今回はディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーの作品について一本語っていきたいと思います。
ディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーとはその名の通り衛星放送ディズニーチャンネルのオリジナル作品として制作されたテレビ映画作品郡のことです。
衛星放送専用のオリジナルテレビ用ムービーでありながら非常に凝った作りのハイクオリティな作品も多く、「キャンプ・ロック」や「ハイスクール・ミュージカル」等ヒット作も多く排出しています。
その他の配信用や劇場用の作品と違い、衛星テレビシリーズ用ならではのコアでマニアックな作風、もしくはティーンが活躍する青春劇が多いのも大きな特徴です。
ラインナップとしては実写映画が圧倒的に多いのですが、その中でも「キム・ポッシブル」や「フィニアスとファーブ」といった人気アニメーション作品の長編等も制作されています。
実に多作なコンテンツ力が武器で1997年にシリーズが始まってから現在までで実に100を有に越える作品を公開し、コンスタントにヒット作も生み出す、ディズニーのもう一つの作品ラインとして長年秘かに一定の注目を集め続けているパッケージでもあります。
今回はそんなディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーの中でから、若者を中心に絶大な人気を誇り続けるディズニーチャンネルの看板作品の第三弾であり現状の最終作であるこちらの一本について語っていきます。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240413/17/yuzupill/32/e8/j/o0698108015425309844.jpg?caw=800)
ディセンダント3
(原題:Descendants3)
2019年
監督
ケニー・オルテガ
データ
2015年にディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーとして公開され大ヒットを記録したミュージカルファンタジーテレビ映画「ディセンダント」のシリーズ最終作と銘打たれたテレビ映画。
ディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービー(以外DCOM)の107作目として2019年に同チャンネルで初放送されました。
マレフィセントや白雪姫等歴代ディズニー映画のヴィランズの子孫達を主役とし、DCOMの得意分野であるダンスミュージカルとおとぎファンタジーを組み合わせたオリジナルストーリーによる青春ミュージカルファンタジー映画の第三弾です。
主要な制作陣はほぼ一作目からの続投メンバーで構成されています。
監督は「ホーカス・ポーカス」マイケル・ジャクソン「THIS IS IT」「ハイスクール・ミュージカル」シリーズ等の名作を手掛けてきたケニー・オルテガ。
脚本は「プリティー・ブライド」の「ブラッド・ピットのヒミツのお願い」等の90年代映画作品で知られているサラ・パリオットとジョサン・マクギボン。
音楽は「ハイスクール・ミュージカル」シリーズのデヴィッド・ローレンス。
楽曲に関しては第一線で活躍する様々なジャンルのミュージックアーティスト達が10を越える総数のオリジナルナンバーを提供しています。
レギュラーキャスト陣も同様にほぼ全員が続投体制。
マレフィセントの娘である本作の主人公マルを演じるのは「うわさのツインズ リブとマディ」や「クラウド9」等以前からディズニーチャンネルの主力若手であったダヴ・キャメロン。
今シリーズをきっかけにその人気は一気に爆発する事になりました。
白雪姫に登場する王妃の娘・イヴィ役にはソフィア・カーソン。ダヴ同様今シリーズをきっかけに大きな躍進を遂げた女優さんです。
101匹わんちゃんのヴィランであるクルエラの息子・カルロス役はキャメロン・ボイス。
他のレギュラーメンバー同様今シリーズで大きな注目を集めますが今作の公開約一ヶ月前に持病の為なんと20歳という若さで他界。こほ「ディセンダント3」が遺作となりました。
アラジンに登場するジャファーの息子ジェイは子役として2004年から多数のドラマや映画で活躍していたブーブー・スチュワートが演じています。
さらにマルの恋人ベン王子役のミッチェル・ホープ、ムーランの娘オードリー役のサラ・ジェフリー、ジェーン役のブレンナ・ダミーコ等レギュラーキャラクターも健在。
その他にもフェアリー・ゴッドマザー役のメラニー・パクソン(ウォルト・ディズニーの約束)、ベル役のキーガン・コナー・トレイシー(ワンス・アポン・ア・タイム:ブルー・フェアリー)等今回もベテラン陣が脇を支えています。
キッズ・10代20代の女性を中心に爆発的な人気を獲得した一作目・二作目に続き、シリーズ最終作として制作・公開前された正当続編作品。
第3弾となった今作でもその勢いと人気は全く衰える事無く、1.2作目に勝るともとも劣らない高視聴者数を叩き出し、DCOMを代表するメガヒットを記録します。
サントラCDはビルボード上位を獲得、関連グッズ等も多数制作され、若者を中心として大きなブームとなった今シリーズの有終の美を飾る結果となりました。
日本を含め世界中での人気にもさらに拍車がかかり、主演のダヴ・キャメロン等は今シリーズをきっかけにスター俳優へと躍進。
評価面でも一般評価・批判家レビュー共に高い支持を獲得し、主に音楽やダンス、ディズニー歴代作品達への多数のオマージュ、シリーズ全体を纏めるようなテーマやメッセージ、そして若いキャスト達の演技が他方面から称賛されます。反面、ストーリーの強引さや子供向けへ傾きすぎた作品バランス等、過去二作よりは批判も多く上がりました。
最終作と銘打たれた今作公開後もそのシリーズ人気は衰えず、2024年には新たな続編のディズニープラスでの公開も決定。
ティーンや若い世代を中心に強いカルト的支持を獲る現在進行系のディズニーの代表的人気コンテンツの1つとして、依然世界中から注目を浴び続けています。
