ディズニー映画語り ピートとドラゴン | すきなものしか語れない

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元ディズニーシー長年単パサー。今はおもにディズニー映画中心に好きなものだけ勝手に語るつまらないブログです。Dヲタだった頃の記事は思い出として残してます。

はいどうもぉ。


今回はウォルト・ディズニー・ピクチャーズ制作の実写+アニメ映画シリーズ作品を一つ語っていきたいと思います。


世間的にはウォルト・ディズニーの始まりはアニメーションというイメージが強いと思いますが、実は彼が最初に本格的に世にでたのは【アリス・コメディ】という実写+アニメーションのコメディシリーズからでした。


この手法は実は「ウォルトが本当にやりたかった事」の一つであると言われていて、その後も「メリー・ポピンズ」「魔法にかけられて」等、節目節目でディズニーを語るうえでは外せない名作が生まれている真の【ディズニーの得意分野】とも言えるジャンル。


そんな中から今回は、これまでの実写+アニメーション映画とは全く違う試みに挑戦した、こちらの意欲作について語っていきたいと思います。




(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)


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  ピートとドラゴン

(原題:Pete's Dragon)

1977年

監督

ドン・チャフィー


データ

1971年「ベッドかざりとほうき」に続く久々のディズニー実写+アニメーション作品として1977年に公開された長編映画。


原作は脚本家シートン・I・ミラーSSフィールドによる未発表の短編小説です。


元々は1950年代後半テレビ用作品として企画・制作されていた作品でしたが、ウォルトの判断によりプロジェクトは保留に。


ウォルトや原作者のシートンが他界した後の1970年代になり「メリー・ポピンズ」再来を狙う作品として再び企画が立ち上がり、晴れて日の目を見る事となりました。


監督はファンタジー作品に定評のあるイギリスのドン・チャフィー


アニメーション監督は1960〜1970年代を中心に様々なディズニーで才能を発揮したアニメーターのドン・ブルース


脚本はテレビの名作を多数手掛けたマルコム・マーモルスタイン



音楽を担当したのは「メリー・ポピンズ」アーウィン・コスタル

楽曲は「ポセイドン・アドベンチャー」アル・カーシャジョエル・ハーシュホーン


孤児の少年ピートと、相棒であるドラゴン・エリオットの交流を描いたファンタジー・ミュージカル


ドラゴンのエリオットが全編に渡ってアニメーションで描かれ、これまでの【実写のキャラクターがアニメーションの世界へ入り込む】とは真逆の【現実世界にアニメーションキャラクターが入り込む】という長編作品でははじめての手法を用いた作品です。


主役の子供ピートを演じたのはショーン・マーシャル1970年代の短い期間、沢山の作品に子役として出演しました。


ピートと親しくなる灯台守の女性ノラヘレン・レディ。役者としてだけではなく、歌手としても圧倒的人気を誇ったメジャーアーティストです。


ノラの父親ランピー役にはミッキー・ルーニー

子役としてスターとなり成長後はコメディ俳優として地位を築く等、実に90年近くに渡って第一線で活躍を続けた稀有な名優です。


ペテン師のターミナス博士を演じたのは、舞台を中心に活躍した実力派俳優ジム・デール


個性豊かな名キャスト陣が名を連ねています。


1964年「メリー・ポピンズ」大ヒット以来、機を見てはそれに次ぐ実写+アニメーション映画ヒット作を狙ってきたディズニー。


1971年「ベッドかざりとほうき」に継ぐポストポピンズ候補として白羽の矢が立ったのが、10年以上前棚上げになったままだった、この作品でした。


興行収入面では失敗ではないもののメリー・ポピンズのヒットには遠く及ばず評価面では【ドラゴンのアニメーションの素晴らしさ】が非常に好評を獲るものの、全体的には【凡庸】【平均的なディズニー映画】と片付けられ、時代に埋もれていった作品の1つと言えるでしょう。


しかしその安定したファミリー向けの内容には定評もあり、ドラゴンのエリオットを中心に地味な人気を維持し続けている作品でもあります。


日本では長らく未公開だった為その知名度非常に低い状況が続いていましたが、それでもディズニーランドパレードショーでは時折その姿をみせており、ディズニープラスでの配信が開始された事でその認知度少なからず上昇しています。



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あらすじ



時は1900年代。


ニューイングランド・メイン州に、とある一家から必死で逃げる1人の少年・ピートがいた。


ピートを人身売買で購入したゴーガン一家が、逃亡した彼を捕まえようと追いかけていたのだ。


見えない力をかりて、なんとか逃げ切ったピート。そう、彼には心強い仲間がついていた。


その正体は【姿を消す能力】を持ったドラゴン・エリオット。


なんとかゴーガン一家から逃げ切った2人は、とある場所へたどり着く。


そこはパッサマコディという港町。


町の人々に溶け込もうとするピートだったがエリオットのせいで上手くいかず、2人は仲違いしてしまう。


そんな時、とある女性とその父親である老人に出会うピート。


そしてこの出会いが、2人の運命大きく変えることになるのであった…。


一方時を同じくして、見るからに怪しい旅の行商人二人組がパッサマコディに到着する。


町の噂でドラゴンの話しを耳にした二人は、とあるビジネスを企てる…



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感想




ディズニー・プロダクションによる【メリー・ポピンズをもう一度シリーズ】第二弾

どうしてもポピンズに次ぐヒットを生み出したいディズニーの試行錯誤は、公開から10年以上を経過してもまだ続いていました。

メリー・ポピンズの精神的続編「ベッドかざりとほうき」不発に終わり、次に目をつけたのがこのピートとドラゴン

しかし実質ポピンズの劣化版コピーになってしまった「ベッドかざりとほうき」と今作が大きく違うのは、根本のプロットジャンルを大きく変えてきたこと。
そして実写+アニメーションの構成を真逆にした事です。


