はいどうも。
今回は【ディズニーの実写映画作品】を一本語っていきます。
個人的な見解なんですが、実写映画に関してはアニメーション映画程「これはこうで、あれはこうで、、」と不用意に語れるものでもないと思っているんですよね。
それとやはり基本的にディズニーの最近のアニメーションの実写化押しには正直抵抗があります。
アニメーションに比べて諸々事情や要素が複雑であり、作品単体のみと向き合えない作品が多い気がするんですよね。
ただもちろん中には全てを超越するくらい素晴らしい作品も沢山ありますし、アニメーションではなく実写という手法で表現されるディズニーの世界というのはやはりまた違った広がりや魅力を持っているのも事実です。
という事で今回はそんなディズニーの実写作品の中から、世界中でお馴染みのあの作品の隠れたもう一つの名作として知られるこちらの一本について語っていきたいと思います。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240629/16/yuzupill/74/21/j/o0720108015457276357.jpg?caw=800)
ロジャース&ハマースタインのシンデレラ
(原題:Rodgers & Hammerstein's Cinderella)
1997年
監督
ロバート・イスコヴ
データ
ディズニーのテレビ番組「ザ・ワンダフル・ワールド・オブ・ディズニー」用に製作されたテレビ映画。
1950年のディズニーアニメーション映画ではなく、リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン2世による1957年のテレビミュージカル及びシャルル・ペロー版の小説を原作を原作としたファンタジーミュージカル。
ロジャース&ハマースタイン版のシンデレラとしては、1957年のオリジナル、そして1965年版に続きく三本目となっています。
あの説明不要のトップスターであるホイットニー・ヒューストンのプロデュースで、当時のテレビ映画としては規格外の予算をかけて製作が行われました。
シンデレラとしてははじめてアフリカ系アメリカ人の方がキャスティングされた作品でもあり(1978年の再解釈版「シンディ」を除く)、これはホイットニーはじめ製作陣の強い拘りと意思により実現した出来事でした。
監督を務めたのはロバート・イスコヴ。
テレビ映画を多数手掛けるカナダのクリエイターです。
脚本は劇作家としても豊富なキャリアを持つロバート・L・フリードマン。
音楽は今バージョンの原作者でもあるリチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン2世。
数々のブロードウェイミュージカルとその楽曲を手掛けた偉大なコンビです。
今作では彼らが遺した楽曲を、シンデレラ以外からも取り入れふんだんに使用しています。
主役のシンデレラ役を務めるのはミュージシャンとして非常に有名なブランディ・ノーウッド。
当時役者としてはまだ経験の浅かった彼女ですが、尊敬するホイットニー・ヒューストンと共演できるなら…と出演を承諾しています。
そのホイットニー・ヒューストンは今作ではプロデューサーに加えフェアリー・ゴッドマザー役として出演。当初はシンデレラ役を務める予定でしたが製作に遅れが発生しているうちに年月が経ち出産等を経験したことで自らシンデレラを降板し代わりにブランディを推薦したと言われています。
他にもクリストファー王子(通称チャーミング)役に
パオロ・モンタルバン、女王役に「天使にラブ・ソングを…」で世界的に有名なウーピー・ゴールドバーグ、継母役のベルナデット・ピーターズ、マクシミリアン王役には最近でも「ウィッシュ」にてサバ役を演じたビクター・ガーバー、さらに従者のライオネル役として「ノートルダムの鐘」でも活躍したジェイソン・アレクサンダーなど、、
豪華なキャスト陣が軒を連ねました。
「ザ・ワンダフル・ワールド・オブ・ディズニー」の復活作、大物であるホイットニー・ヒューストンのプロデュース、さらに元々人気のロジャース&ハマースタインのシンデレラのリメイクという事で話題性が非常に高く、テレビ映画としては異例なほど大々的な宣伝が行われた末公開されたこの作品。
視聴数としては予想を遥かに超え、数々の記録を打ち立てる特大ヒットを達成します。特に女性や若者達から莫大な注目を集めました。
評価面では、批判家レビューとしてはある程度賛否両論な論評となり、一部の演技や構成とメッセージ性に批判があがるものの一般評価を中心にトータルでは多大な絶賛を獲得。
さらに時の経過と共に批判家陣からの再評価も進み、各役者陣の演技やミュージカルパフォーマンス、ストーリーやメッセージ性の塩梅等が改めて称賛され、放送から25年以上が経つテレビ映画でありながら、ディズニーシンデレラの「もう一つの名作」として現在でも世界中で沢山のファンから愛される一本となっています。
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あらすじ
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240703/13/yuzupill/bf/83/p/o1080077715458833097.png?caw=800)
とある王国…。
シンデレラは継母達の買い物に付き合わされ、荷物持ちとして街に出ていた。
そこで、とある青年に出会う。
彼はひと目でシンデレラが気になり、執拗に声をかけるが彼女はあまり相手にしなかった…。
しかし、シンデレラはまだ気付いていなかった。
これが彼女にとって運命の出会いになるということを…。
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感想
しっかりとシャルル・ペローやロジャース&ハマースタインが繋いだ伝統を継承するミュージカルに特化した、まさにディズニーのもう一つのシンデレラ。
友達のネズミや小鳥、意地悪な猫等は登場せず、本来のシンデレラのストーリーに忠実に、そしてそこに現代的価値観を絶妙な塩梅で付与した非常に堅実なミュージカルファンタジーですね。
誰の心にも違和感なくスッと染み入る素敵なシンデレラだと思います。
もちろん時代、テレビ使用の演出やセットなど現代に観るとそれなりにシュールな感覚は拭えませんが、それを補う程の作品のパワーを感じる作品です。
ミュージカルも楽曲も本場仕込みと言うか、、DCOMのダンスミュージカルではない所謂ガチのやつなので見応えも充分です。
特にこう、、付け加えているエッセンスと言うのがまた本当に絶妙でして…
まぁ詳しくは↓以外↓で!
