はいどうも!
今回はディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーの作品について一本語っていきたいと思います。
ディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーとはその名の通り衛星放送ディズニーチャンネルのオリジナル作品として制作されたテレビ映画作品郡のことです。
衛星放送専用のオリジナルテレビ用ムービーでありながら非常に凝った作りのハイクオリティな作品も多く「ディセンダント」や「ハイスクール・ミュージカル」等ヒット作も多く排出しています。
その他の配信用や劇場用の作品と違い、衛星テレビシリーズ用ならではのコアでマニアックな作風、もしくはティーンが活躍する青春劇が多いのも大きな特徴です。
ラインナップとしては実写映画が圧倒的に多いのですが、その中でも「キム・ポッシブル」や「フィニアスとファーブ」といった人気アニメーション作品の長編等も制作されています。
実に多作なコンテンツ力が武器で1997年にシリーズが始まってから現在までで実に100を有に越える作品を公開し、コンスタントにヒット作も生み出す、ディズニーのもう一つの作品ラインとして長年秘かに一定の注目を集め続けているパッケージでもあります。
今回はそんなディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーの中でから、ディズニーチャンネルアニメーションの一時代を築いた大人気カートゥーンのリブートである、こちらの一本について語っていきます。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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キム・ポッシブル(2019)
(原題:Kim Possible)
2019年
監督
アダム・スタイン
ザック・リポフスキー
データ
ディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービー(以外DCOM)の106作目として2019年に同チャンネルで初放送されたテレビ映画。
2002年〜2007年にディズニー・チャンネルで放送された大ヒットカートゥーンシリーズ「キム・ポッシブル」の実写化リブート作品。
大まかな設定やキャラクターは原作に基づいていますがエピソード自体は今作のオリジナルであり、細かな設定等には原作との矛盾や変更・改変点も多く、続編や前日譚ではなくあくまでリブートとして制作されています。
ミドルトンという町を拠点に世界中を飛び回る女子高生ヒーローキム・ポッシブルとその仲間達の活躍を描いたスパイヒーロー風アクションコメディ。
ディズニーチャンネルのアニメーション作品が実写化されるのは今作が初めてとなりました。
監督はアダム・スタインとザック・リポフスキー。実写のスリラーやホラー映画を得意とする2人です。
脚本にはオリジナルのアニメシリーズを手掛けたキム・ポッシブルの生みの親であるボブ・スクーリーとマーク・マッコークルが担当。
音楽はジェイムズ・ドゥーリー。
「ミッション・インポッシブル2」や「リトル・マーメイドⅢ」等多数の映画・テレビ音楽を手掛ける作曲家です。
主人公キム・ポッシブル役を務めたのは今作がデビュー作となった新人のセイディ・スタンリー。日本語版は小笠原亜里沙さん。
キムの相棒ロン・ストッパブルを演じたのは子役時代から声優としても様々なディズニー作品に参加している務めるショーン・ジャンブローネ。
日本語版は日野聡さん。
CGで再現されたハダカデバネズミのルーファス役はナンシー・カートライトがオリジナルから続投。「パパはグーフィー」のピートの娘ピストル役や「リロ・アンド・スティッチ」のいくつかの試作品役等、特徴的な声を持つキャラクターを多く担当している実力派声優です。
ヴィランの一人であり人気キャラクターであるシーゴーはコメディアンでもあるテイラー・オルテガが演じます。
日本語版は佐藤ゆうこさん。
さらにオリジナルでディメンター教授のボイスキャストを務めたパットン・オズワルトが実写版でもディメンターを再演していたり、キム・ポッシブル役を務めていたクリスティ・カールソン・ロマーノがポピー・ブルー役としてゲスト出演していたり…
と、アニメ版とのリンクを意識しつつもDCOMらしいフレッシュなキャスティングとなっています。
