渋み成分)が口中に広がり、長い後味も魅力です。
【生産者】
創業者のリスカル侯爵は、フランス産のブドウの木を移植し、伝統的なリオハのワイン製造法もフランス・ボルドー・スタイルの製造法に改革しました。
明治元(1868)年にフランス人技術者ジャン・ピノー氏を技術チームに招き入れて以来、リスカル社の赤ワインは、その品質の高さゆえ、広く市場に知られるようになりました。
その優れた品質は世界的にも評価され…
8年後の明治9(1876)年にはブリュッセル展示会で金メダル、
昭和4(1929)年にはバルセロナ国際展示会でグランプリ賞を受賞。
その後も数えきれないほどの賞を獲得しています。
さらには、スペイン王室用に毎年「ティント・レセルバ」を醸造し、セラー内には、時のスペイン国王が選んだ国王専用のワインが常に保管されています
リスカル社は、名実ともにスペインワインを牽引するスペイン・ロイヤル・ワイナリーなのです
オールド・ヴィンテージ・ワインの数々
以上、3種類のスペインワインを勉強してみて、それぞれのワイナリーが作り上げた歴史と伝統を強く感じました。
この歴史と伝統が培ったワインを2日後にいただけると思うと、今からワクワクしてきます
今回の一句です。
「諳んず」は「そらんず」と読みます
それでは、明後日(3月6日)頑張ってきま~す
ソムリエの、ろっきぃがお送りしました