ディズニー映画語り ラプンツェル あたらしい冒険 | すきなものしか語れない

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元ディズニーシー長年単パサー。今はおもにディズニー映画中心に好きなものだけ勝手に語るつまらないブログです。Dヲタだった頃の記事は思い出として残してます。

はいどうもぉ。



今回はディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーの作品について一本語っていきたいと思います。


ディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーとはその名の通り衛星放送ディズニーチャンネルオリジナル作品として制作されたテレビ映画作品郡のことです。


衛星放送専用のオリジナルテレビ用ムービーでありながら非常に凝った作りのハイクオリティな作品も多く、「ハイスクール・ミュージカル」「ディセンダント」ヒット作も多く排出しています。


その他の配信用や劇場用の作品と違い、衛星テレビシリーズ用ならではのコアでマニアックな作風の物が多いのも大きな特徴です。



ラインナップとしては実写映画が圧倒的に多いのですが、その中でも「キム・ポッシブル」「フィニアスとファーブ」といった人気アニメーション作品の長編等も制作されています。


そのクオリティはソフト用続編を主に手掛けていたトゥーン・スタジオの作品を凌駕しているとも言われていて、ディズニーのもう一つの作品ラインとして長年秘かに一定の注目を集め続けているパッケージでもあります。




今回語らせていただく作品は、そんなディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーの数少ないアニメーション作品の一つであり、あの人気ディズニー映画待望の続編でもありました。





(※当ブログは基本ネタバレありです。ご了承下さい。)


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  ラプンツェル あたらしい冒険

(原題:Tangled: Before Ever After)

2017年

監督

トム・コールフィールド

スティーブン・サンドヴァル


データ


前作「塔の上のラプンツェル」から7年ぶり、その後日譚である短編作品「ラプンツェルのウェディング」から5年ぶりとなるラプンツェルシリーズの新作長編作品


これまでの3DCGではなく、デジタル2Dアニメーションで描かれた初めてのラプンツェル作品


さらに通常の手描き風アニメではなく、カートゥーンアニメ風にデフォルメされた作画やデザインも大きな特徴です。



今作はラプンツェルシリーズ2作目の長編映画であると同時に、その後3年に渡って展開されたテレビシリーズ「ラプンツェル ザ・シリーズ」序章としての役割も担っており、ストーリーが直接繋がっていきます


監督はトム・コールフィールドスティーブン・サンドヴァル


脚本はジェイス・リッチ


3名とも以後の「ザ・シリーズ」にも引き続き携わり、ここから長期に渡りラプンツェルを手掛けていく主要スタッフとなりました。


音楽は「小さなプリンセス ソフィア」シリーズで知られるケヴィン・クリーシュ

オリジナル楽曲は映画から引き続いてあのディズニー・ミュージックレジェンドアラン・メンケングレン・スレーターのコンビが(まさかの)続投を果たし大きな話題を呼びました。


映画「塔の上のラプンツェル」と短編映画「ラプンツェルのウェディング」間に起こった物語を描くファンタジーアドベンチャー


ラプンツェルユージーンを始め映画のキャラクター達が顔を揃える中、今後の鍵を握る新たなキャラクター達も登場し、物語に厚みを加えています。



ラプンツェル役にはお馴染みのマンディ・ムーア。日本語版は中川翔子さんがそれぞれ続投。映画版では小此木麻里が担当していたラプンツェルのですが今作からこちらも中川翔子さんが担当するようになりました。


ユージーン役もザッカリー・リーヴァイと日本語版の畠中洋さんが映画版より続投。


新キャラクターである侍女のカサンドラを女優のエデン・エスピノーザ、日本語版は園崎未恵さんが演じています。



公開当初はディズニー名作続編へ対する世間の悪評独特なカートゥーン風の2Dデザインがなかなか受け入れられず批判的な声も上がった今作ですが、続くテレビシリーズが放送されるとその練り込まれたストーリー展開張り巡らされた伏線キャラクターの掘り下げ好評を獲得し、次第に当初の悪評は薄れていきました。


全体の核心に迫るその本格的なストーリープロットと作り込まれた設定は、形だけの薄いサイドストーリーのような続編モノを乱発していたこれまでのディズニーの手法とは一線を画する大きな変革とも言われました。



独特な作画デザインもシリーズが進むごとに受け入れられ、現在ではこの作品を含む一連のこのシリーズは 「塔の上のラプンツェル」の正当な続編として、そして同時期に同パターンで展開された「ベイマックス ザ・シリーズ」と共にトゥーン・スタジオこれまでのテレビシリーズ化とは全く別系統のディズニー続編シリーズ新たな形として、現在でも高い評価と支持を獲得し続けています。



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あらすじ



これは映画「塔の上のラプンツェル」から半年後の出来事。


無事両親と再会しコロナ王国のプリンセスとしての生活を始めたラプンツェルは、彼女と共にコロナで生活を始めたユージーンをはじめ大切な人々と平和な毎日を送れることに感謝をしながらも、王族としての縛られた生活に違和感を感じ始めていた。


