はいどうも。
今回は恒例のディズニー・トゥーン・スタジオ回です。トゥーン・スタジオについてはこちらの記事を参照。
いっとき巷に溢れた所謂「ディズニーヒット作のひどい続編」の主犯格としても名高いこのスタジオですが、これまでも語ってきたように実はとても素敵な作品も沢山世に送り出しています。
まぁ同じディズニーでも運営からスタッフ、アニメーターまで全てが違うわけで、このスタジオが作る続編というのは言ってしまえば公式公認の二次創作なわけで、、
そりゃまぁ難しいと思いますよね色々と。
今回はそんなトゥーン作品の中からあのディズニーが誇るメガヒット作品の渾身の続編となったこちらの作品について語っていきたいと思います。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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ライオン・キング2 シンバズ・プライド
(原題:The Lion King II:Simba's Pride)
1998年
監督
ダレル・ルーニー
ロブ・ラドゥカ
データ
1994年に公開され歴史的な大ヒットを記録した「ライオン・キング」の約4年ぶりとなる新作長編作品。
ディズニー・トゥーン・スタジオ系列、そしてウォルト・ディズニー・テレビ・アニメーション等によって制作され1998年にソフトダイレクトにて公開されました。
(※※厳密に言うと今作はトゥーン・スタジオ名義の作品ではありませんが、この時期のトゥーンとテレビジョンアニメーションは密接な関係でありクリエイター等も含めて垣根が曖昧な状況だった為【トゥーン・スタジオ】と一纏めで紹介させて頂いています。)
一作目のその後の物語を描いた直接続編となっており、オリジナルのメインキャラクターだったシンバやナラ、スカー等の子供達すなわち第二世代が活躍する所謂二世物語。
基本的にはディズニーのオリジナルストーリーとなっていますが、イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピアの舞台劇「ロミオとジュリエット」から多大なインスピレーションを受けて制作されています。
又、今作は一作目制作中から素案のあった作品であり、クレジットはされていないものの原案や大まかなプロットや設定等は本家WDASのオリジナルスタッフで作られました。
監督は 「ムーラン2」「わんわん物語Ⅱ」等を手掛けたダレル・ルーニー。
脚本は「美女と野獣」や「ノートルダムの鐘」等の多数のディズニー続編を手掛けたフリップ・コブラーとシンディ・マーカス。
さらに人気テレビシリーズ「キム・ポッシブル」を手掛けた事でも知られるビル・モッツとボブ・ロスや同じく「キム・ポッシブル」のマーク・マッコークルとボブ・スクーリーも参加。
音楽はニック・グレニー・スミス。
「くまのプーさん」シリーズや「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ、さらに一作目の「ライオン・キング」にも携わっている実力者です。
オリジナル楽曲は「オリバー ニューヨーク子猫ものがたり」のジャック・フェルドマンらがメインで手掛けていますが、メインテーマである「He Lives in You」の制作にはオリジナルからマーク・マンシーナとジェイ・リフキン、さらにレボMがカムバックしています。
今作の主役、シンバの娘キアラを演じたのはカナダ出身の女優ネーヴ・キャンベル。日本語版は佐藤藍子さん。
スカーの後継者コブ役には、グーフィーの息子マックス役でも知られるジェイソン・マースデン。
日本語版は山本耕史さん。
シンバ役は映画やブロードウェイで数々のヒット作に出演し多数の賞も獲得している実力派俳優マシュー・ブロデリックがオリジナルから続投。
日本語版は初版は宮本充さん。
ナラ役もモイラ・ケリーが続投して演じています。日本語版は華村りこさん。
シンバの父ムファサ役の名優ジェームズ・アール・ジョーンズもオリジナルからのカムバックを果たしました。日本語版は大和田伸也さん。
大きなキャスト交代としては、スカー役がジム・カミングスに、ザズー役がエドワード・ヒバートにそれぞれ変更となっています。
数々の記録を打ち立てたディズニーが誇るビッグ・タイトルの続編という事で大きな注目を集めましたが、同時に当時リリースされていた「美女と野獣」「アラジン」等の続編作品のクオリティの低さから続編化を反対・不安視する声も多く上がる中での公開となりました。
しかしソフトリリースが開始されるとその収益は記録的な数字を打ち立てます。
OVA史上最高売上を達成し、なんと実質のその総合収入は一作目の劇場収益に匹敵するほどとも言われています。
評価面でも一般評価としては概ね好評を獲得する事に成功。特にこれまでのソフト用続編よりも数段クオリティを上げたアニメーション作画と前作の重厚感を上手に引き継いだプロットが高く評価されました。
しかし批判家レビューの中には、ソフト用続編の中では良作としながらも【オリジナルには遠く及ばない】という否定的な意見も多く上がっています。
現在でもトゥーン・スタジオ制作のディズニー続編作品群の中では頭一つ抜けた人気と知名度を誇る一本として、特にディズニーファンからは根強い支持を獲得し続けています。
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あらすじ
スカーを倒しプライド・ランドの王の座についたシンバ。
そんなシンバとナラの間には娘のキアラが生まれる。
初の娘を心配するシンバはキアラに対し過保護に接するが、ある日キアラは父の言いつけを無視して出かけた先でコブという雄ライオンと出会う。