余白の上手な使い方
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240703/20/yuzupill/dc/41/j/o1080081815458968281.jpg?caw=800)
まず最初に少しだけ触れておきたいのは、キャスティングについてです。
これに関して現代に今作を知った人達が「またディズニー…」と言っているのを見かけますが、これは、そうではありません。
所謂現代のディズニーのそれではありません。
ホイットニー・ヒューストンや主役のブランディをはじめ制作側が強い意志と拘りで、望んで、実現させたキャスティングです。
主演のブロンディは「白人のシンデレラしかこれまで見てこなかった。それを覆し、私たちの子供達に希望を与えられる。これこそまさに魔法であり、これは私達の物語でもある。」という旨の発言を公にしています。
この作品のキャスティングに関してそういった類の批判はお門違いですし、個人的には許せません。
…スミマセン珍しく少し言葉荒くなってしまいました。。
以後この話題は語りませんのであしからず…。
さて気を取り直して。
今作で個人的にとても好きなのは、シンデレラの物語の余白を押し付けがましくない絶妙な塩梅で埋めるような構成になっていること。
例えば継母。
彼女はシンデレラに辛く当たり、本物の恋など信じていませんし、名誉やお金の為に娘達を王子と結婚させようとします。
これはほとんどのシンデレラでそうだと思うのですが、今作では、継母によるミュージカルシーンがあります。
そこでは、具体的に何があったかは明かされませんが、少なくとも過去に何か辛いキッカケがあり恋を信じなくなったこと、そしてシンデレラに辛く当たるようになった事が示唆されます。
さらにシンデレラと王子の一目惚れに関しても、完全な一目惚れ婚にはせず、最初にちょっとしたニアミスをさせ「一目惚れなんてしても良いのか…これは恋なのか…」という趣旨の曲を2人に歌わせ、シンデレラに関しても【これは魔法の力では無くシンデレラ自身の力だ】という趣旨のメッセージをこれまたミュージカルをうまく使って匂わせています。
王子もただ親に従ってるだけじゃなく、ちゃっかり取引して舞踏会に参加してたり…
この辺の、物語の余白を観客に意識させておいて具体的なところは「ご想像にお任せします…」的なやり方がおしゃれだし小粋だし、すんごく好きです。
露骨じゃないんですよ。
シンデレラには不可能も可能にする力があるという趣旨を「あなたの中には音楽がある。」と表現するところとか本当に好きなんですよね。
シンデレラという物語を良く読み解いて理解しているのがしっかり作品から伝わります。
この物語を愛しながら、さらに深掘りの余地を観ている人に与える…素敵な脚本だと思いました。
エンターテイメントとして
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240703/20/yuzupill/e5/d3/j/o0625044215458968288.jpg?caw=800)
それと、やはり今作の見所はどうしたってミュージカルですね。
決して派手な楽曲とシーンばかりではないですが、本格的な、物語を伝えるための、物語と一体となったミュージカル。
出演者のパフォーマンスもやはり物凄いですよ。
ブランディにヒューストンにウーピーに…ですからね。。
ブランディとかは正直まだ演技には初々しさが残りますがその歌声となるとやっぱり圧巻です。
演出はやはり少々時代や予算を感じる部分もあり、なんとなくディズニーランドのパレードを彷彿とさせなくもないですが…それはそれでまた良いんですよね。
衣装とかは凄く凝っていて流石にとても美しかったです。
あと、ウーピーやビクター・ガーバー、ベルナデット・ピーターズ等の脇役陣のコミカル系の演技も本当に大きな見所ですね。
ウーピーとかもう…ちょっと遊んでるでしょ…みたいな所もありw
個人的にツボでしたw
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