さらに今作の
日本語版では、
ウェイド役を除く
ほぼ全てのオリジナル吹き替えキャストが
再集結。
メインキャストだけではなく上記のディメンター教授やキムの家族たち、バーキン先生までアニメの頃のままのキャストさんが続投を果たし話題を呼びました。
一世を風靡したディズニーチャンネルを代表するアニメーションシリーズの10年以上ぶりの新作という事で公開前から大きな注目を集めましたが、視聴者数的には残念ながらかなりの低数字を記録。
評価面でも全体構成や演出、さらにオリジナルからの改変ポイントに関して批判も多く上がる賛否両論な一本となりました。
しかし、大人気アニメの10年以上ぶりの復活と言う事で基本世界観を踏襲したその内容と変わらぬ作風や小ネタ、主題歌、吹き替えキャストを採用してのカムバックはシリーズのファン達から大いに喜ばれ、称賛もされています。
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あらすじ
キム・ポッシブルはミドルトン高校に進学したばかりのイマドキの【イケてる】普通の女の子。
しかし彼女にはもう一つの顔があった。
それは世界中を飛び回り悪者と闘うエージェントヒーロー。
今日も協力者の天才少年ウェイドからキムニケーターに連絡が入ると、ちょっと間抜けな幼馴染のロン・ストッパブルと共に彼女は任務に急行し、シレっと世界を救う。
キム・ポッシブルにできないことはない。
しかし、そんなキムの完璧なヒーローライフは高校入学と共に大きく崩れつつあった…。
感想
個人的にはまた
キム・ポッシブルの
新作が観れて、しかも
オリジナルをしっかりと
踏襲しようとしているその拘りへの
喜びと、どうして
わざわざ実写にしてしまったんだ…という
残念感が
半々というのが正直なところです。
素直に言うならば、生みの親2人が脚本と制作に参加していて、キム役のロマーノがゲスト出演するくらいの好状況だったなら、純粋にアニメーションとして新作を作って欲しかったですね。
理由としては、やはり基本的に色々な意味でこの
「キム・ポッシブル」というパッケージは
実写には向かないと思うのが一番です。
それともう一つは、せっかくオリジナルのクリエイターが魅力的な新作エピソードを書いてくれたのに【実写化】【リブート】という余計なトピックのせいでそれが素直に入ってこなくなってしまっているというのも大きいです。
リブートと言ってるだけあって、オリジナルを知らない世代に向けても【実写化して1から】という意図も少なからずあったのでしょうが「キム・ポッシブルを1から伝えるエピソード」としては今作のストーリーは決定的に向いてないんですよね。
これが本当に勿体なかったな…と。
アニメーションの新作としてだったらおそらく素晴らしいエピソードになっていただろうなと思うだけに。
いやでも…やっぱりまたキム・ポッシブルが観れたというだけで凄く嬉しかったですけどね。
帰ってきたキム・ポッシブル
もうね、、ファンからしたらやっぱり
オープニングから
感涙モノです…。
もうこれは仕方ない…。
いきなりあの声(吹き替え)のキム、ロン、ディメンターが登場し、名言の応酬。
ズボンが脱げるロン。
フックガン、レーザーリップ…等のお馴染みのツールの登場。
極めつけの名曲「Call Me, Beep Me!」。
これだけでもうファンは歓喜だし、満足度マックスでしょう。
さらに
ミドルトン高校の
掲示板ギャグやキムの家の外観、
ブエノナチョとナコ、キムの家族達やボニー、バーキン先生達の
変わらぬ声、ウェイドがいつも飲んでるジュース、いつも
爪にヤスリをかけてるシーゴー、、
流石本家のクリエイターが直接監修してるだけあって細かいところまで素晴らしい再現度です。
オリジナルへの愛に満ち溢れた作品である事は間違いなくひしひしと伝わってくるので、そこは本当に嬉しかったですね。
念願の新作だからこそ
ただ、、だからこそ残念だった部分が沢山あるのも事実なわけで…。
一つはやはり余計な改変。
これはまぁ…仕方ないのはわかりますよ。
ポリコレに即した改変が多少あるのは。。
ポッシブルレディースばかり活躍してお父さんやジム・ティムが何故か空気なのとか…
アテナの不自然なボディスーツとか。
それくらいは我慢します。
だけど…キム・ポッシブルがサッカー部とか武術部とか、、それは流石に違うでしょ…と。
チアリーダーというのは彼女のかなり大事なアイデンティティの一つだったと思うんですが…。
それと、やはりこの作品と言えば絶対にロン・ストッパブルは最重要人物なんですよ。
