ディズニー映画語りピートと秘密の友達 | すきなものしか語れない

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元ディズニーシー長年単パサー。今はおもにディズニー映画中心に好きなものだけ勝手に語るつまらないブログです。Dヲタだった頃の記事は思い出として残してます。

 

はいどうも。


今回はウォルト・ディズニー・ピクチャーズ制作の実写+アニメ映画シリーズ作品を一つ語っていきたいと思います。


世間的にはウォルト・ディズニーの始まりはアニメーションというイメージが強いと思いますが、実は彼が最初に本格的に世にでたのは【アリス・コメディ】という実写+アニメーションのコメディシリーズからでした。


この手法は実は「ウォルトが本当にやりたかった事」の一つであると言われていて、その後も「メリー・ポピンズ」「魔法にかけられて」等、節目節目でディズニーを語るうえでは外せない名作が生まれている真の【ディズニーの得意分野】とも言えるジャンル。


そんな中から今回は、1977年公開あの作品を最新技術でリメイクしたこちらの作品について語っていきたいと思います。




(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)


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  ピートと秘密の友達

(原題:Pete's Dragon)

2016年

監督

デビッド・ロウリー


データ

1977年に公開された「ピートとドラゴン」CGI等の最新技術を使いフルリメイクした実写+CGアニメーション作品

原作は脚本家シートン・I・ミラーとSSフィールドによる未発表の短編小説及びそれを基に執筆されたマルコム・マーモスタインによる1977年映画脚本とされています。

時代舞台設定をはじめピートとエリオット以外のキャラクター全て変更される等全体通して大きな改変が行われていますが、大まかなストーリーテーマに関してはオリジナルを継承しています。

又、オリジナルでは手描きだったドラゴンのエリオットが今作では全編CGIアニメにより表現されている事、ミュージカル要素が完全撤廃された事も大きな特徴です。


監督は2023年の実写版「ピーター・パン&ウェンディ」を手掛けた事でも知られるデビッド・ロウリー

脚本も監督が執筆している他に、ロウリーと数々の作品でタッグを組んでいるトビー・ハルブルックスも参加。

音楽もロウリーの作品で何度もスコアを手掛けてきたダニエル・ハート


主人公ピートを演じたのはダニエル・ハート。当時11歳で、現在も映画やテレビで活躍中の俳優です。

ピートと関わりを深めていく森林警備隊の女性グレース役にジュラシック・ワールドシリーズ等で有名なブライス・ダラス・ハワード

グレースの父親役をオスカーをはじめ数々の賞を受賞する大物俳優でありロバート・レッドフォードが演じています。

その他カール・アーバンウェス・ベントリー実力派俳優が多数出演。


オリジナルの1977年版自体がディズニー作品の中でもあまり知名度が高い作品とは言えない為、今作もそれ程大きな話題になる事はありませんでした。

しかし、興行収入面では決して大ヒットではないものの成功と言える数字を記録。

評価面でもハートウォーミングファミリーエンターテイメントとして概ね好評を集め、中でもドラゴンのエリオットのCG表現と、オリジナル同様ピートとエリオットの関係性を丁寧に描いたその内容は称賛されました。

現在でも、ディズニーの実写リメイク作品の中でも地味ながら大きな批判の無い良質な一本として愛されています。



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あらすじ




1986年の太平洋岸北西部。

両親を失った少年と一頭のドラゴンが森の奥深くでひっそりと共に暮らしていた。

事故で突然両親を失ってからの六年間、ピートにとってドラゴンのエリオットは唯一無二の大切な存在だった。

ところがある日、そんな森に森林警備隊がやってきて、二人の運命は大きく動き出すことになる…。

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感想



いやぁ…とても良いリメイクだったと思います。

オリジナル良さしっかりと残しつつ、現代では伝わりにくい点欠点とも言えた部分丁寧調整・改善した、個人的には過去作リメイク一つのお手本のような一本だと感じました。

最近のディズニーの実写リメイクで散見されている、余計なメッセージ社会性を付け加えて根本のテーマを崩すような事は一切なく、逆に言うとその根本のテーマと本質以外バッサリと変更し、オリジナルにあった取り留めのなさや本質の伝わりにくさ、取っ付きにくさを見事に改善
親しみやすいファミリーエンターテイメントとして巧妙にリファインする事に成功しています。


決して大傑作ではありません
ストーリーには既視感が多々ありますし、詰めが甘いところも多く基本は子供に分かるように作られているので大人は物足りないかもしれません。

しかし、オリジナルの要点をしっかりと読み込み理解し、そこを大切にしながら周辺を再形成したそのリメイクへの姿勢は……本当に他様々ディズニーリメイク映画に是非見習っていただきたいくらいです…w

本当に結構バッサリ変わっていて、コメディでもミュージカルでもなくなっているんですが…それでもこの作品は紛れもなく「ピートとドラゴン」なんですよね。

それが凄いです。


愚直なリメイク脚本




前作「ピートとドラゴン」良質なコメディミュージカルであり、2人を取り巻く灯台守の親子村人達、ヴィランであるインチキ医師のキャラクター性など、それぞれ魅力的な部分が沢山ありました。

