はいどうも。
さて、今回は先月めでたく95歳の誕生日を迎えた、ディズニー不動のシャイニングスター・ミッキーマウスの短編作品を久々に一つご紹介します。
ミッキーマウスは1928年の短編映画「蒸気船ウィリー」でデビューを飾って以来、実に120本以上の映画に出演、様々な役柄を演じてきました。
今でこそ圧倒的な知名度で名実共にディズニーの顔となっているミッキーですが、実は彼のムービースターとしての道のりは決して順風満帆ではありませんでした。
鮮烈なデビューで一躍人気者になりますが、人気が出すぎた事で、初期のミッキー本来最大の特徴でもあったやんちゃっぷりが発揮できなくなっていき(タバコを吸ったりお酒をのんだり動物をおもちゃにしてひっぱたいたり、初期の彼はわりとやりたい放題でした)、性格がどんどん温厚になるにつれ作品から面白みや新鮮味が失われ、人気は徐々に低迷。
反対にその個性的なキャラで人気の出たドナルドやグーフィー、プルート等に短編映画の主役を譲る形で1953年「ミッキーの魚釣り」を最後に銀幕舞台から姿を消すことになります。
今回はそんなミッキーマウスの後期短編作品の中から、クリスマスにピッタリな名作短編として現在でも高い人気を誇るこちらの作品をピックアップしていきたいと思います。
(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)
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プルートのクリスマス・ツリー
(原題:Pluto's Christmas Tree)
1952年
監督
ジャック・ハンナ
データ
ミッキー・マウスシリーズ第122作目(諸説あり)の短編劇場映画。
1950年代はミッキーマウス短編シリーズの衰退期・終焉期であり、この作品は1952年に公開されたわずか2本のミッキー作品のうちの1本です。
監督は1930年代から「ドナルド・ダックの短編映画シリーズ」を中心に手掛けてきたジャック・ハンナ。
ディズニー・レジェンドの一人で、主にドナルド・ダックの現在にまで通ずる個性やアイデンティティを生み出した人物として評価されています。
今作ではミッキーとプルート、そしてチップとデールがメインで登場。
クリスマスを題材とした定番のドタバタコメディです。
「ミッキーの短編シリーズ」として数えられている今作ですが、その主役は実質プルートとチップ&デールで、ミッキーは脇役的立ち位置に甘んじています。
これは、この時代のスクリーンでのミッキー人気の衰退を顕著に表しています。
もはやミッキー・マウスはディズニーの広告塔・アイコン的存在という立ち位置に存在意義がシフトチェンジしていて、この時期のスクリーンでの実質的な人気はプルートやドナルド、グーフィーに完全に移行していたのです。
実際にミッキーは次作である1953年の「ミッキーの魚釣り」を最後に、銀幕から事実上の引退を余儀なくされます。
しかし、現在ではこの作品を含むミッキーマウス後期の短編作品はそのクオリティの高さやデザインの良質さから好評価を獲得しており、この「プルートのクリスマス・ツリー」もクリスマスを彩る定番のシーズンストーリーとして高い人気を誇る1本となっています。
プルートやチップデールだけではなく、ドナルドやグーフィー、ミニーなどいわゆるディズニーBIG 7が揃い踏みしているミッキーの短編シリーズとしては珍しい作品であり、実は作品上チップ&デールとミッキーがはじめて正式に対面した作品でもあります。
ミッキー・マウスの声優は二代目のジム・マクドナルドが担当。彼は二代目ミッキーとして1970年代まで活躍し続けますが、本職は音響効果技師。様々なディズニー作品で制作スタッフとしても活躍しました。
プルートは登場初期から長きに渡り彼の声を担当したピント・コルヴィグ。
チップ役はミッキーと同じジム・マクドナルド。あまり知られていませんが彼はミッキーだけじゃくチップの声も長年担当していました。
デール役はデジー・フリン。
1950年代までデールの声を演じ続けた人物です。
さらにカメオ出演しているミニーやドナルドのボイスキャストとしてルース・クリフォードやクラレンス・ナッシュも参加しています。
更に今作はこの作品の公開から2日後に交通事故で亡くなったディズニー・レジェンドのフレッド・ムーアが最後に作画監督を行った作品としても有名です。
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あらすじ
ある年のクリスマス。
ミッキーとプルートはクリスマスツリーを調達するため杉の木の伐採を行っていた。
