ディズニー映画語り みにくいあひるの子 | すきなものしか語れない

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元ディズニーシー長年単パサー。今はおもにディズニー映画中心に好きなものだけ勝手に語るつまらないブログです。Dヲタだった頃の記事は思い出として残してます。

はいどんも。


今日はディズニーの原点である短編映画シリーズ語り。


「ミッキー・マウスシリーズ」「ドナルド・ダックシリーズ」等と並ぶディズニーの代表的な短編作品群である「シリー・シンフォニー」シリーズの登場です。


ディズニーは元々短編カートゥーン主戦場小さな映画制作会社でした。


その中で、キャラクターを中心として展開したミッキードナルドシリーズとは違い、音楽アニメーション精密に融合させた単発作品のシリーズとしてスタートしたのがシリー・シンフォニーです。


ウォルトの友人であった音楽クリエイターのカール・スターリング提案した「アニメーションに合わせた音楽」ではなく「音楽に合わせたアニメーション」という発想から始まった今シリーズは独自の発展を遂げていき、ウォルトディズニースタジオにとって、新しいアイデアや技術・手法等を試す最良の実験の場として機能することになります。


その過程の中で、【初のカラーアニメーション】【マルチプレーンカメラの導入】【ドナルドダックの誕生】等映画界に様々な影響を与えながら多数の名作を生み出していきました。


このシリーズでのディズニーの実験の数々は、やがて初の長編アニメーション映画制作という偉業へ直接結びついていく事になります。


アカデミー賞受賞作品もとても多く、シリー・シンフォニーシリーズとしては実に7本の作品が受賞を成し遂げました。


今回はそんな作品群の中から、ついに同シリーズの終焉となる記念すべき最終作について語っていきます。



(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)



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  みにくいアヒルの子

(原題:The Ugly Duckling)

1939年

監督

ジャック・カッティング


データ


1936年に公開されたシリー・シンフォニーシリーズ第75作目(諸説により前後あり)となる短編アニメーション映画

そして1929年から10年間続いてきた同シリーズの最終作


有名なアンデルセン童話原作としている他、ディズニーが1931年に公開した同名作品のリメイクでもあり、シリー・シンフォニーシリーズとしては、そして唯一のリメイク作品としても知られています。



監督はジャック・カッティング

同シリーズの作品を多数手掛けている他、ディズニー作品の海外進出を初めてウォルトに進言した方で、作品の翻訳や吹替対外国向け業務のリーダーとして長年スタジオに貢献しました。


さらに当時のディズニーアニメーションの中枢とも言えるクライド・ジェロニミハミルトン・ラスクも共同で製作にあたっています。



ストーリーを担当したのは同じくシリー・シンフォニーの「人魚の踊り」を監督し、「ファンタジア」「ダンボ」等にも貢献したクリエイターであるヴァーノン・スタリングス


音楽はアルバート・ヘイ・マロット

主にディズニーの短編に多数の楽曲を提供し、この時期の作品達を支えた功労者です。



今作に台詞は登場しませんが、動物達の鳴き声役としてドナルド・ダックの専属声優で知られるクラレンス・ナッシュが出演しています。



その実験的作品の数々でディズニースタジオの発展世界初のカラー長編アニメーションの誕生を影ながら支え、その驚異的なクオリティのアニメーションで様々な偉業を成し遂げたシリー・シンフォニーシリーズ最後を締めくくった今作。


今でもディズニーの伝説的シリーズとして語り継がれているシリー・シンフォニーラストに相応しい、非常に高い評価と称賛を獲得しており、見事アカデミー賞も受賞


特にその原作のテーマを重視洗練されたストーリーアニメーションの完成度の高さ多方面から絶賛され、まさに有終の美を飾る一本となりました。



現在においては決して代表作と言えるような圧倒的な知名度を誇るわけではありませんが、グッズ書籍ソフト展開も広く行われ、2002年の長編映画「リロ・アンド・スティッチ」では物語のキーポイントとしてその存在が登場する等、その人気と支持健在であり、シリー・シンフォニーが最後に生んだ普遍的な名作としてファンをはじめ世界中で愛され続けています。