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あらすじ
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240414/14/yuzupill/1b/d5/j/o1080072015425701247.jpg?caw=800)
ベンが新たな王として就任したオラドン王国。
マルの活躍でその場はなんとか収まるものの、この事で国民達は不安に駆られる事になり、ベンとマルは国を守るため苦渋の決断を強いられる事に…。
一方、ベンにも国にも見捨てられたと嘆くオードリーは悲しみと怒りの余りとある禁断の行動をとる…。
ヴィランキッズ達の最後の戦いが今始まろうとしていた…。
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感想
ファンタジーと青春ミュージカルを融合させた、差詰ワンス・アポン・ア・タイム+ハイスクール・ミュージカルと言う基盤は変わらずなんですが、今回はだいぶ子供向けのファンタジーアドベンチャー色が強めになっています。
ファイナルと銘打っている為これまでの伏線や構想をなるべく回収しようとした意図は伝わりますが、少々詰め込みすぎてしまった感は否めません。
何よりもそれによってこれまで痒い所に手が届いていた脚本が目に見えて弱体化してしまったのが一番残念でしたね。
長所であったきめ細かい人物描写による青春群像劇という部分が、全体筋に傾倒した事でかなり弱くなってしまいました。
音楽、キャラクター、ダンス、ヴィジュアル、小ネタ…等の若い人達へ魅力的に伝わりやすいよう工夫が巧みに成された、ティーン人気を意識した作りは相変わらず健在ですし、全体筋としてはこのシリーズが描きたかった事…
「生まれや環境に関わらず、人は善と悪を持ち合わせている」
「他者や他種族との違いを受け入れ認め合う」
というテーマがしっかりと着地点まで描ききられていて、ラストに相応しい良い部分もあったのですが。。
明らかなキャパオーバー
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240414/15/yuzupill/ee/3a/j/o1080060115425730373.jpg?caw=800)
物語都合じゃなく各キャラクターがちゃんと自分の意志で動いているように見えるかというのは、ストーリー映画においてとても大事だと常々思っています。
前作まではそれが本当に見事に脚本で描かれていたのですが、今作では残念ながらそこが一転大きく崩れてしまいました。
キャラクターの言動に不自然な部分が非常に多く全体的な唐突さも否めません。
原因はやはり詰め込み過ぎかなと。
今作で核となるプロットは大きく3つ。
マル達とウーマ達との和解、オードリーの心の傷とヴィラン化、そしてマルとハデスの親子関係。
一つ一つのトピックはどれも魅力的で面白く、それぞれの題材で充分一本ずつ作品が作れる濃い内容だと思います。
しかしこれを一本に無理矢理ねじ込んでしまい、そこにマルの嘘やそれぞれの恋路等これまで通り群像劇的サブプロットも盛り込んだものだから、完全に作品としてキャパオーバーを起こしてしまっています。
どれも本当に良い素材ばかりだし、これまで通り脚本によるファインプレーもあるだけに、ここは本当に勿体なかったです。
オードリーやウーマ達の言動も不自然なところが多くて「そうはならんだろ…」と突っ込みたくなる部分が目立つんですよね。
尺や全体構成の都合上で動かされちゃってるのが透けて見えてしまうんです…。
特にこの2つのトピックはシリーズの根幹に関わる大事なプロットだったと思うのでもっと丁寧に描いて欲しかったですね。
ハデスの部分はサブプロットとしては良く出来ていたと思いますが、ちょっと唐突すぎるし無理矢理感をどうしても感じてしまいました。
そこにとって付けたようなマルの嘘のくだり。
これもやっぱりどうしても不自然なんです。
ただ、そんな中でも
マルとベンがオードリーに「もっと早く謝るべきだった」と謝罪したり…
一見唐突なウーマの光堕ちをベンだけは見抜いていた…と前作からの伏線をうまく利用してフォローしたり…
ハデスがオードリーを救う時の「そっちが悪さをしても許されるのに…」というセリフが物語の核心に繋がっていたり…
脚本で出来る事はこれまで通り最大限やってはいるんですよね。
やはり単純に詰め込み過ぎのキャパオーバー。
この一言に尽きると思います。
これまではシリーズの醍醐味として見れていた各キャラクターの恋路や関係性変化等の群像劇的サブプロットも、今回ばかりは本筋がちらかってる為にちょっと邪魔に思えてしまいましたからね。
こういう少しずつの違和感が重なって、全部ラストの【バリア全開放でめでたしめでたし】への疑問符へ繋がっちゃった感じです。
さすがに無理あるだろ…と。
それと今作は登場人物がグッと増えてしまったおかげでヴィランキッズ4人で主役感も薄くなってしまいました。
女の子の活躍をメインにしたいのも分かりますが、やはり今シリーズの核を担っているベンの雑な扱いもどうしても気になってしまいましたね…。
重ね重ね残念です。
音楽と演出
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240414/17/yuzupill/ce/02/p/o1080060715425794770.png?caw=800)
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まとめ
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240414/18/yuzupill/b5/73/j/o1080071915425817998.jpg?caw=800)
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