東急東横線で導入されている「Qシート」について、5月7日よりサービス内容を一部変更されることが報道により明らかになりました。今回はこれについて考察します。

 

 

 Qシート導入時の記事はこちらから↓↓

 

 

 

 

1.変更の概要

 今回のQシートサービスの変更内容は、以下の2点です。

(1)Qシート営業列車を2本増発

(2)Qシート車両を2両から1両に減車

 

 現行のQシート営業列車は、渋谷発元町中華街行き急行5本(渋谷19:35,20:05,20:35,21:05,21:35発)ですが、新たに渋谷18:35発、19:05発の急行元町中華街行きにおいてQシートの営業が行われます。

 なお、現在はQシートは4・5号車の2両を指定席車両として運用していますが、指定席車両は5号車のみの1両に減車されます。4号車はQシート用車両のままですが、ロングシート、自由席での運用に変更されます。

 

2.利用不振によるテコ入れ

 変更の原因は、Qシートの利用が伸び悩んでいることにあります。私自身も昨年9月末に乗車しましたが、乗車率は4割程度と振るいませんでした。(乗車レポートは以下の記事からどうぞ)

 

 

 そのあと、Qシートの指定席料金を半額の250円にするキャンペーンを実施したり、ワンドリンクサービスを行うなどしてテコ入れを図っていたところをみると、やはり利用が日常的に伸び悩んでいたといえます。Qシート以外の車両が混雑していることを考えても、Qシートを1両に減らすのは妥当な策だと思います。

 また、Qシートの営業列車は19時台~21時台となっていますが、夕ラッシュの時間帯は17時台後半~19時台なので、18時台や19時台に追加設定することは必要でしょう。
 

3.まとめ

 いかがでしたでしょうか。かねてから利用率が低いといわれていた東横線のQシートですが、利用がつかずに方針変更をせざるを得ない状況になりました。

 東急電鉄としては、本当は副都心線から直通してくる特急列車にQシートを導入したいと考えていると思いますが、そうなると直通先の東京メトロなど他の鉄道事業者と協議・調整を図らなければならないため、まずは東横線・みなとみらい線だけ走る急行列車に導入したと考えられます。これで堅調な利用が見られれば、特急列車への導入が本格的に進んだと思いますが、現状は苦戦しています。

 不振の原因は、「東横線・みなとみらい線で完結する列車でしかQシートの営業を行っておらず、副都心線方面からの利用者が利用しづらい」「乗車時間が最大でも30分程度と短い」「座席や車内のグレードに対して料金が高い」などが原因と思われます。個人的には、一番の原因は乗車時間の短さにあると思っています。渋谷~横浜をフル乗車(約30分)するくらいでないと、わざわざ500円払って指定席に座ろうという気持ちにはなれないでしょう。

 客単価を上げて収益を確保するためにQシートを導入したものの、現状はなかなかうまくいきません。一つ可能性があるとすれば、夕ラッシュのピーク直後に設定されたことでしょうか。これを機にQシートの利用がどう変化するのか、注目です。