ラプンツェルの父であり国王のフレデリックは 以前 ゴーテルにラプンツェルを奪われたその過去を悔やみ、娘を守りたい一心で必要以上にその行動を厳しく制限していたのだ。



そんな中、ユージーンは愛するラプンツェルと共にコロナ王国で平和に暮らせる幸せを噛み締め、彼女へのプロポーズを計画していた。



新プリンセスの戴冠式前夜、招いた国賓が介する歓迎会でついにプロポーズを実行に移すユージーン。


しかし、現在の縛られた生活になじめない ラプンツェルは、返事をすることができずその場から立ち去ってしまう。


ラプンツェルの護衛役である警護隊長の娘・カサンドラはそんな彼女を不憫に思い、気分転換のため城を抜け出す事に手を貸す。


2人は国境の壁を越え森の奥へ。

たどり着いたのは、以前ラプンツェルの母親を救ったあの魔法の花が咲いていた場所だった。


そこは現在、謎の黒い岩が無数に突き出た異様な様相を呈していた。


1年程前からその黒い岩は突然あらわれ、どんな手を使っても砕くことができないと言う…


そんな不思議な岩にラプンツェルがおそるおそる手を触れると、激しい光と共に誰も予想打にしていなかった現象が巻き起こる。



果たしてラプンツェルは無事戴冠式を迎えユージーンと結婚することが出来るのか…。



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感想



これまで 1990年代から言われ続けてきた「ディズニーの続編は兎に角酷い」という悪評を覆したある意味画期的な作品


【原作映画に似せたソフト・テレビ続編を作る】のではなく【原作映画をテレビの手法やシステムに寄せちゃおう】という逆転の発想が見事に功を奏しています。


カートゥーン風アニメーションへの思い切ったデザイン変更、一作で完結させるつもりが毛頭ない長期シリーズ化を前提としたストーリー前作制作陣の直接的な関与等かなり大胆な挑戦を幾つも行っている作品です。


この裏には2010年代以降のディズニーテレビアニメーションのめざましいクオリティと評価の向上が起因してるのは間違いありません。


特にその伏線を張り巡らせる緻密な展開シリアスとコメディの緩急等はヒットテレビシリーズ「悪魔バスター★スター・バタフライ」「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」等から影響を受けている事は明らかです。



現在では「ある意味本家映画よりも面白い」と専らの評判を獲るくらいの名作テレビ作品となった「ラプンツェル ザ・シリーズ」。


その序章となるのがこの長編作品というわけです。



本当に素晴らしいシリーズ作品になっていて、本家映画を根底から覆すような驚きのストーリーとなっているので「塔の上のラプンツェル」好きな方にはもれなく観て欲しいところではあります。


が、この作品単体で観ると本当にあくまで序章・エピローグに留まる物足りない内容であることは間違いありません。


アニメーションもやはりはありますしね。



なので「この先のテレビシリーズまで付き合うつもりはないよ」という人にはちょっとオススメできません


逆に、長いテレビシリーズとセットで最後までラプンツェルの冒険を見届ける覚悟が出来てる方にとっては、まさしくマストな作品となっています。


クオリティは高いですが、単体で楽しめる内容にはなってはいないので、そこはあしからず。



テレビシリーズならではのじっくり魅せる壮大なストーリー



この作品単体で言うと、起承転結の「起」の前半といったところでしょうか。


それくらいしか話は進みません。


それほど全体は壮大なストーリーになっています。


映画続編であればここまでじっくりと丁寧に壮大に物語を描いていく事は不可能なので、やはりこれは長期テレビシリーズならではの強みと言えるでしょう。


そしてやはり、本家映画制作陣が大なり小なり直接関わっている「本家公認ストーリー」というのもかなり大きなポイントとなっています。


このラプンツェルという物語の根幹を担う物語ですからね。


クレジットはされていませんが、本家脚本のダン・フォーゲルマン等も原案やアドバイザーといった形で関わっているとのことで、彼らしい複雑な人間ドラマ魅力の一つとなっています。



ただしその分単体の作品としては満足度の低い長編作品になってしまっているというのも事実ですね。


これまでのように【微妙に縦軸は繋がってるけど基本は単体で完結してる】みたいなレベルではないですからね。



どちらかというと、テレビシリーズの初回スペシャルのようなイメージで見て頂いた方がしっくりくる内容になっています。


この作品のみで言うと、プリンセスになってからのラプンツェルの葛藤はかなり丁寧に描かれていたと思いますね。



単純に自由を求めるワガママな感じではなくて、苦労して手に入れた幸せに感謝し父親と母親の期待に応えようと努力しつつも、縛られたくないという心の声に抗えきれないという繊細さが良く表現されていました。