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あらすじ



とあるアヒルの夫婦は五つの卵を前に、我が子たちの誕生を心待ちにしていた。


順調に孵化していく子供達だったが…最後の一羽が孵ると親アヒルの幸せな空気は一変する。。


最後の卵から生まれてきたのが、明らかにアヒルとは種類の異なる真っ白な鳥だったからだ……。



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感想




1930年代のディズニーのクリエイティブな側面を牽引し【ディズニーはミッキー・マウスだけじゃない】という事を世に知らしめたシリー・シンフォニーシリーズ最終作として本当に相応しい名作だと思います。


アニメーションは相変わらず圧巻のクオリティで、背景水の描写も本当に美しいです。


ストーリーも本当に見事で、遊び心はしっかり入れ込みながらも決して一切の無駄がなく約8分という短編の中でダイレクトにしっかりとこの物語のメッセージを伝えてくるその構成力には本当に頭が下がります。




入れ込まれているユーモアも本当に絶妙

で、例えば冒頭のシーン

明らかに種類の違う子供が産まれた事で両親が喧嘩をします。


勿論セリフは無くグワグワ言ってるだけなんですが、、これよく見ると確実に雄が「俺の子じゃない!浮気したのか!」と雌を責めてるんですよw


これ、大人にしかわからないちょっとしたユーモアですよね。


子供向けの童話カートゥーンで、それを邪魔することなくこっそり大人向けジョークも入れ込んでいる。


その他にもキャラクターのモーションによるユーモアも上手に盛り込まれていて、感傷的な物語ながら暗くなりすぎないその塩梅は本当に見事です。


シリー・シンフォニーって振り幅がすごく広いシリーズなんですけど、【これまでのアニメーション=子供向けというイメージを覆す作品群】と、素直に純粋に丁寧に【子供のためのアニメーションを貫いた作品郡】…その両極がひしめいているんですよね。


そんな中でこの最終作は、その両方の側面併せ持った作品だと感じました。





そして何よりもこの作品で凄いなと思うのが、この短い尺の中で否応なく観客を惹き込むそのキャラクター描写力です。


アニメーションセリフ無し、しかも非人間キャラクターでありながら有無を言わさず観ているものを感情移入させる主人公愛らしさと健気さ


それを伝える画力表現力


これは本当に末恐ろしいというか身震いする程の凄さ


映画というのは往々にしてキャラクターへ感情移入させられるかどうかが大きな鬼門だったりします。


テレビシリーズと違って短い尺の中でどうそのキャラクターのアイデンティティを伝え、観客を惹き込むか。


実写であっても、2時間あっても、それが上手くいかない作品山程あります。


そんな中で、たった8分の短編アニメーションでそれをやってのけ最後には大人の観客も泣かせてしまう。


実際今作はシリー・シンフォニーシリーズ随一の【泣ける作品】とも言われています。


今でこそ珍しい事ではないかもしれませんが、1930年代でこれをやってのけたのは本当に凄い事だと思います。


大人子供も、観ているもの皆が一羽の鳥心惹かれ応援し涙する



まさに現代のディズニー、いや、アニメーション映画全体の基礎となる「キャラクターで観客を惹き込む」表現真髄がこの作品にはあるような気がします。


子供向けのアニメーションでも、人を感動させる事はできる


アニメーション可能性を拡げる数々の実験を行ってきたこのシリー・シンフォニーシリーズ


最後に示したのは、小手先抜きまさに直球勝負【アニメーションの可能性】へのアンサーだったのかもしれません…。





「みにくいあひるの子」は現在ディズニープラスで配信中です♪



子供の度は観たことかある方も多いとは思いますが、たかが短編映画と侮らず機会があれば是非大人の視点で、もう一度改めて観てみるのもオススメですね。



もちろん現代のお子様にだってしっかりオススメです!




はい。


というわけで今回はこの辺で!


今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪


また次回!


しーゆーねくすとたぁいむー。





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