はいどんも。
今日はディズニーの原点である短編映画シリーズについて1本語っていきたいと思います。
ディズニーは元々短編カートゥーンが主戦場の小さな映画制作会社でした。
「白雪姫」の大成功後そのメインは長編アニメーション制作へと移行していく事になりますが、ミッキーマウス等のキャラクターシリーズやシリー・シンフォニーシリーズ等をはじめ、数は減っていきながらも原点である短編アニメーションの制作は今日まで継続して行われ続けています。
最近ではディズニーの長編作品と併映という形でコンスタントにリリースされていますよね。
何かのシリーズや続編も多いのですが、そのどれにも属さない単発の短編作品の中にも、あまり知られてはいませんが素晴らしい物が沢山あります。
特に2000年代〜の短編作品は、メインである長編アニメーション浮き沈みとは裏腹に非常にクオリティと評価の高い物がとっても多いんです。
アカデミー賞受賞作品もいくかあったりするんですよ。
今回はそんな作品群の中から、どこか懐かしく暖かいこちらの1本について語っていきます。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240205/07/yuzupill/7a/b6/p/o0759108015397696906.png?caw=800)
ネッシーのなみだ
(原題:The Ballad of Nessie)
2011年
監督
スティービー・ワーマーズ
ケビン・ディーターズ
データ
2011年にブリュッセル国際アニメーション映画祭で初上映され、その後「くまのプーさん」と同時上映にて一般公開されたウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ制作の短編アニメーション映画。
タイトルの通り、世界的に有名な未確認生物「ネッシー」とそれが生息されているとされるネス湖を題材とした寓話的おとぎ話。
全編が手描きスタイルのアニメーションで描かれています。
監督には「グーフィーのホームシアター」や「アナと雪の女王/家族の思い出」を手掛けた事でも知られるスティービー・ワーマーズとケビン・ディーターズ。
脚本も監督の2人が兼務で担当しています。
音楽は人気ドラマ「LOST」や「レミーのおいしいレストラン」等のピクサー作品、さらにディズニーランドのスペース・マウンテンのサウンドトラック等を手掛けている実力派のマイケル・ジアッチーノ。
今作はディズニー短編映画ではお馴染みの手法、独り語りスタイルが久々に採用されており、物語はほぼナレーターの一人芝居で進んでいきます。
そんなナレーター役を務めたのは、英国で非常に有名なスタンダップコメディアンとして知られるスーパーエンターテイナー、ビリー・コノリー。
日本語はナレーション界のレジェンド・立木文彦さん。
サブボイスとして監督のケビン・ディーターズも自ら出演しています。日本語版は安達貴英さん。
昔ながらの伝統的なディズニーの短編アニメーションを再現したオーソドックスな今作は決して大きな話題になる事はありませんでしたが、その堅実な全体クオリティの高さと子供にも大人にも楽しめるプロット、ノスタルジックなデザインや空気感は好意的に評価され、アニー賞にもノミネートを果たしました。
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あらすじ
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240205/20/yuzupill/27/01/j/o1080056815397954709.jpg?caw=800)
スコットランドにあるネス湖。
これは、そのネス湖が出来る前の物語。
この湖ができる前、ネッシーという心の優しい生き物は荒れ地の小さな湖で暮らしていた。
唯一の友達はゴム製のアヒルのおもちゃ・マッククワック。
ある時実業家のマックフルーゴルがやってきて、辺り一帯をゴルフ場にするために周囲の土地を破壊してしまう。
居場所を奪われ悲しみと怒りに暮れるネッシーだったがカモメの「挫けないで顔を上げて前に進め」という励ましを受けて、自分を奮い立たせる。
親友のマッククワックと共に新天地を求めて旅に出るのだが…。
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感想
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240206/04/yuzupill/9d/16/p/o1080062115398068364.png?caw=800)
この2000年代〜2020年代のディズニーの短編作品というのは、基本的にはクリエイター達の新しいスタイルや手法・試みを行う実験の場として、そして人気作品のファンサービス的な続編発表の場として機能していました。
