ディズニー映画語り 人魚の踊り | すきなものしか語れない

すきなものしか語れない

元ディズニーシー長年単パサー。今はおもにディズニー映画中心に好きなものだけ勝手に語るつまらないブログです。Dヲタだった頃の記事は思い出として残してます。

はいどんも。


今日はディズニーの原点である短編映画シリーズ語り。


「ミッキー・マウスシリーズ」「ドナルド・ダックシリーズ」等と並ぶディズニーの代表的な短編作品群である「シリー・シンフォニー」シリーズの登場です。


ディズニーは元々短編カートゥーン主戦場小さな映画制作会社でした。


その中で、キャラクターを中心として展開したミッキードナルドシリーズとは違い、音楽アニメーション精密に融合させた単発作品のシリーズとしてスタートしたのがシリー・シンフォニーです。


ウォルトの友人であった音楽クリエイターのカール・スターリング提案した「アニメーションに合わせた音楽」ではなく「音楽に合わせたアニメーション」という発想から始まった今シリーズは独自の発展を遂げていき、ウォルトディズニースタジオにとって、新しいアイデアや技術・手法等を試す最良の実験の場として機能することになります。


その過程の中で、【初のカラーアニメーション】【マルチプレーンカメラの導入】【ドナルドダックの誕生】等映画界に様々な影響を与えながら多数の名作を生み出していきました。


このシリーズでのディズニーの実験の数々は、やがて初の長編アニメーション映画制作という偉業へ直接結びついていく事になります。


アカデミー賞受賞作品もとても多く、シリー・シンフォニーシリーズとしては実に7本の作品が受賞を成し遂げました。


今回はそんな作品群の中から、少々変わった経緯で製作されたちらの一本について語っていきます。



(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  人魚の踊り

(原題:Merbabies)

1938年

監督

ルドルフ・アイジング

ヴァーノン・スタリングス


データ



1938年に公開されたシリー・シンフォニーシリーズ第72作目(諸説により前後あり)となる短編アニメーション映画


原作のないオリジナルストーリーによるミュージックコメディ



ディズニースタジオで初めて「他スタジオへの外注」にて製作された作品で、ウォルト旧知のクリエイターであるヒュー・ハーマンルドルフ・アイジング「ハーマン・アイジング・スタジオ」がその製作の中心を担っています。


白雪姫製作の為に同スタジオへアニメーターや設備のレンタルを要請したウォルトは、その見返りの一つとしてディズニースタジオでの短編製作許可しました。




監督はディズニーの最初期スタッフの一人であり、その後各スタジオを転々としながらフリーランスでアニメーションを製作し続けたルドルフ・アイジングと、当時まだディズニーの新人であり後に様々な名作に携わる事となるヴァーノン・スタリングス


ストーリーを担当したのはグーフィープルートのボイスキャストとしても知られるピント・コルヴィグ3名


音楽はトムとジェリーシリーズの作曲等で知られるスコット・ブラッドリー



今作に台詞は登場しませんが、動物達や人魚のボイスキャストとしてピント・コルヴィグがストーリーライトと兼務で担当している他、ミニー・マウスのキャストの一人でもあるレオーネ・ル・ドゥーも出演しています。


シリー・シンフォニーシリーズ最後期の作品の一つであり知名度それほど高い作品ではありません。


しかし、その圧巻のアニメーション、特に水中内でのキャラクターコメディを見事に実現させたその表現力は多方面から非常に大きな称賛を獲得しており、後の「ピノキオ」等ディズニーの圧倒的な水中表現となった作品としてファンから愛される一本。


又、赤ちゃん人魚達をはじめ、そのキャラクター達の見事な愛らしさも多くの観客達を魅了しました。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あらすじ



深い海の底。


ここでは今、人魚の子供達と海の生き物達のサーカスが催されていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


感想




ディズニー作品では非常に珍しい「外注製作作品」です。

自分が把握している中でディズニースタジオが外注で作品を制作したのは今作と1983年「プーさんとイーヨーのいち日」の2つだけだと思います。

ストーリーはほぼ限りなく無いに等しくユーモアという部分では正直ディズニースタジオ純正作品劣る部分も見受けられますが、それを補って余りあるキャラクターデザインアニメーション愛らしさと美しさ、そして見事水中のカートゥーン表現は正に必見となっています。



特にその水中表現、さらにキャラクターの毛の動き細部まで描き込まれたそのアニメーションは、同じく水中シーンが高い評価を受けている2年後公開「ピノキオ」において、大きな影響を与えたと言われています。

月並みな言葉ではありますが、、これが100年近く前の作品だと言う事が信じられません

それ程のクオリティです。




キャラクターデザインモーションも本当に可愛くて、ちょっとだけ普段のディズニーとは違う味も持っている気がします。

海の生物たちの描き方も結構個性的で、観ていて楽しいんですよね。

全編で多用されている音とのシンクロによるギャグ演出流石の出来です。

ストーリー台詞もありませんが、アニメーションを楽しむ作品としては非常に魅力的な一本に仕上がっていると思います。




それと同時に今作で強く感じたのは、ディズニーアニメーションにおけるシリー・シンフォニーシリーズ役割の終了です。

シリー・シンフォニーはその大きな役目の一つとして「長編アニメーション製作への足掛かり」という点がありました。

それは技術的な意味でもそうで、これまでディズニーはこのシリー・シンフォニーを実験の場として、カラーアニメーションマルチプレーンカメラ様々な試みを行っています。

そしてもう一つは「世間へのアピール」

ミッキー・マウスだけじゃないんだぞ】【キャラクターに頼らなくても良いアニメーションが作れるんだぞ】という事を世間に証明する目的です。
その思惑通り、シリー・シンフォニーアカデミー賞を多数受賞し、ディズニーの作品幅と能力を大きく世間に知らしめることに成功しました。


そして、今作が公開されたのは1938年

白雪姫公開の翌年です。

ご承知の通り白雪姫破竹の大ヒット


つまりこのシリーズの当初の目的は果たされたと言っていいでしょう。


今作でウォルトがこのシリーズの一枠【他スタジオに売った】という事実も、それを物語っていると思います。


この後程なくしてこのシリー・シンフォニー完全に終了する事になるのですが、そんなタイミングでの今作の製作は、ディズニーにとっては思わぬ収穫だったんじゃないでしょうか。


前述通り、今作がピノキオ等の以後のディズニー作品少なからず影響を与えていることは間違いないからです。







前にも語りましたが、ディズニーの100年に及ぶ歴史の中の作品達は、それぞれが独立しているように見えて実は全てが地続きであり、全てが繋がっています。


この作品を含め、このシリー・シンフォニーというシリーズあったからこそ後のディズニーの名作たちがある。


それは間違いないんですよね。




このシリーズが担っていた役割と、そしてその多大なる功績


それをこの作品を通じて改めて痛感させられた、、、そういう一本でした。






「人魚の踊り」は現在ディズニープラスで配信中です♪



子供の度は観たことかある方も多いとは思いますが、たかが短編映画と侮らず機会があれば是非大人の視点で、もう一度改めて観てみるのもオススメですね。




もちろん現代のお子様にだってしっかりオススメです!




はい。


というわけで今回はこの辺で!


今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪


また次回!


しーゆーねくすとたぁいむー。



にほんブログ村 映画ブログ ディズニー映画へ