ユージーンも一見単純に見えてかなり色々な部分に気を遣っていたり、母親の娘の身を案じながらも自由に生きてほしいという複雑な気持ち等、こういう細い丁寧な人間描写は本当に素晴らしいと思いましたね。


一作完結の映画ではなかなかここまで出来ないですから。


逆に言うとこの作品のみだとそこまでで留まってしまっている…とも言えますが。


もう少し単体作品としても見れるような起承転結や明確な山場があっても良かったとは思いますけどね。


いくら【先が面白い】と言われても【その作品自体が面白くない】と人はなかなか先を見てはくれませんからね。



圧巻の音楽




そしてやはりこの作品の大きなポイントと言えばアラン・メンケンによる素晴らしすぎる新作楽曲の数々。

彼とグレン・スレーターカムバックしてくれたのはこのシリーズにとってかなり大きかったのは間違いないですよね。

テレビシリーズのオープニングとしても採用された「Wind in My Hair」という曲は本当に素晴らしくて、ラプンツェルのテーマソングとも言えるフォーク・ロック調の爽やかな名曲です。

アラン・メンケン本人も言ってましたが「ラプンツェル」といえばフォーク・ロックなんですよね。

一作目の冒頭で彼女が歌う「When Will My Life Begin?」も本当に名曲ですもんね。

柔らかでありながら力強さも感じるこの曲調が彼女の個性を的確に表現してる気がします。

マンディ・ムーアの歌声はもちろんの事、今作から中川翔子さんが担当している日本語版の歌声も本当に楽曲のイメージにピッタリで、もう文句なしの完成度です。

そしてもう一曲、ユージーンと共に今の幸せを喜びながらもラプンツェルが自分の少し複雑な胸のうちを歌う「Life After Happily Ever After」という曲もメンケンらしい素晴らしいストーリーソングになっています。

ディズニーファンの方には是非このメンケンによる新作名曲を聴けるだけでも一見の価値がある作品と言えるんじゃないでしょうか。

それほど秀逸な仕上がりです。


独特ながら特徴を捉えた味のあるアニメーション



それと今作のもう一つの大きな特徴はこの独特なカートゥーン調にデフォルメされたキャラクターデザインとアニメーション。

本家映画の美麗な3DCGと比べるとかなり大胆な簡素化とデフォルメ化を施しています。

好き嫌い別れるデザインだとは思いますが、しっかりそれぞれのキャラクターの特徴を上手く捉えているのが凄いなぁと思いますね。
ラプンツェルとか、結構奇跡的なデザインだと思います。
あれだけデフォルメしていてもちゃんとどこから見てもラプンツェルになってますからね。


ただ、アニメーションお世辞にも滑らかとは言えないのでアクションシーンとかはちょっと違和感が強く迫力に欠ける仕上がりになっちゃってるのは否めないと思います。

悪い意味でのテレビクオリティですね。


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まとめ




冒頭にも綴りましたが、これまでのディズニーの「低質な続編」とは全くの別物になってます。

まずはここを勘違いして欲しくないですね。

この作品単体ではわからないかも知れませんが、コレを見ずしてラプンツェルは語れない。と言っても全く過言ではない壮大な物語へと繋がっていきますし、細部に至るまで本気度100%ガチの続編となっています。

テレビシリーズというパッケージならではの強みを上手く活かした作りになっていて、この辺は素晴らしい発想だと思いますね。

テレビカートゥーン劇場用作品良いとこどりがちゃんと出来てるんですよね。

「ディズニーの続編は酷い」という昔からの定評を見事に覆しました

もちろん大元に「一作目を超えるほどのストーリー原案があってこそ」なのは間違いないですが、
やはり昨今のディズニーテレビアニメーションのストーリーテリング能力の高さは本当に馬鹿に出来ないものがあります。


ただし、重ねてにはなりますがこの作品はあくまでテレビシリーズの序章であり、単体の長編作品として観ると物足りない内容であることと、2Dのカートゥーンアニメーションとしてリファインされた独特なキャラクターデザインになっているのでそれを許容できないとちょっとキツイだろうという、この2点はご注意頂きたいですね。

ただ「塔の上のラプンツェル」が好きな方には是非1度は一念発起して最後まで頑張って観てもらいたいですね。

損はしないと思いますので。 

ディズニーの新たな続編の形を示した、画期的なシリーズになっている事は間違いないです。

そして何よりもあのラプンツェルとユージーンの冒険の続きを、より深くじっくりと堪能できるというのはやっぱりファンにとってこんなに嬉しいことはないですから。


何よりもここまで色々手を加えて物語が大きくなっても寸分違うことなくちゃんと「ラプンツェル」なのが本当に素晴らしいと思いますね。




「ラプンツェル あたらしい冒険」「ラプンツェル ザ・シリーズ」は共にディズニープラスで現在配信中です♪






はい。


というわけで今回はこの辺で!



今回も長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました♪



また次回。



しーゆーねくすとたぁいむー。