はいどんも。
今日はディズニーの原点である短編映画シリーズ語り。
「ミッキー・マウスシリーズ」や「ドナルド・ダックシリーズ」等と並ぶディズニーの代表的な短編作品群である「シリー・シンフォニー」シリーズの登場です。
ディズニーは元々短編カートゥーンが主戦場の小さな映画制作会社でした。
その中で、キャラクターを中心として展開したミッキーやドナルドのシリーズとは違い、音楽とアニメーションを精密に融合させた単発作品のシリーズとしてスタートしたのがシリー・シンフォニーです。
ウォルトの友人であった音楽クリエイターのカール・スターリングが提案した「アニメーションに合わせた音楽」ではなく「音楽に合わせたアニメーション」という発想から始まった今シリーズは独自の発展を遂げていき、ウォルトとディズニースタジオにとって、新しいアイデアや技術・手法等を試す最良の実験の場として機能することになります。
その過程の中で、【初のカラーアニメーション】や【マルチプレーンカメラの導入】【ドナルドダックの誕生】等映画界に様々な影響を与えながら多数の名作を生み出していきました。
このシリーズでのディズニーの実験の数々は、やがて初の長編アニメーション映画制作という偉業へ直接結びついていく事になります。
アカデミー賞受賞作品もとても多く、シリー・シンフォニーシリーズとしては実に7本の作品が受賞を成し遂げました。
今回はそんな作品群の中から、少々変わった経緯で製作されたこちらの一本について語っていきます。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240622/22/yuzupill/22/84/j/o0580088015454733897.jpg?caw=800)
人魚の踊り
(原題:Merbabies)
1938年
監督
ルドルフ・アイジング
ヴァーノン・スタリングス
データ
1938年に公開されたシリー・シンフォニーシリーズ第72作目(諸説により前後あり)となる短編アニメーション映画。
原作のないオリジナルストーリーによるミュージックコメディ。
ディズニースタジオで初めて「他スタジオへの外注」にて製作された作品で、ウォルトと旧知のクリエイターであるヒュー・ハーマンとルドルフ・アイジングの「ハーマン・アイジング・スタジオ」がその製作の中心を担っています。
白雪姫製作の為に同スタジオへアニメーターや設備のレンタルを要請したウォルトは、その見返りの一つとしてディズニースタジオでの短編製作を許可しました。
監督はディズニーの最初期スタッフの一人であり、その後各スタジオを転々としながらフリーランスでアニメーションを製作し続けたルドルフ・アイジングと、当時まだディズニーの新人であり後に様々な名作に携わる事となるヴァーノン・スタリングス。
ストーリーを担当したのはグーフィーやプルートのボイスキャストとしても知られるピント・コルヴィグら3名。
音楽はトムとジェリーシリーズの作曲等で知られるスコット・ブラッドリー。
今作に台詞は登場しませんが、動物達や人魚のボイスキャストとしてピント・コルヴィグがストーリーライトと兼務で担当している他、ミニー・マウスのキャストの一人でもあるレオーネ・ル・ドゥーも出演しています。
シリー・シンフォニーシリーズ最後期の作品の一つであり知名度はそれほど高い作品ではありません。
しかし、その圧巻のアニメーション、特に水中内でのキャラクターコメディを見事に実現させたその表現力は多方面から非常に大きな称賛を獲得しており、後の「ピノキオ」等ディズニーの圧倒的な水中表現の礎となった作品としてファンから愛される一本。
又、赤ちゃん人魚達をはじめ、そのキャラクター達の見事な愛らしさも多くの観客達を魅了しました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240623/13/yuzupill/b0/ca/j/o0720052515454948692.jpg?caw=800)
そして、今作が公開されたのは1938年。
白雪姫公開の翌年です。
ご承知の通り白雪姫は破竹の大ヒット。
つまりこのシリーズの当初の目的は果たされたと言っていいでしょう。
今作でウォルトがこのシリーズの一枠を【他スタジオに売った】という事実も、それを物語っていると思います。
この後程なくしてこのシリー・シンフォニーは完全に終了する事になるのですが、そんなタイミングでの今作の製作は、ディズニーにとっては思わぬ収穫だったんじゃないでしょうか。
前述通り、今作がピノキオ等の以後のディズニー作品に少なからず影響を与えていることは間違いないからです。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240623/13/yuzupill/e2/8e/j/o0720052515454948701.jpg?caw=800)
前にも語りましたが、ディズニーの100年に及ぶ歴史の中の作品達は、それぞれが独立しているように見えて実は全てが地続きであり、全てが繋がっています。
この作品を含め、このシリー・シンフォニーというシリーズがあったからこそ後のディズニーの名作たちがある。
それは間違いないんですよね。
このシリーズが担っていた役割と、そしてその多大なる功績。
それをこの作品を通じて改めて痛感させられた、、、そういう一本でした。
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