ドジで間抜けだけど何故か大事なところで必ずキムを救い、誰よりもキムに信頼されているのがロンです。
ここだけはやっぱり崩さないで欲しかったです。
いや、押さえるところは最低限押さえてるのはわかりますよ。
でも、キム・ポッシブルという作品を知ってる人ならロンというキャラクターの大事な部分が抜けている事は一目瞭然です。
色々わかりますよ。
仕方ないとこもあると思います。
だけどこのキム・ポッシブルという作品をやるのであれば、このキムとロンのアイデンティティだけはやっぱり譲って欲しくなかったですね。
それとやはりチョロっと前述しましたが、新たなキャラクターであるアテナを主軸とした、キムからキムらしさを奪うというエピソードも、ドラッケンが子供になって学校に潜入するというアイデアも、それ自体は非常に良くて、本当にアニメーションの新作としてだったら名エピソードになったんじゃないかと強く思うんですが…
仕切り直した実写リブート版の初っ端としては…それじゃない感がどうしても拭いきれないんですよ…。
新たな世代にこの作品を知ってもらう名刺代わりとしても、実写として仕切り直す意味でも、やっぱりちょっと相応しいエピソードとは思えないんです。
上記の話にも繋がるんですが、やっぱりこの作品の肝はキムとロンのキャラクター性なわけで、実写化してまたイチから仕切り直すのであれば、やっぱりまずはそこを前面に押し出したエピソードにして欲しかったです。
ロンと同等の新たなパートナーが出来るって話でもあるわけで…やっぱりこのタイミングでやる話ではなかった気がします。
このエピソードをやるならやっぱり基盤が全て整っているアニメーションでやってほしかったですね。アニメーションならすんなり受け入れられたシーンもいっぱいあったんですけどね…。
テンポ感
最後に一つだけ。
キム・ポッシブルが、そして大抵におけるケーブルカートゥーンが実写化に向かないと思う一番の理由はテンポ感です。
会話やギャグのアメリカンコメディ仕立ての小気味良いテンポ感はこの作品において大きな特徴であり魅力の一つでした。
それが実写のノーマルなストーリー映画の間に変換されてしまった事で持ち味だった小気味よさが消えてしまっているのはかなり大きいと思います。
同じようなセンスのギャグやユーモアをやっているのに歯切れが悪く感じてしまうんですね。
例えばバーキン先生の下りなんかは分かりやすいかも知れません。多分アニメーションなら10秒で済んでいた下りを20秒かけてやっている感じの間になっています。
この間延び感は、掛け合いが大切なアメリカンコメディにとってはワリと致命傷なんですよね。
全体に漂う、キム・ポッシブルっぽいんだけど、どこかが違う…という違和感はこのテンポの違いから来てるところも多分にあると思います。
同じ実写でもシットコム等ではこういうテンポを大切にしているコメディドラマも沢山あるんですけどね。
まとめ
という事で。
色々ぐだぐだと語ってしまいましたが…
良くも悪くも待っていたファンの為のサービス作品…という趣にとどまった一本ではあると思いますね。
キム・ポッシブルファンの方には是非一度は観て頂きたいですが、この作品から新たなファンを獲得していくのはちょっと難しいかもしれません。
主演のスタンリーやジャンプローネは非常にフレッシュで魅力的ですし、特殊効果や演出もDCOMのチープクオリティの中ではかなり奮闘していたとと思いますけどね。
実写作品としては色々な意味で目新しさや求心力に欠ける…というのは否めないところです。
ただし、やっぱりそんなのは差し置いたとしても【あのキム・ポッシブルが帰ってきた】というだけでファンは本当に嬉しいです。
そしてオリジナルクリエイターによる新エピソードを見せてもらえて、しかもそれをあのお馴染みの音楽や吹き替え声優陣で見れるだけでもう…気持ちは満点なんですよ。
…はい。チョロいファンですw
でもそれくらい製作陣のこの作品への愛と情熱を感じる、充分に素敵なリブート続編だったと思います。
過去にアニメーションを見てたことある!
懐かしい!
と感じる方々は是非一度チェックしてみて下さいませ♪
…ただ……やっぱりどうしても欲を言えば出来るならアニメーションの新作が観たかった!!
です!
「キム・ポッシブル」は現在ディズニープラスで配信中です♪
はい。
というわけで!
今回はこの辺で。
いつも長文駄文にお付き合い頂き本当にありがとうございます。感謝です!
では、また次回!
しーゆーねくすとたぁーいむ。