(※当ブログは基本ネタバレ あり です。ご了承下さい。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
バンビ2 森のプリンス (原題:Bambi II)
2006年
監督
ブライアン・ピメンタル
データ
1942年 に公開され、その凄まじい 芸術的完成度 の高さから現在でも非常に高い知名度を誇る 伝説の名作 「バンビ」 の実に 64年ぶり となった 初の続編作品 。
2006年 に 劇場公開&ソフトリリース されました。
(フランスやイタリア、オーストラリア、メキシコや各ヨーロッパ諸国 で 劇場公開 。アメリカ、イギリス、日本等 6カ国 では ソフトリリース されています。)
監督は 「美女と野獣」 や 「アラジン」「ターザン」 等でストーリーを担当し 「グーフィー・ムービー ホリデーは最高!!」 で脚本を執筆する等その ストーリーテリング に定評のある ブライアン・ピメンタル 。
脚本は実写テレビドラマの執筆で知られる アリシア・カーク 。
音楽 は「ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!」 や 「ミッキー・ドナルド・グーフィーの三銃士」 等のディズニー作品をはじめ様々なテレビや映画の劇伴を手掛けている ブルース・ブロートン。
オリジナル楽曲には アリソン・クラウス や マルティナ・マクブライド 等 カントリーミュージック に長けた 著名ミュージシャン も参加しています。
シリーズの原作は オーストリア の作家 フェリックス・サルテン による 1923年 の小説 「バンビ 森の生活」 ですが今作の内容は主に原作で 空白の期間 とされていた時期の物語であり、ストーリーは 実質ディズニーの完全オリジナル となります。
母を人間に殺されてしまったバンビ が森の王である父親と共に悲しみを越えて王子として成長していくネイチャードラマ 。
ナンバリング は付いてはいますが、内容としては前作のバンビの母が殺されてから彼が大人になるまで の空白期間 に起きた出来事を描いたスピンオフ的 なものになっています。
主役のバンビ 役には「ファインディング・ニモ」 ニモ 役で知られるアレクサンダー・グールド 。
日本語版は柴井伶太 さん。
森の王 を演じるのは「スター・トレック」シリーズ 等で有名はメジャー俳優 パトリック・スチュワート 。日本語版は「アラジン」 のイアーゴ 2代目等様々なディズニーボイスを演じている大川透 さん。
フクロウ 役にキース・ファーガソン 。
日本語版は熊倉一雄 さん。数少ない前作からの続投出演 となりました。
バンビの母 役にキャロリン・ヘネシー 。
日本語版は杉村理加 さん。こちらも前作からの続投 となります。
ヤマアラシ 役には監督のブライアン・ピメンタル が自ら出演。日本語版はベテラン声優の茶風林 さん。
ディズニーの歴代作品の中でも特に人気の高い 「バンビ」の64年ぶりの続編 という事で、劇場公開も視野 に入れた、トゥーン・スタジオ作品の中でも特に丁寧な制作 が行われた続編作品として概ね好意的 な評価を各国 で獲得し、アニー賞も受賞 。
「酷い続編が多い」 と言われていたトゥーン・スタジオ ですが、今作は【低予算続編とは思えない】 という声が非常に多く、名実ともに同スタジオの代表作 の一つとなっています。
特に日本をはじめ1作目 の「バンビ」 が本国程の絶対的な評価を獲られていない 国等では、前作で欠けていた ファミリーエンターテイメント性 がうまく改善 できているとして、前作よりも高く評価 されている傾向 もある程です。
反面、1作目の良さ や特徴 を完全に消してしまっている という批判的な声 も根強く上がり続けていて、スタジオが閉鎖 された今も度々話題に上がる事の多い賛否両論 な作品となっています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あらすじ
バンビの母親が人間に殺されてしまった。
そんなバンビの元に突然やってきた父親である森の王は、フクロウに説得されるがままに別の母親が見つかるまでの間バンビの面倒を見る事になる。
これまで会話もした事が無かった父子は互いの距離感に戸惑いながらも少しずつ親子としての絆を深めていく。
バンビも次第に母の死を理解し、受け止め、悲しみを懸命に乗り越えようとしていた。
と同時にとんすけやファリーン等、幼馴染の仲間達との親交も深めていくバンビだったが、小鹿のロノだけはバンビを認めずにたびたびちょっかいを仕掛けてくる。
危険な目にもあいながら、少しずつ王子としての成長を見せていくバンビ。
そんな彼の様子を見て父親は兼ねてから持っていた「王は子育てなどするべきではない。 」という考えを改めようとしていた。
そんな時、王に依頼されていたバンビの新しい母親を連れてフクロウが2人の前に表れる。。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いやぁ頑張ってるとは思います。
何せあの「バンビ」 ですからね。
ディズニー史上最も美しい作品 と言われているあのバンビです。