そこでプルートはイタズラ好きのリスコンビ、チップとデールに出会う。
杉の木と共に家にあがりこんでしまったチップとデールのイタズラに翻弄されるプルート。
しかしミッキーはそんなリスの存在に気づかずクリスマスの準備を進めていく。
3人の争いは次第に激しさを増し、ついにはクリスマスツリーはメチャメチャになってしまい…
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感想
この時代のディズニーの短編ほんと好きなんですよね。
30年代とか40年代のなんかこうギラギラしている感じのも勿論好きなんですけど、この独特のまったり感というかある種の余裕が感じられる緩さというか…
過去の全盛期のような突飛な題材や展開とかではなくて、ミッキーやドナルドが普通に生活をしている中で巻き起こるちょっとしたドタバタを描いているようなミニマムな作品が多くて。
ミッキードナルドグーフィーが揃う三バカシリーズよりも、それぞれ単体のこういう取るに足らないカジュアルな展開の作品が好きです。
なんかこう、小さい頃になんとなく漠然とアメリカンライフに憧れる時期ってあるじゃないですか。
ああいう感覚を思い出しますね。
小さい頃に最も良く見た作風なもので…
細部のディティールとか良く出来てるんですよね。
あと作画デザインに関しても、この年代のカジュアルテイストなミッキー達が最高に好きですね。
プルートとチップデールの小気味いいドタバタ劇がメインのエピソードですが、チップとデールの奔放さとプルートの執念深さがよく表現されていてとても面白いです。
そして、個人的にこの時期の作品の何が一番好きかっていうとミッキーの性格なんですよね。
この鈍感さと大らかさが本当に好きです。
ミッキーは有名になりすぎてそのキャラクターからやんちゃさや間抜けぶりがなくなり人気が低迷したとよく言われていますが、この時期の彼は他にはない味わい深さを持っていると個人的には感じています。
この作品だけに関わらず大抵のエピソードで、【プルートが騒ぎを起こしてそれに振り回されるミッキー】という構図が確立されていた時代なんですが、大抵プルートが何かを主張してミッキーはそれに気付かず、全てがメチャメチャになります。
んで最後は2人で笑って終わる…
みたいなパターンが多いんですよね。
結局どんだけ大事になってもプルートを許しちゃうその大らかさとちょっと鈍感なこの時期のミッキーの緩さが大好きなんです。
(↑↑ガッツリ首絞めてますけどねwこの後ちゃんと許すんですよ。)
ほんとに、等身大な普通のそのへんのアメリカの若者って感じがするんですよね。
今回のハイライトはやっぱり有名なこのシーンでしょうかね…。
プルートやミッキーから隠れるためにサンタキャンドルに紛れるデールくんです。
ミッキーに火をつけられて…
慌てる…というこのチャーミングなくだり。
こちらのくだりは現在でもチップ&デールファンを中心に非常に人気があり、様々なグッズやフィギュアにもなっている程有名なシーンになっています。
確かに、可愛らしくてクリスマスにはピッタリなシーンですからね〜。
慌てて火を消そうとするチップもとっても可愛いです。
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まとめ
この時期のミッキー作品は本当に地味なものが多くて、所謂代表作と言われるような作品はほとんどありません。
ただ、ミッキーの大人しさをカバーするようなプルートの大暴れぶり、熟練の定番ギャグ、そして全体に漂うカジュアルな雰囲気や細部のディティールの細やかさ等、その完成度は他の名作にまったく引けを取らないんですよね。
何よりも独特の味わいがある物が多くて癖になります。
改めて、ジャック・ハンナやフレッド・ムーア等ディズニーが誇るレジェンド達の手腕を体感できるのも大きいですよね。
今のディズニーでは絶対に作ることのできない短編アニメーションです。
まぁとにかく個人的にはミッキーのゆるい雰囲気とデザインが本当に好きなんですよね〜。
何よりもこの時期にピッタリな、子供と一緒に気軽に楽しめるクリスマスムービーになっています。
7分というお手軽な短編作品なので、ぜひぜひちょっとした隙間時間にお子さんに見せてあげるのも良いかもしれないですね。
もちろん、ディズニーファンにとっては必見の一本ですよ〜。
「プルートのクリスマス・ツリー」は現在ディズニープラスで配信中です♪
はい。
というわけで今回はこの辺で!
今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪
また次回。
しーゆーねくすとたぁいむー。