3Dと手描きの画期的な融合を行った「紙ひこうき」「愛犬とごちそう」モノクロスタイルと現代的CGの合せ技でスターを復活させた「ミッキーのミニー救出大作戦」…。
ファンタジアの精神を引き継ぎ音楽と抽象的ストーリーで芸術性を高めた「マッチ売りの少女」「デスティーノ」「ロレンゾ」…。
そして「アナと雪の女王」や「塔の上のラプンツェル」のスピンオフ的続編作品…。
などなど…斬新な発想と実験的な内容の作品が非常に多いのが特徴的です。
そんな中でディズニー短編作品における定番の作風や内容、スタンダードなスタイルを愚直なまでに再現した唯一と言っていいほどの作品がこの「ネッシーのなみだ」でした。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240206/16/yuzupill/0e/29/j/o0907051215398261019.jpg?caw=800)
敢えて使い古された「本が開く」演出を採用したオープニングから始まり、どこか懐かしいキャラクターデザインや手描きアニメーション、ナレーターによる一人芝居、子供にもわかりやすいように表現された教訓…。
そして大人向けに隠された風刺…。
目新しさや驚きは皆無で、正直ディズニーのこの時期の短編作品郡の中でも特に影の薄い1本と言えるでしょう。
しかし個人的には、間違いなく5本の指に入る程大好きな短編作品でもあります。
これぞまさにディズニーの短編カートゥーン。
まるで教科書のような、ディズニーと短編という形態とアニメーションの良さが全部詰まってるような1本だと思うんですよね。
一般的に知られているネッシーのシルエットは実はお尻と尻尾の部分でした…という小ネタ的笑い、ヴィランのわかりやすい単純な悪さ、土地の物であるバグパイプをうまく組み込んだ音楽と演出、隠された自然破壊や乱開発への風刺、そして何よりわかりやすいメッセージ。
「みんな悲しい事が起こると、くよくよするな、前を向いて進めという。だけど、時には立ち止まって思いっきり悲しむ事も必要だよ。その先にしか見えない光もあるよ。」
というメッセージを実にわかりやすく観ている人全員に届けてくれます。
先の読めるわかりやすいストーリーとあからさまなメッセージ…。
でも、ディズニー映画って、それで良いんですよ。
今はアニメーションも兎に角1にも2にも脚本脚本の時代…。
だけど本来ディズニーがやってきたことって、ディズニーの強みって、そこじゃないですよね。
子供にも分かってしまうようなわかりやすいお決まりなストーリーと展開。
だけどその中に盛り込まれた音楽やアニメーション、キャラクター性などのエンターテイメントで観客を魅了して、内包された思いやメッセージを伝える…。
それこそがディズニーが長年やってきた、エンタメの覇者と呼ばれるほどに会社を育て上げた、唯一無二の武器なんです。
それをとってもよく理解してるのがこの「ネッシーのなみだ」であり、この作品の監督2名です。(この2人な2007年にもディズニー伝統の【グーフィーの教室シリーズ】を半世紀ぶりに復活させて話題になりました)
この作品は確かにほとんど話題になる事はなく流れてしまった感の強い作品ではありますが、実は中には「こういう作品こそ長編化するべきだ」という声も実は結構多く上がっているんですよね。
個人的に強く思うのは
【今のディズニーにこういう作品を作ることができるのか。そして長編化する勇気があるのか。】
という事です。
そしてこれが、今後のディズニーにとって大きな別れ道になるような気がするんです。
自分たちがこれまでやってきた事を今、信じているのか…。という事です。
確かに最新作ウィッシュではこれまでの足跡への大きなリスペクトを形にしました。
だけど重要なのは、リスペクトではなくそれを信じて形に出来るのか…という事です。
今作の監督達や、ワンス・アポン・ア・スタジオの監督2名、さらに前にも語ったエリック・ゴールドバーグ等…今のスタジオにも少なからずディズニーの歩みが今でも充分通用することを心から信じている人達はいます。
だから自分もまだまだ信じています。
また、自信と誇りに満ちたあのディズニーが戻ってくることを。
このネッシーのなみだは、もう13年も前の作品ではありますが、そういう意味では個人的には大きな光だと思っています。
たった7分の作品ではありますが、ディズニーの良さが、やってきた事の確かな力が、詰め込まれた1本である事は間違いありません。
新しさもない。
捻った展開や社会派な作品でもない。
ちょっとしたアニメーションです。
そのちょっとしたアニメーションこそ、ディズニーの最大の原点であり絶大な武器であると、少なくとも自分はずっと信じています。
「ネッシーのなみだ」は現在ディズニープラスで配信中です♪
ぜひちょっとした隙間時間に、お子さんと一緒に(もちろんお一人でも)お楽しみ下さいませ♪
はい。
というわけで今回はこの辺で!
今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪
また次回。
しーゆーねくすとたぁいむー。