ディズニー映画語り 花と木 | すきなものしか語れない

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元ディズニーシー長年単パサー。今はおもにディズニー映画中心に好きなものだけ勝手に語るつまらないブログです。Dヲタだった頃の記事は思い出として残してます。


はいどんも。


今日はディズニーの原点である短編映画シリーズ語り。


「ミッキー・マウスシリーズ」「ドナルド・ダックシリーズ」等と並ぶディズニーの代表的な短編作品群である「シリー・シンフォニー」シリーズの登場です。


ディズニーは元々短編カートゥーン主戦場小さな映画制作会社でした。


その中で、キャラクターを中心として展開したミッキードナルドシリーズとは違い、音楽アニメーション精密に融合させた単発作品のシリーズとしてスタートしたのがシリー・シンフォニーです。


ウォルトの友人であった音楽クリエイターのカール・スターリング提案した「アニメーションに合わせた音楽」ではなく「音楽に合わせたアニメーション」という発想から始まった今シリーズは独自の発展を遂げていき、ウォルトディズニースタジオにとって、新しいアイデアや技術・手法等を試す最良の実験の場として機能することになります。


その過程の中で、【初のカラーアニメーション】【マルチプレーンカメラの導入】【ドナルドダックの誕生】等映画界に様々な影響を与えながら多数の名作を生み出していきました。


このシリーズでのディズニーの実験の数々は、やがて初の長編アニメーション映画制作という偉業へ直接結びついていく事になります。


アカデミー賞受賞作品もとても多く、シリー・シンフォニーシリーズとしては実に7本の作品が受賞を成し遂げました。



今回はそんな作品群の中から、記念すべき世界初のカラーアニメーション、そして初のアカデミー賞短編アニメ賞受賞作品となった映画史に残るこの作品について語っていきます。



(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)



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  花と木

(原題:Flowers and Trees)

1932年

監督

バート・ジレット


データ

1932年に公開されたシリー・シンフォニーシリーズ第29作目(諸説により前後あり)となる短編アニメーション映画


世界初のカラーアニメーション映画です。


監督はウォルトから引き継いで数々のミッキー・マウス作品を監督した事で知られる、バート・ジレットディズニー草創期を支えた人物です。


全編セリフの無いエピソードですが効果音や一部のヴォイスをピント・コルヴィクウォルト・ディズニー等が演じています。


音楽は「白雪姫」「ダンボ」「バンビ」等の錚々たるディズニーミュージックとを手掛け、名曲「狼なんかこわくない」を手掛けた事でも知られるフランク・チャーチル

そしてディズニー極初期の短編音楽を多数担当していたバート・ルイス



前々からカラーに興味を抱きながら、コストの高さからなかなか採用するタイミングを掴めずにいたウォルトですが「アニメーション界全体を向上させる」目的の為、制作中だったこの作品にカラーを採用し、ほぼ完成間近だった物をなんと1から作り直します。


その費用の高さから失敗したらスタジオ運営も危ぶまれるほどの大打撃というハイリスクな博打となりましたが、結果的に今作は大ヒットを記録。


評価面でも多方面での大きな絶賛を獲得し、アカデミー賞短編アニメーション賞初の受賞作品となりました。

アニメーション映画アカデミー賞を受賞するのは今作が歴史上初めてです。


今作の成功により以後のシリー・シンフォニーシリーズには全ての作品でカラーが採用され、シリーズ自体の知名度と人気大きく向上しました。


現在でも映画の歴史上非常に重要な作品の1つとしてディズニー短編作品の中でも特に高い知名度を誇る名作となり、世界中で愛され続けている1本です。


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あらすじ



春の朝。


花や木々、動物達は次々に目覚め体操や歌、踊り等…思い思いの時を過ごす。


そんな中に、とありる女性の木にアプローチをするる若い男性の木と、その様子をを妬ましげに見つめる枯れ木の姿があった…。


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感想




世界初のカラーアニメーション作品として、これ程相応しい作品は無いな…というのが一番の感想ですね。

良い意味でも悪い意味でも、これがもしカラーではなく従来のモノクロで公開されていたら間違いなくここまでヒットする作品にはなっていなかったでしょう。

シリーズとして停滞していたシリー・シンフォニーの、しかもその中でもかなり地味な内容のこの作品に敢えて【世界初のカラーアニメーション】というトピックをあてがうという…

ちなみに当時圧倒的な人気を既に獲得していた全盛期ミッキー・マウスシリーズ【今ミッキーをカラーにしてもメリットはほとんどない…】という理由でこの後もしばらくモノクロでの制作が続けられました。

このウォルトの商業センス先見の明、そして判断力には改めて脱帽です。





ストーリーは決して濃厚な物ではなく、どちらかというと淡白キャラクターの個性もどちらかと言うと薄い作品なのですが、何よりも自然の植物である、そしてを主役とした今作はまさにカラーアニメーション初お披露目うってつけの一本だったと言えるでしょう。

ギャグ派手さはないですがそれぞれの登場人物(?)が各々に細々と色んな動きをしているので見ていて全く飽きないです。

あくまで短編カートゥーンとしてのちょっとした面白さを残しつつも、ディズニーののちの名作達へと繋がる着実な積み重ねダイレクトに感じられるのも大きな特徴です。


そして音楽アニメーションの見事なシンクロ

これはまさに後のファンタジアへの発展を容易に感じさせる素晴らしさですし、木々や植物の細かく巧みな描きこみ白雪姫のそれを正に彷彿とさせます。


それから今回のヴィランである【枯れ木】不気味さおどろおどろしさ印象的な最期等の描き方もミッキー等のキャラクター短編には無い写実的なリアルさがあります。

間違いなくウォルトは今後のアニメーションの芸術的な発展長編アニメーションへの進化をこの頃から視野に入れていた事が手に取るように伝わるんですよね。



もちろん初めて色付きのアニメーション映画なので今の鮮やかなアニメーションと比べるとまだまだ劣る部分も沢山ありますし、作品としても決して派手な、目を見張るような物ではないかもしれません。

しかしながらそれでも尚、今見ても目が釘付けになる底知れぬ魅力をもった作品であることも間違いありません。

この頃のディズニーの、溢れんばかりのイマジネーション沢山詰まった1本なんですよね。

そしてそれと同時に【ディズニーの最良の実験の場】と言われたこのシリー・シンフォニーシリーズの存在意義を、正に身を持って証明している作品なんですよね。

子供にとっては少々退屈な作品と言えるのかもしれませんが、映画ファン、そしてディズニーが好きな大人達にはぜひ一度はチェックして頂きたい1本です。

ディズニー映画の、そして映画という文化そのものの歴史にとっても、間違いなく重要なマスターピースです。


当時のディズニーの溢れ出る才能イマジネーションの片鱗を、是非この作品で体感してみて頂きたいですね。



「花と木」は現在ディズニープラスで配信中です♪






はい。


というわけで今回はこの辺で!



今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪



しーゆーねくすとたぁいむー。