大きな驚き目新しさはありませんが、ファンタジーヒューマンミュージカル映画として、そしてファミリーエンターテイメントとしてそつのない非常に安定したクオリティの良い映画だと思います。



安心して見れるファミリードラマ




少年とドラゴンの交流、というボーイミーツモンスター的な現代ではすっかりありきたりなプロットではありますが、この頃はまだそれほどお決まりの題材では無かったんですよね。
E.T.とかよりも前ですしね。

ちなみによく劣化版E.T.等と言われる2016年のディズニー映画「ピートと秘密の友達」ですが、これは今作のリメイクです。

この少年とドラゴンの交流がなんていうかホントに自然体で、凄く微笑ましくて良いですね。

これにはピートショーン・マーシャルの決して上手くはないんだけど自然な子供らしい演技がとても貢献していると思います。

内容としては孤児の少年人身売買された家庭から逃げるという【えっ】と声が出ちゃいそうな設定も多々ありますが、基本全編が非常にライトなコメディで描かれているので終始ただ楽しく、微笑ましく見る事ができるのがとても良かったです。

ドラゴンを狩ろうとするターミナス博士やピートを連れ戻そうとするゴーガン一家等、それなりのヴィランも登場しますが基本完全ご都合主義で主人公にやさしく物語が進んでいくので安心して見ていられます。

特に大きな教訓等もありませんが無害なエンタメとして仕上がっていて、まさに【毒にも薬にもならない】といった表現がピッタリですかね。

ピートがゴーガン一家にいじめられてる様子やドラゴン・エリオットのバックボーンをあえて描いていないのも個人的には正解だったと思います。

大人には物足りないと感じるかもしれませんが。

設定はわりと重いはずなのに、見事に脳天気コメディ映画として仕上ってるのは流石ディズニーの真骨頂といった感じですね。

アニメーションと音楽



これは割と多方面で絶賛されていますがエリオットアニメーションはホントに素晴らしいです。
この時期の、1970〜1980年代のディズニーアニメーション独特細かさシュールな表現が顕著に出ていて最高でした。

極端に可愛すぎるわけでも怖すぎるわけでもなく、非常に人間味のあるアニメーションなんですよね。

最初はクセが強いなと思うかもしれませんが、見れば見るほど味わい深く好きになる作画です。


ディズニーのベテランアニメーター集団ナイン・オールドメン一人も関与していないはじめてのディズニーアニメーションだったにも関わらず、この味のあるクオリティは見事でしたね。

楽曲に関しては正直小粒揃いであまり特筆すべき良さはありませんが、ノラが歌う「Candle on the Water」という曲は素晴らしくアカデミー賞にもノミネートされています。

しかしなんと、同作で一番評価されているにも関わらずなんと現在ディズニープラスで観れるバージョンではまさかのカット!

これは非常に残念ですね。

個人的にはノラとピートが歌う「It's Not Easy」という曲がとても好きです。
歌詞もメロディもさりげないんだけど自然と心に浸透するような素敵な曲です。

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まとめ



1970年代のディズニーと言えば「ロビン・フット」「おしゃれキャット」「くまのプーさん」大作ではないものの、地味で軽快な良作連発していた時代です。

この作品も決してメリー・ポピンズを超えるような大作ではありませんが、この時期のディズニーのエンターテインメント作品としての良さが如実に出てい良作だと思いますね。

最後のシーン切なさはありつつも湿っぽくなりすぎず、前向きで軽めのテイスト絶妙別れを描いているのが良いなと思いました。

深いストーリーにしようと思えばいくらでもできる題材でありながら敢えてそれをせず

「観てる時は楽しく観れて、観終わった後は何も残らない。」

という姿勢を通した、そういうディズニーらしい清々しいエンターテイメント作品に仕上っています。

こういう作品ってやっぱり大ヒットしにくいんですけど、確実堅実に観客を楽しませるディズニーの大きな魅力の1つだと思うんですよね。


まだまだ知名度の低い作品ではありますが、ディズニープラス契約してる方には折角なので1度は軽い気持ちで試しに観て頂きたいですね。



個人的には予想以上に、結構好きな作品でした。



「ピートとドラゴン」ディズニープラスにて現在配信中です♪


はい。というわけで!


今回はこの辺で。


いつも長文駄文にお付き合い頂き本当にありがとうございます。感謝です!


では、また次回!


しーゆーねくすとたぁいむー。