はいどうも。
今回は【ディズニーの実写映画作品】を一本語っていきます。
個人的な見解なんですが、実写映画に関してはアニメーション映画程「これはこうで、あれはこうで、」と不用意に語れるものでもないと思っているんですよね。
それとやはり基本的にディズニーの最近のアニメーションの実写化押しには正直抵抗があります。
アニメーションに比べて諸々事情や要素が複雑であり、作品単体のみと向き合えない作品が多い気がするんですよね。
ただもちろん中には全てを超越するくらい素晴らしい作品も沢山ありますし、アニメーションではなく実写という手法で表現されるディズニーの世界というのはやはりまた違った広がりや魅力を持っているのも事実です。
という事で今回はそんなディズニーの実写作品の中から、日本のディズニーパークでもお馴染みのあの作品の姉妹作を題材となるこちらの一本について語っていきたいと思います。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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ハックフィンの大冒険
(原題:The Adventures of Huck Finn)
1993年
監督
スティーブン・ソマーズ
データ
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ制作により1993年に公開されたコメディドラマアドベンチャー。
原作は
「王子と乞食」「トム・ソーヤーの大冒険」等でも知られる作家
マーク・トウェインによる
同名小説。ミシシッピ川を舞台に少年ハックフィンと黒人奴隷ジムが繰り広げる冒険を描いた物語。
2年後の1995年に公開された同じくマーク・トウェイン原作映画「トム・ソーヤーの大冒険」とは世界観や一部の登場人物、製作陣も共通している姉妹作品となっています。
ウォルト・ディズニーが愛好した作家の物語という事で一部の作品世界(所謂トム・ソーヤーワールド)はパークに登場していましたが、意外にもディズニーによるこのユニバースの映像化は今作が初めてでした。
監督は「ハムナプトラ」シリーズや後作「トム・ソーヤーの大冒険」も手掛けたスティーブン・ソマーズ
脚本も監督が兼務で担当しています。
音楽ロッキーシリーズやベスト・キッドシリーズ等誰もが知る映画音楽を多数手掛けた巨匠ビル・コンティ。
主人公ハックフィン役を演じたのは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで有名なスター俳優イライジャ・ウッド。
相棒となるジム役にはその演技に定評があり、実写版「リロ・アンド・スティッチ」ではコブラ・バブルス役も決定しているコートニー・B・ヴァンス。
他にも、オスカー俳優のジェイソン・ロバーズ、ハリー・ポッターシリーズのロビー・コルトレーン、アダムス・ファミリー等のダナ・アイヴィー、アメリカン・ホラー・ストーリーのフランシス・コンロイ等非常に豪華な顔ぶれが脇を固めています。
大作ではなく比較的低予算で製作されたディズニー映画であり、日本でも劇場未公開と、原作の著名さに比べると認知度の低めな作品。
しかしながら興行収入は決して大きくはないものの成功を収め、評価面でも一般評価・批判家レビュー共に高評価を獲得。
特に重めの内容ながら押し付けがましくないそのメッセージ性やエンタメ性、役者陣の演技が多方面から称賛されました。
今作の評判の良さもあり、2年後には実質的な続編と言える「トム・ソーヤーの大冒険」も公開されています。
現在でも今作はアドベンチャーと社会的メッセージをバランス良くまとめた一本として根強い支持と評価を集めており、今も尚現役で活躍する人気俳優たちも多数出演しているという事もあって、長きに渡りファンから愛され続ける一本となっています。
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あらすじ
ミズーリ州の田舎町。
イタズラ好きの少年・ハックフィンは酒呑みで粗暴な父親が町へ戻ってきた事を知り、自身の死亡を偽装して逃亡を図る。
時を同じくしてハックの友人である黒人奴隷・ジムもまた、自身が仕えていた家から商人に売られることを知り、逃亡を図っていた。
偶然遭遇した2人は、ジムの自由を求めてミシシッピ川を下りイリノイ州カイロを目指す事になる。