今作ではそのほとんどの要素が取り払われ、さらにピート「人身売買された孤児」というバックボーン等も含めた設定ストーリー大きく変更されています。

しかもその変更されたストーリーや設定はどちらかといえば凡庸で、決して大きな捻りや面白みのある物とは言えません。所々強引な部分も見受けられます。

それでも尚今作がオリジナル大切にしたリメイクだと言い切れるのは、作品の核となる部分をしっかり引き継いでいるからです。

それは【ピートとエリオットの関係性】そして【エリオットのアイデンティティ】

この物語は、ピートという孤独な少年とそれを救うためにやってきたドラゴンのエリオットという二人の関係ある意味全てなんです。

【イマジナリーフレンド】の具現化版の物語だと個人的には理解しています。

親代わりにピートを育てる…というよりはピートと同じくらいの精神年齢で、一緒に遊び、ただ彼の孤独を埋めてくれる存在

ある意味依存的な関係

この二人の空気感距離感がオリジナルからしっかりと引き継がれていました。

そしてエリオットというドラゴン。
彼の物語上の立ち位置というか存在意義というのも非常に丁寧に再現してあるんですよね。

コミカルさこそ控えめになってるものの、彼の持っている独特の愛嬌周りを柔らかい気持ちにする性質をちゃんと捉えていて、それを今作では「魔法」と表現しています。

そしてこのエリオットは基本的にただピートを想って後先考えず行動するだけなんですが、結果的にピートと新しい家族を結びつける存在になっているというのも前作と同じです。

ここがブレていないからこそ、その他がどんなに変わってもこの作品は紛れもなくピートとドラゴンだと思えるんですよね。


エンタメとしてのパンチのなさ




その他のストーリー部分にはそれ程の深みや捻りはなく、ファミリームービー特有ザックリ感もあります。

特にヴィランというか、エリオットを追い詰める側行動動機等がかなり強引だったりグレース達とピート関係性構築描写薄かったり難点も決して少なくはありません、


遊び心も控えめミュージカルでもなく、観客を惹き込む圧倒的パンチ個性もないのでファミリームービーとしてはかなり地味であり、人によっては退屈に感じられてしまうのも無理はないと思いますね。

筋自体も所謂スピルバーグ的E.T.的と言われればそれまでで、1970年代ならともかく現在においては特に目新しい物とは言えないです。

決して万人を魅了する大傑作映画ではないというのは否めないでしょう。

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まとめ




総じて言えることは、今作は決して大きく目立つことはないけれども、とても愚直で優しい映画であるという事です。


オリジナルのとなる部分をちゃんと落とし込む為に細心の注意をはらっているし、細部までこだわり抜かれたエリオットのCG表現と実写との連動は素晴らしいです。

写実的なCGでありながらも、前作の手描きアニメーション同様表情が非常に豊かで、それだけでエリオットの心情がしっかり観ている人に伝わります。

体毛の表現とかもとても丁寧で見応えがありました。



前述のストーリーの強引さも含めて、全体がとても優しい作りなんですよね。


前作のコミカルながらワリと殺伐とした世界観とは違い、悪人の登場しない優しい世界のお話になっています。


なんかこう…監督の人柄が作品に表れているような気がしました。


ワクワクハラハラを求める人には物足りないとは思いますけどね。


一つだけ残念だった点をあげるとするなら、ラストの展開です。


エリオットとピート別離の理由は、個人的にはオリジナル通り

【ピートは家族ができてエリオットの役目は終わったから、また別の助けを必要としてる子供の所に行く…】

という筋書きの方が、この作品のテーマに沿っていて良かったんじゃないかと思いました。


【エリオットも家族の元へ帰った…】というのも決して悪いラストではないですが、、まぁやっぱりこういう所も含めてやっぱり全体的に【優しい】んですよね。


二人の関係性を非常に丁寧に描いてただけに、個人的にはここはちょっとだけ残念でしたかね。




ちょっと大人には退屈な部分もありますが、非常に丁寧に作られた良質なリメイク作品です。

繁雑な部分も多かったオリジナルよりも格段に見易くなっていると思いますし、家族で安心して楽しめるファミリームービーとして最適だと思います。

何よりも、どちらかと言えば地味な作品だった「ピートとドラゴン」を、こういう余計なものが混ざっていない丁寧なリメイク再び世に送り出してくれた事は、個人的にはとても嬉しかったですね。




「ピートと秘密の友達」ディズニープラスにて現在配信中です♪


オリジナル未見でも問題なく楽しめる作品だと思いますので、機会があれば是非チェックしてみて下さいね♪



はい。というわけで!


今回はこの辺で。


いつも長文駄文にお付き合い頂き本当にありがとうございます。感謝です!


では、また次回!


しーゆーねくすとたぁいむー。



 

 





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