コブはスカーの義理の息子であり、スカー亡き後シンバが追放した一派の一員だった。
スカーの悪夢に現在でも悩まされているシンバは、キアラがコブ達と接触する事を強く禁止する。
一方コブの母親でありスカーの妻であるジラは、この2人の出会いを利用しシンバへの復讐を企てていた。
そして時が経ち、キアラとコブは立派な大人のライオンに成長。
ジラはかねてから準備を続けていた復讐計画をついに実行に移す…。
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感想
要所要所でうーん、、てところは多々あるんですが、
トータルで見ると
トゥーン制作の続編作品群の中では間違いなく
トップクラスの出来栄えを誇る力作だと思います。
こんな事言っちゃあれですが、、「アラジン」や「美女と野獣」の続編とは気合の入り方があからさまに違います…w
アニメーションや音楽は勿論オリジナルには敵いませんが出来得る範囲内で精いっぱいそれを意識したものになっていますし、ストーリー面においても前作の蛇足や焼き直しではなく【独立した今作ならではの描きたいテーマ】をしっかりと持ち、それを【前作を観た人が見たいと思っている物】をうまく散りばめながら見事に描ききっていたのが素晴らしいと思いました。
丁寧で果敢なストーリープロット
前述した通り前作が
シェイクスピアの
「ハムレット」をモチーフにしていたのに対し今作は同作者の
「ロミオとジュリエット」の物語に
着想を得て作られています。
なのでストーリー自体は早い段階でほぼ全て読めてしまう感じの、言うなれば割とありきたりな内容の物ではあるんですが、大きな矛盾や破綻なくしっかりと脚本が練られているので最後まで楽しんで観ることができます。
特に個人的にはシンバの言動(過保護厳だったり排他的だったり)の理由付けがしっかり成されているのはとても丁寧だと思いました。
ムファサがスカーに殺された悪夢に悩まされていたり、偉大な父親に認められたいと藻掻いていたり【ただの頑固な父親役】ではなく【シンバもまた王として成長の途中である】という細かな描写はこの物語を「ありきたりな物語」の一歩先に押し上げている大きな要因の一つだと思います。
反対にもう少しフォローが欲しかったのはスカーの家族達とティモン&プンバァ。
どうしてもジラたちがスカーの家族で、プライド・ランドに一緒に暮らしてて後継者も決まってた…みたいな設定はいくらなんでも後付感が強すぎるかと…。
それとティモンとプンバァはやっぱり彼らの生き方を考えると「シンバの家来」みたいにルールの中で生きてるのはちょっと違和感を拭えなかったですね…。
それなりにフォローみたいなのは入ってましたけど。
気になったのはその2つのみで、あとは心情描写とかも丁寧に描かれていてうまくまとまっていたと思います。
何よりもやはりオリジナルとは違うテーマをしっかり関連付けて描ききったのは続編として素晴らしいと思いました。
エンターテイメントとして
そもそも予算とかからしてまるで違うので、アニメーションや音楽、そしてミュージカルシーン等のエンターテイメントとしてはやはりオリジナルに匹敵しろと言う方が酷な話ではあるんですよね。
しかし、そんな中でもこの作品は本当に健闘していると思うんですよね。
一作目が見事すぎて、アニマルモーションのリアルさとかはやっぱり違いが顕著に出ちゃってますけどね。
個人的に一つだけ一作目に匹敵するくらい素晴らしいと思うシーンがあります。
それは、ジラ達が歌う「My Lullaby」のミュージカルシーンです。
もちろんこれは一作目のスカーの「Be prepared」を意識したシーンなんですが、これはもしかしたら一作目を越えたんじゃないかと思うくらい素晴らしいんです。
ジラの迫力と勢いも凄いんですが、個人的に大好きなのは演出。一作目と似た雰囲気を作ろうと意識してるんですけど、このシーンでの【ハエ】を使った演出はこれ、本当に見事だと思うんですよね。
ちょっとこのアイデアと魅せ方はやられました本当に。
個人的にはディズニーの数あるミュージカルシーンの中でもトップクラスの演出だと勝手に思ってます。
ちょっと…このシーンだけでも観て欲しいくらいですね。
感想
やっぱりこうやって
改めて語っていくと、かなり
優秀な続編作品だなぁと改めて思いました。
兎に角続編って【続編を作ること】だけが目的のような作品って凄く多いじゃないですか。
トゥーン続編は特にそうで。
今作はそこを見事にクリアしてるのがやっぱり大きいんですよね。
同じ二世モノでも、リトル・マーメイドや101匹わんちゃんら辺の続編とは脚本の練り込みが一段違うと感じました。
やはりオリジナルを手掛けたクリエイター達が原案や構想を練っているのが大きいんだろうなと思います。
最後の最後でムファサがシンバに語りかけるシーンとか思わずジーンとしちゃいましたもんね。
新しいテーマに挑戦しながらも、一作目の核もしっかり踏襲してるのが素晴らしい。
もちろんエンターテイメント作品としてお粗末な部分も多少あります。
だけどこの限られた期間と予算で良くぞここまでの物を仕上げたなと思うと…やはり見事な一本だと思います。
オリジナルのライオン・キングを見た方には、ぜひとも嫌遠せずに一度は観て頂きたい一本ですね。
それと、何やら2024年公開予定の実写版スピンオフ「ムファサ」にも、今作の主人公キアラが登場するみたいなのでこちらも楽しみにしたいところですね♪
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はい。
というわけで今回はこの辺で!
いつも長文駄文にお付き合い頂き本当にありがとうございます。感謝です!
では、また次回!
しーゆーねくすとたぁいむー。