最初は周りの教えの通り黒人奴隷を差別的に考えていたハックだったが、ジムとの関わりを通じて少しずつ変化していく。
はみ出し者の少年と黒人奴隷。
2人の奇想天外で過酷な旅は今始まったばかりだった…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
感想
基本的な
世界観や
設定は後続作品である
「トム・ソーヤーの大冒険」と共通していますが、全体的な作品としての
クオリティは
こちらの方が一段上だと感じました。
カントリーコメディな作風の中に重い展開やテーマを内包しているのはどちらも同じなんですが、それらが間違いなくこちらの方がより重いにも関わらず、アドベンチャーエンターテイメントとしてより面白く惹き込まれる構成と演出になっています。
さらに総体的に少々散らかり気味で焦点の絞れていない印象があった「トム・ソーヤー〜」よりも、より多様なエピソードを扱っているにも関わらずストーリーとして非常にバランスがとれていて、最後までハックとジムの関係とハックの成長ドラマにしっかりピントを合わせた芯の通った脚本になっているので、ダレることなく最後まで楽しめるのも大きなポイントです。
ちなみに今作と「トム・ソーヤー〜」に登場するハックは同一人物であり、原作では今作の物語は「トム・ソーヤー〜」の後日談となっています。
しかしこれはおそらくですが、
ハックの周辺設定からするとディズニーの
想定ではなんとなく
今作→「トム・ソーヤー〜」の
時系列のつもりで制作したんじゃないかな…と思いますね。
今作のテーマはズバリ
【奴隷制度】と
【立場を超えた友情】そして
「周りが正しいと言っている事が必ずしも本当に正しいとは限らない」という
教訓メッセージ。
カントリーの緩い雰囲気が全体を包んでいた「トム・ソーヤー〜」と比べて全体的にファミリームービーとは思えない程非常に過激なシーンも多く、当時の世相を強く反映させた作りとなっています。
しかし今作が凄いのはそんな中でも【カントリーコメディエンターテイメント】のていを決して崩していないこと。
端的に言ってしまえば今作には
【奴隷制度反対】というメッセージが
明確に内包されています。
それは原作でも大きなテーマの一つであり、今作でもそこは決して外していません。
しかしながら、それを声高に掲げている…という訳でもないんですよね。
あくまでも今作の要素の一つとして扱っているに過ぎません。
この映画の本筋はあくまでも「ハックとジムの友情物語」なんです。
ここが本当にうまい。
批判家のレビューにこんな文言がありました。
「この作品は人道的なメッセージに拘ってはいないが、避けることもしていない。」
この言葉が正に今作を的確に言い表していると思います。
ハックとジムの関係性を中心にした時に
コミカルで時に
スリリングな、
カントリーエンターテイメント。
それがこの映画なんです。
その要素の一つとして、先の【奴隷制度】や【重たい描写や展開】が必然的に盛り込まれているという事ですよね。
個人的には、この形でこの作品を創れるのは、(当時の)ディズニーの為せる業だと思っています。
ファミリーエンターテイメントというパッケージの中に、大人や社会にも刺さるようなメッセージがさり気なく見事に内包されている。
このバランスは、当時の他のどのスタジオにも、そして残念ながら今のディズニーにも決して出来ない芸当でしょう…。
それぐらい、今作のバランスは素晴らしいです。
もちろん、原作ファン、映画ファンからしたら様々な意見や不満もあるかと思いますがあくまでもディズニーのファミリームービーとしては、ストーリーもエンターテイメント性もメッセージ性も、一本の映画としての面白さにしっかりと繋がった傑作だと、個人的には思いました。
音楽や俳優さん達の演技もホントに素晴らしいんですよね。
日本では未公開ですし、決して大作ではない地味な一本かもしれませんが、もっと沢山の人に知って頂きたい作品です。
トム・ソーヤー関連に興味はあるけどちょっと今更中々手が出ない…という方は、是非ともこちらの作品から鑑賞してみては如何でしょうか。
ディズニーファンにも映画ファンにも、一度はチェックしてみて頂きたい、90年代ディズニーの個人的にイチオシ実写映画ですね!
「ハックフィンの大冒険」は現在ディズニープラスで配信中です♪
はい。
というわけで今回はこの辺で!
今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪
また次回。
しーゆーねくすとたぁいむー。