トゥーン・スタジオの中では間違いなく最高のアニメーション クオリティ になっています。
CG も上手く使いながら現代の解釈 でバンビの美しい世界観 やアニメーションの質感 を再現 する事にある程度成功 していて、自然の表現の仕方 や特徴的な影の付け方 、構図 まで1作目をよく研究 されています。
変態的な凄さ だった動物のモーション アニメーションに関しても、何とか同じ世界 として成立 させられるぐらいまでには近付けられているとは思います。
とにかく背景画 、キャラクター描写 共にトゥーンスタジオとは思えないクオリティの高さ である事は間違いないです。
ただまぁ、、いずれにせよやはり1作目 には遠く及んでいません 。
これはもう仕方ない です。
誰も責められない です。
普通のディズニー作品ならいず知らずあのバンビ ですか…。1作目が異常 なんですw
音楽 に関してはカントリーミュージック を基調とした新曲 を何曲か挿入しているのですが、この新曲自体は正直そこまで特筆すべき物ではない 出来栄えなんですけど、うまい な〜と思ったのはこのオリジナル曲の前後 に1作目の楽曲 (名曲のLove is a Song やLet's sing a gay little spring song など)の一部を巧妙に挟み込んでるん ですよね。
これをやる事でオリジナル楽曲が浮かないん ですね不思議と。
テイストの少し違うオリジナル新曲 がバンビの世界観を壊す ことをしっかり防いで います。
これはうまかった です。
続編の意義
今作は1作目の続きではなく 、空白期間 を埋めるストーリーになっています。
原作では1作目の後もしっかり物語があって、それこそトゥーンスタジオが多用 していた二世物 なんですが、今回はあえてスピンオフ のストーリーを選択しています。
なんでかなぁと見るまでは不思議 だったんですが、観ると納得 出来ます。
この隙間の物語 を描く事に続編の存在意義 がある、と判断したんでしょうね。
というのは、1作目ではバンビは母を殺されて すぐ父親と会い、母親がもう戻ってこない 事を知らされてからすぐに、悲しむ間もなく時間が飛んで 大人になっています。
大人なので母親の事 はもう当然過去 のこととして振り切っています。
しかしどうやって 母親の事をのみこみ、どのように 父親と関わってきたのかは見てる人には全くわからない構成 になってるんですよね。
そこを今回の2 ではメインテーマ としてしっかり描いてくれています。
これまでのトゥーン作品のようにただ惰性で作ったような続編 ではなく、描きたい事がハッキリとしていて それがちゃんと観ている人にも伝わる んですよね。
これが一本の作品 として、続編として の価値と魅力 をしっかりと保持 する要因になってると思います。
父と子 の描き方はちょっとやり過ぎかなぁ とも思いましたが母親の存在 の描写 はかなり上手に表現されていた と思いますね。
特に「過去を振り返るなと」 と頑なに母親の事について触れようとしなかった 父が最後の最後に 彼女との思い出を 一言だけ口にする シーンは、本当に良かったです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まとめ
上述のように傑作とは言わない までも基本的には抑えるとこを抑えた 良作な続編 と言える作りになっていると思います。
ただ一番気になったのはやはり「エンタメ性」 と「バンビらしさ」 のバランス 。
中でも台詞の数 は気になりましたね。
バンビという作品は、その作画や演出の美しさ と同じくらい「キャラが喋りすぎない」 というのが最大の特徴 の一つなんですよね。
余計な事は言わず、表情 や演出 で観客に伝える 静の美しさ が大きな魅力 なんです。
コメディもちゃんとあるんですけどね。
ここまで【バンビらしさ】 を意識 しながら、そこを踏襲しなかった のはちょっと大きかったですね。残念 でした。
普通に要らないことまで喋っちゃう 普通のアニメ映画 になっちゃってました。
これによって確かに「1作目苦手」 て人にも取っつきやすい作品 にはなってるんですけど、1作目のファン からするとちょっと、、ここだけもし踏襲 してくれたら、ディズニーが誇る傑作続編になり得た んじゃないかと思うとやはりとってもったいなかった です。
他の部分がとても頑張っていた だけに余計に…ですね。
あとクライマックス がちょっと弱かった かな。と。
まぁこれも空白期間のストーリー なので結局本編に繋がなきゃいけない ってとこで仕方ない部分 もありますが。
ただここは人により だいぶ印象変わる と思いますし、お子さん とか楽しいエンタメ派 からしたら2の方が見やすい のは間違いないんですけどね。
1作目のように圧倒的な何か を感じる作品ではないですが、普通に 気軽に楽しめる、普通の良作ディズニー映画 のレベルには充分仕上がってます 。
うん。
これは良い続編 でしたね!
はい。
というわけで今回はこの辺で!
今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪
また次回。
しーゆーねくすとたぁいむー。